評価
(3点/5点満点)
私生活も充実させ、そのうえで仕事でも結果を出す、そのために大事なことは、〝時間を濃縮させること〟なのだ。
本書は、コンサルタントの理央周さんが体験により身につけてきた「時間を濃縮し、最速で結果を出すための仕事術」を紹介します。理央さんが専門とするマーケティングの知識やMBAのフレームワークを基本に置きつつ、今すぐに実践し成果に繋げられるノウハウが満載です。
やはり出世や昇給というものは自分のモチベーションになり、それが励みとなってさらに結果が出せるようになります。そうなれば、家に帰っても前向きで明るく過ごせるという好循環が生まれると思います。仕事だけが人生ではありませんが、結果を出し、仕事を充実させることで、私生活をはじめ自分の環境が好転することはまぎれもない事実です。
通勤時間等も含めて1日の約半分の時間を費やしている仕事を楽しむための近道が、この「最小の時間で最大の成果を出す」ことです。成果を出していれば、早い時間でも堂々と帰ることができ、自分の趣味や家族との時間を楽しむことができますよ。
【my pick-up】
◎仕事を妨げる「邪魔なこと」は、根本治療で解決せよ!
ある人から、「しょっちゅう電話がかかってくる人は仕事ができるように見えて、実はできない人だ」という話を聞いたことがある。
本来、こちらが先手を打って連絡をきっちりを行っていれば、かかってくる電話は自然と少なくなる。そのためには、電話がかかってくるそもそもの理由を発見し、その原因をつぶすべきである。
それができていないからこそ、電話が多くなる。そして電話のたびに集中力が途切れてしまっては、必然的に仕事もはかどらない、というのである。
なるほどと思う考え方であった、応急処置のみでなく、根本治療が重要なのだ。
◎仕事は「サッカー」。「部分最適」だけでは勝てない
もちろん短期の結果達成は不可欠であり、部分最適の意識を持つことも大事ではある。よく「部分最適は百害あって一利なし」などと言う人もいるが、それは極論である。やはりまずは、自分のすべき職務をまっとうすることに全力を注ぐべきである。
だが、より高い位置に進みたいと思うのであれば、「全体最適を意識したうえでの職務のまっとう=部分最適」が重要になってくるのだ。
実際には、会議になるとこの「部分最適」のぶつかり合いになりがちだ。ここで熱くなって、自分の利益ばかりを主張してしまっては、火に油を注ぐだけ。そんなとき私は、ちょっとした工夫を心がけてきた。
たとえば言い方にしても、「それはダメだと思うのでこうしましょう」よりも「それはいい意見ですよね。でもこのような見方もあります」と言ったほうが、その後の議論が発展しやすい。
また。このような建設的なトーンに加えて「視点を変えてみる」という方法も有効である。たとえば、数字を見る視点を「割合」から「全体の数」に変えてみる。
このようにより広い角度の視点から「全体最適」を考える姿勢が、より長期の結果をもたらすのだ。
◎マネージでは70点。100点以上を目指すなら「リード」で
リーダーは、マネージではなく、リードすることに徹すべきである。
管理とリードの違いは、チームを指揮下に置くのか、チームメンバーと同じ目線で引っ張っていくのかという点にある。
前者は行動やタスクすべてをコントロールし、チェックする。後者は各自の強みを引き出し、そのうえで相乗効果を出すことを命題とする。常に70点を確実に取ろうとする場合は前者のgほうが向いているかもしれないが、100点以上を狙う場合には後者のほうが向いている、というのが、私の長年の経験から得た結論である。
◎「いい丸投げ」を使いこなす
実は私自身は、「丸投げ」が悪いことだとは思っていない。むしろ、最短の時間で最高の結果を出すには不可欠の要素だとすら思っている。要は「いい丸投げ」と「ダメな丸投げ」があるのだ。
言うまでもなく「ダメな丸投げ」とは、なんの根拠もなくそのまま「これをやっておいて」という形で部下に下ろすやり方。
一方で「いい丸投げ」とは、「いつまでに、何を、なんのために」の3つの要素が必ず入っているものだ。
ただ、私の場合はそこにさらに工夫して、「どうやってやるのか」の部分だけは、最初の段階ではなるべく伝えないようにしていた。これは、失敗させてでも考えさせることが、その部下の成長につながると考えたからである。
さらに、重要なポイントで念押しをすることもまた、必ず心がけていた。ある程度の失敗はいいが、会社に大きな損失を与えるような失敗は許されない。