評価 (3点/5点満点)
著者のピョートル・フェリクス・グジバチさんがグーグルやモルガンスタンレーで学んだ効率的な会議運営のノウハウを公開します。
「いまの日本の会議に必要なのは、感情レベルの葛藤ではなく、アイデアレベルの葛藤を増やすよう、マネジメントするという視点」
本書では会議運営のノウハウに加え、葛藤のマネジメントに必要な
・ファシリテーションスキル
・心理的安全性(お互いに考えていることを気兼ねなく言える状態)
という2つの要素もお伝えします。
会議でどんなゴールを目指し、どんなアウトプットを出すかを明らかにすることは、つまり、そこに参加している人の価値観や信念がどんなもので、お互いにどんな影響を与えようとしているのか、一人ひとりがしっかり認識していて、積極的に関わる責任を負っているということです。
会議は、会社の最も重要な「コミュニケーション・プラットフォーム」と言えるでしょう。
【my pick-up】
◎会議こそ、ゴールへたどりつく「最速」の手段
会議はもっと「軽く」、カジュアルなものでいいのではないでしょうか。日本の会社では、いきなり声をかけて「これから会議をしよう」と言うなんて失礼、という文化があるかもしれませんが、グーグルではとにかくスピード重視。グーグルでは会議の数は「多い」のです。むしろ、スピードの遅いメールの方こそ嫌われ者だったりします。取り組むべき課題が目の前にあって、それが会議を開くことで解決するなら、「さっさとやってしまおう」と思えるでしょう。
◎意見が最後まで割れるトラブルシューティング
会議に、全会一致は必要ありません。ですから、コミットメントをきちんとしてもらえるよう、「言いたいことは言った」とメンバーが思えるまで意見を引き出すところまでが、ファシリテーターの役割です。最終判断がつかなかった段階で、オーナーの判断を仰ぎ、メンバーはその意思決定に従います。
◎ネガティブな発言を歓迎せよ
僕がグーグルに入ってはじめて驚いたのは、チームビルディングのときの自己紹介がとにかく長いこと。まったく仕事に関係ないことまで含め、延々と話すのです。相手がどんなタイプで、どんな場面でどんなことを感じる人間なのかを理解できていると、仕事がとにかく早く進むのです。逆説的ですが、アウトプット重視の会社だからこそ、仕事に関係ないことまでオープンに共有する文化が育つのです。1日8時間ぐらいずっと一緒にいる仲間にすら自己開示できなければ、いいアウトプットが出せるはずがないのです。正直に打ち明けてこそ、チームは助け合うことができます。日本の会社は、もうちょっと一人ひとりの感情と状態を大切にしてもいいのではないでしょうか。どんどんオープンにして、相手に「自分がどんな人なのか」「いまどんな状態なのか」を知ってもらう。