厳選!ビジネス書 今年の200冊

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2016年4冊目『絶望の国の幸福な若者たち』

2015-12-01 10:14:04 | おすすめビジネス書

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評価 (3点/5点満点)

古市憲寿さんを一躍有名にした本書が出たのは2011年の東日本大震災直後。今回はその文庫版として、単行本当時から考えを改めた点も含め追記がなされています。

・大人たちの若者語りのレベルは、1世紀にわたってまったく進歩がない。ただし現代的な意味で「若者論」が成立したのは、「1億総中流」と同時並行的だと考えられる。地域の差、貧富の差、性差などをすべて無視して年代的に近いだけで「若者」と語ってしまうような議論は、国内における階層差がなくなったというイメージが共有されないとそのリアリティを持たないからである。だから、「格差社会」という言葉が流行する現代において、若者論は存続の危機に立たされている。(P.88)

・「より幸せ」なことを想定した未来のために生きるのではなくて、「今、とても幸せ」と感じられる若者の増加が、「幸せな若者」の正体なのではないだろうか。彼らは「社会」という「大きな世界」に不満はあるけれど、自分たちの「小さな世界」には満足しているのである。(P.136)

・明日すぐに日本が経済破綻したり、他国に侵略されるという状況は考えにくい。時間はある。この国が少しずつ沈みゆくのはどうやら間違いないけれど、これからのことを考えていく時間くらいは残されている。「奇妙」で「いびつ」な幸せはまだ続いていくだろう。(P.364)

私が読んでキーフレーズとしてピックアップしたのは、この3個所です。

そこまでお金をかけなくても、そこそこ楽しそうな生活を送れちゃうのが現代の幸福であり、不幸であるというのが、この本のテーマです。

最近TVで見る古市さんは、俗流な若者の象徴と見られがちですが、既存の若者観の虚妄を糺して若者論を更新した本書から、逆に俗流の若者論を斬って捨てていることが分かります。

コメント
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