イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

ワカメ採り 3回目

2023年03月11日 | Weblog
今日は忘れ物をしないようにきっちりと点検をして出発した。

満潮時刻は午前8時19分。おそらく1時間は過ぎないとまともにワカメを採れないだろうとそれまで地震のドラマを観ていた。海に行く前に津波のシーンがあるドラマを観るというのはなんとも縁起が悪いけれども、今日は3月11日、もう12年前のことになるそうだ。南海トラフ地震は100年から150年周期で起こるとされている。前回の地震は1946年だったそうなので100年目となると2046年、あと23年先ということは僕が81歳のときだ。ひょっとしてまだ生きているのかと思うとちょっと怖くなる。
ドラマの中では、“半割れ”などという恐ろしい言葉も使われていた。
まあ、地震が来るよりも忘れものをする方が怖いので、テレビを観ながら準備万端整えていたというわけだ。

出港時刻まではかなりあるのでコーナンプロに寄ったり片男波に砂を取りに行ったりしながら港に向かった。やはり護岸の水位をみてみてもまだまだだ。しかしあまりに遅くまで待っていると風が心配だし、午前中に干す作業が終わらない。
最低限必要な分量は確保しているので採れなければそれでもいいやという気持ちで船を出した。

今日の操業場所は本命の場所だ。自称チカ島、僕が勝手に名付けた場所であるがここの最先端部分で採れるワカメは最高の品質だと思っている。そこに入れれば今日はそこだけで粘るつもりだ。
幸いにして出港した頃には風は穏やかだ。少し波があるが無理をして島の先端にとりついた。
単に時期の違いかもしれないが、この場所のワカメは幅が広いような気がする。横に伸びているテラテラした部分が大きいような気がするのだ。それだけ波の力を受けて芯が強く育っているのだという気がするのである。



事実、洗濯ばさみのバネの力では抑えきれずに落ちてしまうほどボリュームがあるのである。なので爪楊枝で補強をする羽目に陥る。



座礁しないように注意しながらホイホイとワカメを採る。今日はそれほどの分量は必要ないと思っているのだが、生で配りたい先もあるので採れるだけ採りたいと思ったのだが、予想の通り、やはり北西の風が吹き始めた。
この場所ではかなり危険度が高まっているということなので泣く泣く引き上げることにした。




日本は地震の多い国で、いつ何時災いを被るのかわからないというような不安な日々を過ごしているのだが、その徳性が美味しい海産物を育んでいるというのも事実だ。

この辺り一帯は緑色片岩という岩石で覆われている。和歌山では“青石”と呼ばれている緑色の石だ。我が家のボロ庭に使われている石も父親がどこかからもらってきた青石ばかりだ。この岩石は大陸のプレートが沈み込む場所で発生する広域変成作用で生まれる岩石だ。断層の中で潰されてグニャっとずれるのでウエハースのような岩石が生まれるそうだ。層状に剥離する性質があるので画像のようなテラスのような地形を作る。



そのテラスで太陽光線をいっぱいに浴びて質の良いワカメが育つのだ。
そのほか、この岩石は風化作用後は泥の海底を作り、ハモやコウイカも育むのだ。去年のアマダイフィーバーを生み出したのもこの泥質のおかげなのでる。

そう思うと、これも仕方がないというのと、僕が生きている間はどうか揺れないでくれと願うばかりなのである。

コメント
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