厳選!ビジネス書 今年の200冊

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今年80冊目『「質問力」の教科書』

2011-04-10 17:46:03 | おすすめビジネス書
「質問力」の教科書 「質問力」の教科書
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2011-03-25

評価  (4点/5点満点)

東京大学教授でTBS系の番組「時事放談」の司会を務めている御厨(みくりや)貴さんが、自ら「オーラル・ヒストリー」で学んできた質問力・会話力について解説します。

オーラル・ヒストリーとは、ひと言で説明すると「公人の口述記録」であり、政財界の大物や官僚といった公的立場の人物にインタビューをし、後世に残る口述記録を作成することです。

それは、相手の半生を、時には相手の人生をテーマにするため、ひとりにつきだいたい10回程度のインタビューを取るそうです。1回のインタビューは2時間程度。それを約10回続ければ20時間、話を聞くことになります。各時代の政治を考察するうえで、その全容を解明するには最低でも20時間は必要だというのです。

本書から、「いい質問」とは「臨場感のある答え」が返ってくる質問だということに気づかされます。

また、「私は小泉純一郎氏をオーラル・ヒストリーで取り上げようとは思わない」や「テレビのバラエティー番組では面白おかしくキャラクターを演じてはいるが、実際のデヴイ夫人はまったく違った」など、実際の取材による面白いエピソード等も満載です。

【my pick-up】

◎相手のガードを下げるには自分がバカになる

リラックスした会話を続けるには、知りすぎても、知らなすぎてもいけないのである。この絶妙な按配は現場で会話を積み重ねていかないと掴めないものでもある。

知りすぎても知らなすぎてもいけない、絶妙なバカになるコツ。それには質問する側が「余計なことは差し挟まず、全部聞く」という姿勢を持つことである。

◎用意周到すぎると「質問力」が弱くなる

事前の準備があまりに用意周到すぎると、かえってそれが意味を持たなかったり、場合によってはインタビューや取材に支障をきたすことにある時気がついた。

なぜ支障をきたすのか。それは知っていることを再確認するような作業になり、現場で新鮮な驚きがなくなるからである。

◎国会討論が浮き彫りにする政治家の質問力

政治家たちの質問力が落ち、政治がつまらなくなった理由のひとつとして、私は選挙制度が大きく関わっていると考えている。

選挙制度が中選挙区制から小選挙区制になったことで、地元と代議士の関係が希薄になってしまった。今の小選挙区制は1選挙区につきひとりしか当選できない、明日はどうなるかまったく読めない制度である。

政治家たちは余裕を失い、質問を磨き答えを練ることもできない。目先の1票にこだわるがために、上辺だけを取り繕い、政治家にとって何よりも大切な個性を失ってしまった。この〝個性の喪失〟が政治家の質問力に大きく関与している気がしてならない。

◎民主党の仕分け作業に見るデジタルな質問感覚

私も何度かテレビでそのやりとりを見たが、「質問と回答」という会話の基本が成り立っておらず、そこに強い違和感を覚えた。

事業仕分けで質問者が取っていたスタイルは、権力者の立場を生かして「Aか、Bか」「白か、黒か」を迫るというものだった。

あのようなスタイルから生産的な会話が生まれるわけがない。

◎質問力の基礎を鍛えるアドリブ力

仕事で話をする時はかちっとしたシナリオを作らず、できるだけアドリブで対応する大胆さが必要だ。そんな感覚が質問力の基礎を鍛え、現場でも臨機応変な対応を可能とさせてくれるのである。

コメント
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