ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

日本国紀

2019年02月03日 17時07分58秒 | 本の中から
「日本国紀」(百田尚樹・著)を読んだ。
もうずいぶん本は買ってない。
本を並べて喜ぶ趣味はとっくに無くした。
今ではもう邪魔なだけ。
蔵書の中で再読したい本はほとんどない。
本は墓場までは持っていけない。
本をいっぱい持ってると残された家族も邪魔だろう。
古本屋に行っても二束三文でたたかれガソリン代にもならないのだから。

でも久しぶりに、この本はとっても気になったので買った、読んだ。
焼酎2本買えるのになぁ~なんて思いながら。
読んでみると、江戸時代までは、いろいろ光るエピソードはあるものの、ほぼ知ってる内容。
中学生・高校生向けの日本通史という気がした。
これなら「逆説の日本史」(井沢元彦・著)の方がいいと思った。
もちろん紙数が全然違うので一緒に比較するのは酷というものだ。

ただ気になったのは邪馬台国。
著者は今では少数派となった九州説をとっている。
巻向遺跡や箸墓古墳、近畿圏でたくさん発掘されている三角縁神獣鏡・・・などを考えると、
邪馬台国は近畿にあったと考えるのが自然ではないだろうか?
同時代に九州で同様の遺跡や古墳があるだろうか?
昔から九州説はあったけど違和感を持ってきた。
それは九州説はしばしば「神話は嘘だ」という前提に立った説だと思えるからだ。
そんなに早くから大和王朝ができてるはずがないという前提に。

神話は改竄することはできるけど捏造することはできない。
もし今の政府がまったく違った神話を作って「これが本当の神話だ!」と言ったら、そんなもの信じるか?
誰がそんなもの信じるもんか。
飛鳥時代だってそれは同じ。
確かに当時の政権に都合よく改竄された箇所はあっただろう。
隋に対して唐に対して、日本は歴史のある国だと対外的にアピールする必要が、
とりわけ古事記でなく漢文で書かれた日本書紀にその意図があったはず。
そのために日本の建国を大幅に古くした。

でも、まあ魏志倭人伝の記述だけでは邪馬台国がどこにあったか、なんてわかるわけはない。
でも、まあ今までの発掘の状況では大和説が自然。
でも、まあ確定するまで時を待とう。
今後の発掘に期待しよう。
(箸墓古墳の発掘を早く認めろ!)

それからもう一つは豊臣秀吉の朝鮮征伐の話し。
「朝鮮征伐」という言葉はこの本では記されていない。
でも「倭寇」なん言葉が、日本を卑しめる言葉が今でも横行してるとき、
この「朝鮮征伐」という歴史用語だけを抹殺するのも理に合わぬ。
歴史用語は歴史用語としてそのまま使えばいいのだ。
この朝鮮征伐、文禄の役では日本は勝ったけど、そのあとの慶長の役では、李舜臣の活躍で苦戦したと歴史では習ったけど、実際は日本軍が圧倒してたという。
この記述、やっぱりなと思う。
当時の日本は宣教師が武力による征服をあきらめたほどの武装国家。
世界有数のあるいは世界最強の武装国家だった。
これでは朝鮮と明の連合軍が勝てるわけはない。
李舜臣が日本軍に勝ったのは護衛のない輸送船をただ一度襲っただけ。
それ以外まったく手出しができなかった。
亀甲船も全くのフィクションだったという。

それからもう一人の朝鮮の英雄、テロリストの安重根。
日本の朝鮮併合に反対してた伊藤博文を暗殺したテロリスト。
それを頓珍漢にも暗殺したテロリストが今では英雄?
ということはやっぱり朝鮮は日本に併合されたかったの?
まあ確かに日韓併合は朝鮮人が望んだことだったのだけど。

しかしねぇ~もっともっとましな英雄は朝鮮にはいないの?
護衛のない輸送船をただ一度襲っただけの英雄と、
併合に反対してた人を殺したテロリストと以外に?

ともあれこの本のメーンは明治以降。
それまでは単に導入部。
百田尚樹氏に対しては賛否あると思うけど、
とりわけ百田嫌いの人に、この本を、とりわけ明治以降を、ぜひ読んでほしい。
百田尚樹嫌いの人ほど読んでほしい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする