厳選!ビジネス書 今年の200冊

2008年ブログ開設から、紹介したビジネス書は3,000冊超。
1日2,000PVの仕事力を上げる書評ブログ。

今年109冊目『理系にあって、文系にない「シンプル思考法」』

2011-05-22 18:04:06 | おすすめビジネス書
理系にあって、文系にない「シンプル思考法」 理系にあって、文系にない「シンプル思考法」
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2011-05-11

評価  (3点/5点満点)

東京大学理学部長、理化学研究所センター所長、お茶の水女子大学理事などを経て、現在は横浜サイエンスフロンティア高校のスーパーアドバイザーである和田昭允さんが、どんな問題も合理的に解決する、理系の思考法を紹介します。

そのポイントは、何が「原因」となり、どういう「結果」になるのか、その因果関係を矛盾なく辿れるようになることです。

経験や勘といった漠然としたものではなく、一定の基準やものさしを以って物事を見ていくのが、理系的思考ではないかと思っています。明確なものと対比できるから、複雑な方向に行かなくてすむようになります。

【my pick-up】

◎思考の「縄張り」を作らない

「物理、化学、生物学、地学といった自然科学の〝領域〟は、教育の便宜上作られたものだ。それにこだわっては新しい発展はない」と確信した次第です。

ところが多くの人は、便宜上の「分類」の呪縛にかかってしまって、そこから踏み出すのを躊躇してしまう。だから、境界領域は過疎地帯になり、獲物、つまり未解決の面白い問題の宝庫になるのです。

◎知識は頭の中で「遊ばせる」

先入観とは、生まれてからの経験が教える、世の中を生き抜くのに必要不可欠な知識です。

しかし、経験的なこうした分類は、理解や判断を速くするためにできたものだから、いつも正しいとは限らない。だから先入観は必要な反面、私たちの知の発展を妨げる壁でもある。

◎ときに、知識を「引用する」

「独創性」において、「まったくのゼロからの出発」は、絶対にありません。その証拠に、たとえば研究の場合に、引用文献ナシの論文など私は知りません。多くの文学・文芸作品や科学論文は、引用にあふれています。ただそれらが素晴らしいのは、知識の絶妙な収集、加工、編集に成功しているからです。

既存の概念を組み合わせて、他に類を見ない創造ができる。これが、凡人ができる独創のコツだと考えます。〝使える〟と思ったら、とりあえず〝いただいて〟おく。それがいつか、まったく別の概念と結びつくかもしれません。頭への「入力」「知の貯蓄」は多いほどよいのです。

このとき、もともと近い場所にある、つまり似た事柄や概念を並べても、独創的結合は生まれにくい。知識の間に距離がある-考えに大きなジャンプが必要である-ほうが、結合したときのインパクトが強くなる。

「自分には独創性なんてない」と、あきらめている人たちに、繰り返し言いたい-独創は「ゼロからの創出」でなく「知識の結合」ととらえればよい。独創的な「知識」とはすなわち、あなたが初めて創った「結合」なのです。そして強調したいのは、知識を組み合わせるのは、あなたが思うほど難しくないことです。

◎「冷徹な思考」に足りないものは?

理系思考の問題点は、それが人情の世界とは無縁で、非常に厳しいという事実です。

「心」を重視するには、具体的にどうすればよいのか。大事なのは、「価値創造マシン」の〝出力〟をどこに向けるかです。企業社会の一般論で言えば、自分の目先の出世よりも、部署全体の、そして会社全体の価値創造を求めたほうがよい。それも未来志向で。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする