この3連休もどこか1日は、人出が減った観光地を応援しに行こうと思い、今回は茨城の大洗へ。大洗は20年ぐらい前、市街地から外れた海岸に、それも季節外れにちょっと立ち寄ったぐらい。中心部は初めて訪れる。
上野から常磐線の特急で水戸へ。
鹿島臨海鉄道に乗り換え。
午前10時20分頃に大洗駅に着く。鉄道路線は昔からの市街地や集落を避けて通されることが多いので、駅から旧市街地までは多少、歩く。
大洗も海沿いは津波の被害があったそうだが、甚大ではなかったため、マスメディアではあまり取り上げられていない。海のほうへ行くと、港沿いにリゾートアウトレットがあるが全館休業中。1階が全部、津波でやられたようで、修復工事をやっていた。向こうに見えるのが大洗マリンタワー。
マリンタワーへ上ってみる。フェリーターミナルの側を見る。この側に限らず、タワーから見る限り、津波被害のようすはほとんど消えていた。瓦礫も道を歩くと、部分的に見られるぐらい。
マリンタワーは営業していたが、展望台の1フロア下のレストランは休業中だった。
次は旧市街地へ戻って、向こうに見える大きな鳥居-大洗磯前神社へ向かう。
旧市街地を貫く商店街の通りを歩く。あまり歩く人はおらず、閑散としている。
震災で観光客が減ったからこうなのかとも思ったが、古い町の旧市街の多くがそうであるように、いつもこんな感じなのかもしれない。
かなり長く歩いてようやく、大鳥居が見えた。大洗駅前の観光案内板に磯前神社まで3.1kmとあったから、けっこう歩かないといけない。
神社前は海沿いに大きなホテルが並ぶ。
さきほどの大鳥居を抜けたところから、丘の上の神社へ上る坂道があったので、さっそく上り始める。
大洗磯前神社にお参りして今日の小旅行の無事を祈ってくる。
若い頃は神社は初詣に行くところぐらいにしか思っていなかったが、行った先の土地の鎮守にわざわざお参りするようになるとは。大災害のあとで不安な気持ちがあるのも確かだが、年を取るほど信心深くなってきたようだ。
さっき上ってきた坂は脇参道で、拝殿正面へ石段で上るのが表参道。石段上からの海の眺めがよい。
石段を下り、参道を見る。市街地を歩いてきて最初に出会った大鳥居が一の鳥居。表参道石段下の鳥居が二の鳥居。
二の鳥居前から海岸に出ると、岩場にもう一つの鳥居。これが神磯の鳥居。
神社付近の道路沿いは飲食店が並んでいる。大賑わいというほどではなかったが、けっこうどこもお客さんが入っていた。
海岸沿いの新しい幹線道路を歩き、大洗漁港へ向かう。道路海側のセブンイレブンは通常の営業をしていた。ここもおそらく津波にやられたとは思うが、震災からもう2ヶ月近く、被害の痕跡は見当たらなかった。
道路沿いの家々もほぼ復旧しているようすだった。中には畳がまだ入っておらず、板の間状態の家を見かけたりもした。一箇所だけ、歩道に瓦礫がそのままの家があった。
すぐ前の家には人の気配がなかったから、もともと空き家で、片付けする人がいないのかもしれない。
漁港に着く。漁港の幹線道路側にある海産物の直売所は大賑わいだった。
漁港そばの魚市場で「がんぱっぺ大洗 海・山復興まつり」が開催されていた。
大洗観光協会のサイトによると、昨日はマリンタワー前の広場でも復興イベントがあったそうだ。
漁港や直売所と隣接する区画ではかにの直売もやっていた。
もっとも、自分のような独り者で料理などしない人間が生ものを買って帰るわけにはいかない。なので、いつものように食べて昼呑みしてお金を使ってくることにする。また、それがお楽しみでもある。
海鮮料理の店で昼呑みできそうなところは、観光協会のサイトその他で調べ、いくつか候補をメモしてきた。磯前神社まで旧道を歩いたのは、そうした店はほとんど旧道沿いか神社付近にあるからなのだが、ネット上の情報で昼も営業となっていても、実際に今の状況でやっているか確かめるという目的もあったからだ。案の定、旧市街では暖簾が掛かっていた店は2軒ぐらいしかなかった。磯前神社付近の店は、観光地の食べ物屋っぽい感じで、そういうところよりは旧市街の料理の店のほうがいいので、旧市街でやっているのを確認した店に行く。
曲松という地区にあるかま家という店。
カウンター席に通される。自分が入ったときはほかにはまだお客さんはいなかった。親方に昼でも飲めるか確認し、まずは生ビール。
あじたたき。
そして、さざえお造り。
ビールの次は地酒。大洗の地酒の月の井の生酒。
その月の井を造っている月の井酒造は、かま家の20メートルから30メートルぐらい先に斜め向かいにある。磯前神社へ行くときに目に止まった。かま家へ入ったのは、すぐそばなのだから、月の井を置いているだろうと思ったからというのもある。それで正解だった。
煮魚でできるものはと聞くと、めはるしかないというのでそれを注文。陸上の瓦礫は大部分、取り去られたが、海の中にはまだ多くの瓦礫が残っているので、なかなか漁に出ることができず、それで、入荷するものも限られているということ。
めはるとはめばるのこと。魚の名前にはいろいろと方言があって、大洗や、大洗と那珂川を挟んだ北側の那珂湊では、めばるをめはると呼ぶそうだ。
そのめはる煮が出てきた。
地酒のあとはチューハイを1杯。締めはまぐろにぎり。付いてきた味噌汁の具はわかめと筍だった。もう新筍の季節だ。
座敷のほうにはお客さんはいなかったようだ。あとは、自分が飲み食いしている間に、自分と同年代か少し若いと思える観光客らしき夫婦が一組来て、寿司だけ食べて行った。
鹿島臨海鉄道は震災で路盤が崩れて不通になっている区間があるとのことで、今は特別ダイヤ。水戸と大洗間は運転しているが、通常は昼間に1時間に2本あるところが、今は1本。ゆっくり飲み食いしているうちに、当初、乗るつもりだった列車には間に合わなくなった。しょうがないから、1時間後のにする。明日も休みだし、別にあわてる必要はない。海側へもう一回行ってみたり、丘の上の小さい神社へ行ったりして、それから駅へ向かう。
鹿島臨海鉄道はわりと新しい路線で、水戸と大洗の間は高架線。既存の集落を避けて、田んぼの中を通している。車窓から見た水田は一面に水が張られていて、田植えの準備が整っていた。もう、そんな季節になった。
生ものは買わなかったが、大洗の駅売店でせんべいを買った。大洗しらすせんべい。
個包装ではないから、湿気ないように開封前に密閉できる容器を準備しておかないといけない。
昼呑みした日は晩飯は軽く。コンビニの冷しそうめんにする。