鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

恐るべし胡錦涛主席

2006-04-20 | Weblog
 19日、中国の胡錦涛国家主席がが米国ワシントン州シアトルに到着し、マイクロソフト社を訪問した。就任後初めての公式訪米で、主目的はブッシュ大統領との会談にあるが、その第一歩をいまやIT業界のリーダーであるマイクロソフトに記すところがいかにもふところの深い胡錦涛主席らしい。中国の近代化にとってITがいかに大事であるかを見事にパーフォーマンスするあたり、凄さを感じさせる。靖国問題で全くの外交オンチになり、もはやレイムダックとなっている小泉首相に爪のあかでも煎じて飲ませてやりたいくらいの思いだ。
 胡錦涛主席はいわずとしれた13億人の人口を要する中国の国家主席で、その座にある人が初めての公式訪米の最初に民間企業を訪れるような柔軟な発想をするのがまず信じられない。マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が何度も中国を訪れ、お互い旧知の仲とはいえ、会社を視察すれば、当然ビル・ゲイツ会長とも会って話をする。単なる表敬訪問以上の話が交わされるにしても、そうした行為をさらりとやってしまうのがまた凄い。日本だったら、まず外務省なり、米国大使館あたりがそんな意向があっても慣例kら認められない、とかなんとか言って後回しにしてしまい、何事も外務省のお膳立てでしか進められない日本の政治家にはできない。
 中国は官僚国家で、形式主義がまかり通っている、というのが大方の持っているイメージであるが、今回のマイクロソフト訪問はこのイメージを破るのに十分なものである。鈍想愚感子は一度中国に行ったことがあり、その時にアテンドしてくれた中国人にひどい目に遭ったので、すっかり中国嫌いになってしまったが、今回の胡錦涛主席のマイクロソフト訪問はそれを根底から改めなければならない、と思わせた。本当に頭をゴツーンと叩かれたような感じがした。
 パソコンソフトのWINDOWSの著作権で中国とマイクロソフトの間で大変な問題、といっても著作権料のことだろう、と想像がつくが、が生じているので、国家主席としてもほおっておけない、と思ったということかもしれない。それにしても国家主席が自ら判断して動く、ということでも凄いことだ、と思う。WINNDOWSが中国の近代化にとって大事なものであるし、マイクロソフトとの話し合いが必要だ、との判断がなされたのだろう。
 胡錦涛主席の頭の中には米国内で小泉首相以上に政権末期症状の出ているブッシュ大統領は二の次で十分だ、との読みもあったに違いない。もともと政治では日本よりはるかに大人の振る舞いをして一日どころか、百日の長のある中国であるが、経済面でも日本を追い越していこう、という意思がはっきりとうかがえる。こんな柔軟な発想をするトップをいだく中国が経済面でも日本を凌駕するのはそんなに遠い日のことではないかもしれない、と思えてくる。すでに保有外貨準備高では日本を追い抜き、中国が世界一の座についている。
 翻って、小泉首相はというと、世界がどんどん進化していくなかで、専ら国内の
後継者問題の選択に明け暮れている。本当に困ったものだ。こんなことではますます、世界の孤児になってしまう。 
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物足らない新経済番組「カンブリア宮殿」

2006-04-19 | Weblog
 17日夜に放映されたテレビ東京の新経済番組「カンブリア宮殿」をビデオに収録して、一日遅れで昨日観た。経済新聞社系のテレビ会社なのと、司会の村上龍が方々で自慢というか、PRしていたし、第1回目の相手が世界のトヨタ自動車の張富士夫副会長なので、期待していたのだが、はっきり言って消化不良といった感じだった。テレビである以上どうしてもビジュアルを先に考えるせいか、経済番組としては期待はずれに終わった。
 「カンブリア宮殿」はスタジオの中央に作られた舞台を企業の人事部長クラス150人が取り囲むスタジオで、司会の村上龍とアシスタントの小池栄子が張副会長に質問していく。まず張副会長のプロフィールが10分くらい続くのにややうんざりする。導入としてはちょっと長い。そして、世界に冠たるトヨタのムダを省くかんばん方式や、人づくりに質問が及び、核心に触れる回答が引き出されん、とする。しかし、村上龍の質問はやはり甘くて、肝心の聞きたい話に及ばない。本筋とは関係ないプライベートな話ではさえをみせる程度。作家として村上龍は比較的、政治経済に関心を持ち、いまや社会派として通っているが、こういう企業トップと対等に渡りあえるほどのものを持ち合わせていない。はっきり言って切り込み不足で、物足りなかった。視聴者はトヨタ経営の真髄みたいなものを直接聞きたかったのに消化不良を起こしたことと思う。
 それに経済番組の第1回目のゲストとしてトヨタ自動車をもってきたのはいいとして、なぜ奥田碩会長(経団連会長)か、渡辺捷昭社長でなく張副会長だったのがわからない。テレビということで軽く見られたのか、民放五番手の限界だったのか、わからないが、疑問に残る。トヨタ自動車は世界26万人、今年の新入社員1909人といまや巨大企業と改めて知って驚いたが、やはり現役トップの話を聞きたいのが心情だろう。そんな巨大企業なので他企業では盲腸みたいな副会長も必要だし、以前は社長を務めていたので、それなりの話は聞けるだろうが、第一線で次々と意思決定を迫られる緊張感のある話を聞きたかった。村上龍の司会ぶりに緊張感が伝わってこなかったのもそのせいかもしれない。
 番組の半ばで視聴者と会場から質問を受け付ける「ミクロの決死件」というのをやっていたが。これも大して面白くなかった。人事部長でなく、今回にのテーマは工場の生産関係の部長クラスのがよかったのではないだろうか。
 インターネットでカンブリアを引いたら、6億年前の多細胞生物と出ていた。で、番組中に小泉の顔をしたムカデのような生物が小沢民主党党首の顔をした生物に「顔を変えてきたな」とキャプションで言わせていた。番組構成上、なんの関係もない漫画が出てきて気になった。漫画で、遊んでいる場合ではないのに。
 あと、村上龍のネクタイが緩んでいるのも気になった。作家のラフなイメージを出したかったのだろうが、内容が締まっていれば効果はあったのだろうが、逆効果であった。
 第2回は東京・大田区のその世界では有名な工場経営者が登場するようだが、こんな感じではもう観る気がしない。残念ではある。
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消滅寸前のサッカーくじ

2006-04-18 | Weblog
 スポーツ振興くじ(サッカーくじ、toto)が低迷している。昨日の読売新聞夕刊に出ていたが、05年度の年間のサッカーくじの売り上げは149億円とスタートした01年の4分の1以下に落ち込んでしまった、という。今年はドイツでワールドカップが開かれるというのにこの体たらくは一体どうしたことなのだろうか。それでも運営元の日本スポーツ振興センターは今年のtotoの売り上げ予想を倍近い264億円と見込んでいるが、これはコンピュータシステム経費などにかかる総経費をまかなうために必要としてはじき出された数字で、toto人気が復活しているわけでではなさそう。
 totoは2001年に折りからのサッカーブームに乗って鳴り物入りで導入された。街角のたばこ屋やコンビニに置かれた端末から気軽に買えることを魅力に売り出されたが、それでも初年度の売り上げは642億円と競馬の日本ダービー1レースの売り上げ程度にとどまった。ちなみに、日本中央競馬会の年間の売上高は3兆円にも達する。totoはその後、年々売り上げが落ちて、年間とうとう100億円台
にまで低下してしまった。そのせいか、従来totoの販売や払い戻し業務をりそな銀行に委託していたのを今年から日本スポーツセンター直営にせざるを得なくなった。
 totoはJリーグの指定された13試合の得点、および試合結果を予想するもので、5試合、あるいは2-3試合の得点を予想するものもあるが、勝ち負けはともかく得点まで予想するのは難しいうえ、全部の試合を一時に見るのはまず不可能であるので、賭けている臨場感がない。それに結果が出るまで時間がかかり過ぎる。まるで、宝くじのような偶然性に頼る要素も大きい。もともとtotoは収益の3分の2をサッカーの助成金にするスポーツ振興の目的からスタートしているものの、とはいえスポーツの純粋性と賭博とがどうもしっくりこない、のが不振の最大の理由ではなかろうか。子供がサッカーに熱心に取り組んでいる一方で、親がサッカーくじに熱中しているのでは構図として好ましくない、とは誰しも思うことだろう。健全なスポーツというイメージが損なわれるのは確かだ。
 totoの運用にはシステム費のほか広告宣伝費、サイト運営費、販売手数料などをあわせて年間120億円もの経費がかかるうえ、現在りそな銀行に対し初期投資と委託費の債務が約224億円もの債務が残っている、という。読売新聞によると、スポーツ議員連盟のメンバーである奥村展三衆院議員は「採算の見通しが立たないなら廃止すべきだ」と息巻いているようだが、このtoto導入には一部の国会議員が強烈に推進したのではなかろうか。
 日本中央競馬会もかつては年間4兆円あった売上高が3兆円にまで減ってきている。地方の公営競馬場は軒並み赤字で撤退を余儀なくされているところが続出している。人々の趣味娯楽が多種多様になってきたのに押されているためだが、サッカー人気があるうちに抜本的なテコ入れ策を講じないとtotoは消滅することだろう。
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やまないNHK視聴料不払い運動

2006-04-17 | Weblog
 またぞろNHK職員の不正経費着服問題が露見した。このところ経営改革に取り組み、その成果が出始めたか、ともっている矢先に起きた不祥事で、沈静化しかかった視聴料不払い運動に再び火がつきそうだ。視聴料の徴収に300億円もの経費をかけていることや、日曜夜の大河ドラマの制作に1回あたり6000万円もの経費をかけていることなど経費の使い方に批判がでている一方で、視聴料不払い者に対して罰則を設けるなどの案も出て、NHKの経営のあり方をめぐる論議はますます活発化している。
 NHK職員の今度の不正は報道局スポーツセンターのチーフプロデューサーが01年1月から今年4月までの約5年間に計242回のカラ出張を申請し、総額1762万円を着服していた、というもの。当のプロデューサーは即刻懲戒免職となったが、前回は芸能関係のプロデューサーが同じような経費の水増し請求を行っていた。橋本元一NHK会長は「全力で改革に取り組んでいる矢先に、信頼を再び損なう行為が明らかになったことは痛恨の極みで、心からお詫び申し上げます」とお決まりの談話を発表したが、前回の不祥事から内部でどういう監視体制がとられてきたのか、そして、にも拘わらずなぜ再発したのかが究明されない限り、不祥事が再々発することは明らかだ。
 NHKはマスコミの一角を担っているが、他のマスコミに比べ職員の給与水準がそれほど高くはない。これまでの経営陣がそうした点に配慮せずに経営を推し進めてきた結果だから、いまの経営陣だけを責めることはできない。給与水準が低い一方で、制作経費は恐ろしく高い。バブルがはじけて株価、地価など物みな下落するなかで、テレビ、映画など映像の世界だけはなぜかバブルがはじけず高い水準を維持し続けた。映像に関わるテレビ、芸能、スポーツの世界だけはそれこそ世間の景気低迷とは無縁に派手なことがまかり通っていた。給与水準の低いNHK職員が周りが派手にやっているのを黙って指を加えて見ておれなくなる心情は理解できる。心の弱い、もしくは影響され易い輩がついつい不正なお金に手をつけてしまう、構図である。
 NHK職員約2万人いる、とされているが、有名人やいわゆる名家の子弟子女がわんさかといることは知る人ぞ知る事実である。NHKの安い給与に依存しなくても暮らしていける職員が多いのである。給与は低いが、別のポケットマネーでお付き合いができる、というわけだった。ところが、バブルがはじけて、名家の台所にも影響が出始めたようで、低いながら給与でやっていかなければならない職員が増えてきた、こともまた事実。 相次ぐ不祥事の背景にはこうした事情が隠されている。
 だからといって不祥事の頻発が許されていいことではない。乏しい家計のなかからNHKの視聴料を払っている人からすれば、視聴料が不正に流用されているのは決して許されていいことではない。300万世帯といわれるNHK視聴料不払い世帯がさらに広がるのはもはや避けられないだろう。
 ここまできたら、もうNHKも一般企業として経営する、たとえば上場するとか、広告をとるとかを真剣に考えたらいいだろう。それとWOWWOWがやっているようにスクランブル放送、視聴料を払わないと見られない方式をとる、もちろんその場合は視聴料をもっと安くするのだが、そうした思い切ったことをしない、とこの局面は乗り切れないだろう。
 それにはいまの経営陣ではまずだめだろう。カルロス・ゴーン氏のようなミスター改革を外部からでもスカウトしてきて、思い切っりメスを入れないと蘇生できないだろう。
追伸 17日夜になったら、NHKのカラ出張の不祥事は当初、内部の調べで判明した、としていたが、実は外部の週刊誌からの取材で知り、わかったというのだから、呆れる。どこまで腐った鯛なのか、まぐろなのか、そんな目なんか見たくもない。
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演劇らしき演劇「女相続人」

2006-04-16 | Weblog
 東京・六本木の俳優座劇場で演劇「女相続人」を観賞した。たまたま送られてきたDMに応じて出かけたものだが、久し振りに演劇らしい演劇を見た、というのが正直な感想である。米国の作家ヘンリー・ジェイムスが1880年に書いた小説「ワシントン広場」を舞台化したもので、原作がしっかりしていることと出演の鈴木瑞穂以下の役者がいずれも熱演したことが成功に導いている、と思う。臨時の特設椅子がぎっしり出るほどの満員に入りで、休憩をはさんで約3時間の舞台も長さを全く感じさせない充実した内容だった。
 「女相続人」はニューヨークの高級住宅街ワシントン広場に住むスロウパー医師の居間から幕開けする。医師の娘キャサリンは最高級の教育を受けたものの、内気な性格が災いしてか、なかなか父親が望むような縁談がまとまらない。叔母のラヴィニアと気を揉みながら、日夜穏やかにすごしている。そこへ、キャサリンの従妹が旦那の友達のモリスを連れて遊びに来る。キャサリンは死んだ母親の遺産(年1万ドル)に父親からも遺産(年2万ドル)をもらうことになっており、それを目ざとく聞きつけたモリスはキャサリンにうまく言い寄り、瞬く間に結婚の約束まで取り交わしてしまう。
 それを聞いた父親のスロウパー医師は定職のないモリスに反感を抱き、冷却期間を置くため、娘を折りから決まっていた6カ月間の欧州旅行に連れ出してしまう。それでもモリスへの思いを断ち切れないキャサリンは帰国早々にモリスと会い、改めて結婚の意志が固いことを告げる。それを聞いたスロうパー医師は帰国後体調を壊したにもかかわらず、結婚を認めようとせず、そんなことなら遺産はすべて診療所に寄付してしまうと宣言する。
 それなら、キャサリンは駆け落ちしてでも愛を貫こうとする。が、あてにしていた遺産が入らないことを知ったモリスは約束の時間になっても現れず、キャサリンに何も言わずに西部へ旅立ってしまう。それを知ったキャサリンは絶望のどん底に突き落とされながらもなおモリスへの思いを断ち切れず、父親に遺書の書き換えを迫る。しかし、スロウパー医師は我が子への愛情から遺書の書き換えはしないまま、息を引き取った。
 そして、2年後、すっかり苦しみから立ち直り、大人の落ち着いた雰囲気となったキャサリンは相変わらずノー天気な叔母のラヴィニアの強引な勧めで、いまなお
独身で遊び人のモリスの訪問を受け入れ、鉄面皮な求愛に内心呆れ返りながら表面はそれに応じたふりをする。欧州旅行の際モリスに買ってきたボタンを別れの印として手渡しし、偽りの結婚の約束をする。一時間後戻ってきたモリスがドアを激しく叩きながらキャサリンを呼び続け、キャサリンは改めて父親の愛を思い出しながら手燭を持ちながら寝室へいくところで幕となる。
 主演のキャサリン役の土居裕子さんが内気な乙女から情熱的な恋する女性、そして円熟した大人の女性を見事に演じ切った。相手役のモリス役の増沢望と何回も濃厚なキスシーンを舞台中央で演じていたのには見ている方が照れるほどだった。
 この「女相続人」は1947年に米国で舞台化され、その2年後にワイリアム・ワイラー監督が映画化し、映画自体もヒットし、主演女優のオリビア・デ・ハヴィランドがアカデミー賞をもらうなど評判を呼んだ、という。
 見ているうちにこの結末は一体どうなるのだろう、ヒロインのキャサリンが自殺してしまうのだろうか、それともモリスが改心して幸せな家庭を築くのだろうか、とも思ったが、意外や強きもの、汝の名は女なり、で終わった。米国の小説や映画では比較的、強い女性が描かれることが多い。日本だと、薄幸な女性を描くことが多いのだが、それが米国的といえば米国的である。西部開拓史でないが、逞しくないと生きていけない、というイメージがあるからか。
 あとこの演劇は俳優座プロヂュースと銘うたれているが、その割には俳優座の俳優が一人の出演していないのが気になった。俳優座にはもういい俳優がいないのだろうか。たまたま、他の公演に出払ってしまったのだろうか。 
 
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お粗末な朝毎戦争の将棋名人戦

2006-04-15 | Weblog
 日本将棋連盟の名人戦の主催をめぐって朝日新聞と毎日新聞が醜い争いを展開している。折りしも第64期名人戦が始まったばかりで、名誉ある戦いに水を差した格好となっている。話の発端はどうも日本将棋連盟の苦しい台所にありそうだが、お互い頭を冷やして、もっと将棋を普及するためにどうしたらいいか、を考えることからスタートさせた方がよさそうだ。
 将棋の名人戦は1935年に毎日新聞の前身、東京日日新聞がそれまでの終身制の名人位を今のような実力制とする提案をし、誕生した。その後49年から76年まで主催が朝日新聞に移り、77年から再び毎日新聞に主催が変わった因縁を持っている。今回はいまの契約金3億3400万円を朝日新聞が3億5500万円に上げ、さらに臨時棋戦4000万円、普及協力金1億5000万円を上乗せする5年契約で提示してきたのに日本将棋連盟が乗ったのが真相のようだ。いまのところ、毎日新聞に打診している様子で、正式決定は来月下旬の総会で決定される見通しだが、大勢は朝日新聞に移管されるのはほぼ間違いなさそうだ。
 将棋そのものがどのくらいの人口があるものなのか、は詳細にはわからないが、いま、将棋の名人戦がどこが主催していようが、いまいが気にしている人はそんなにいない。それこそ、一部の事大主義な新聞社の経営者くらいなものだろう。名人選の棋譜が載っているから新聞をとっている人なんて一握りしかいない。本当に好きなら専門の雑誌なりで見ればいいし、早く見たければそれこそインターネットのホームページで見れるようにすればいいだけのことだ。今頃、名人戦の主催で億ものお金を使うのは時代錯誤も甚だしい。朝日新聞も毎日新聞も経営者の感覚がずれている。
 名人戦の報道は日本将棋連盟の発表に沿って行えばすむことだし、なにも主催しているからといって特別な情報を独占できるわけでもない。将棋の名人戦を主催しているから毎日なり、朝日新聞をとっている人なんて、たかがしれているだろう。
 戦前の娯楽がほとんどない時代には将棋は庶民の一大娯楽だったかもしれないが、いまは他にいっぱい楽しいものがある。
 毎日新聞、朝日新聞さん、億以上のお金を使うのなら、もっと社会の役に立つような事業がいっぱいあるでしょう。社内で新規事業のアイデアを募集して、それと名人戦の主催とを比較検討したうえで、名人戦の主催を決めたらいかがですか。
 日本将棋連盟の台所がどんな状況になっているのか伺いしれませんが、将棋そのものがどれくらいみなさんに親しまれているのか、ゼロから見つめ直したらいかがでしょうか。将棋人口が減っているとしたら、なぜなのか、増やすためには何をしたらいいのか、考えて見てください。企業は日夜、いい商品を開発し、いかに宣伝するか、で頭を悩ませています。
 名人戦は何も新聞社だけが主催しなければいけないものではないでしょう。それこそ、プロ野球にならって、企業の冠をつけた「○○名人戦」にしてもいいではないですか。
 昨日、プロ棋士になった瀬川昌司四段がプロ棋士として初めてNECと所属契約を結んだ、と発表した。瀬川氏はもともとプロ棋士となる前にNEC系列の企業にいたこともあって契約を結ぶに至ったようだが、こうした柔軟な発想が日本将棋連盟の運営にも求められている。
 三者三様に改革が必要なようだ。 
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不気味な騰勢を続ける商品相場

2006-04-14 | Weblog
 このところ原油をはじめとする商品相場が軒並み上昇している。なかには史上最高値をつけているものもあり、先行き不安を抱かせている。先進各国の景気回復で、有利な運用先を見つけようとオイルダラーなどが暗躍していることもあるが、基本的には急増する需要に追いつかない供給の需給のアンバランスがあり、仮にかつての中東戦争のような異変が勃発するようなことがあると、世界経済は混乱に陥りかねない状況ともなっている。
 商品相場急騰の口火を切ったのは原油。イラク戦争以来じりじり上昇してきた原油価格はこのところ1バーレル(158リットル)60-70ドル台と過去最高水準に居座っている。続いて金相場。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の6月先物で1オンス(28.35グラム)608.4ドルと1981年1月以来25年ぶりの高値をつけた。さらに銀も1オンス11ドル台と1983年以来の高値をつけた。
 ロンドン金属取引所(LME)でも銅先物相場で、3カ月物が1トン5985ドルと史上最高値を、亜鉛も1トン2900ドルを越す最高値を付け、ニッケルも高値を付けた。いずれもさらに高値をつけそうな不気味な騰勢が続いている。
 世界経済は長らく低成長とデフレに悩まされてきたが、ここへきて中国、インド、ブラジル、ロシアのいわゆるBRICSの成長に支えられ、反転して市長への道を辿りはじめている。それが市長を通りこして、一挙にインフレへの道を辿ろう、としているのではないか、と思わせるのが、これら商品相場の急騰だ。
 もともと原油にしろ、金、銀、銅、亜鉛など資源は地球上に無尽蔵にあるわけではない。中国を筆頭にアジアアフリカ諸国の経済が成長するに連れ、資源をますます多く消費するようになり、需給バランスがとれなくなってくるのは自明の理だ。こうした需給のウンバランスを見越して、欧米のヘッジファンドが商品相場になだれ込んでいるのと、オイルダラーに象徴される資源マネーも加わって、さらに投機
現象を招いている側面もある。
 こうなると、もうだれにも商品相場の急騰を止められなくなる。これが、いま起きている実態だろう。
 かつて石油危機が到来した前のことをいまでもよく覚えている。世界各国とも成長期にあったせいか、いまのように商品相場が上昇しだしていた。で、たまたま、新潟県のある大手プラスティック工場が火事で焼けて、プラスティック製品の供給が大幅にダウンし、プラスティック製品の価格が急上昇し、大騒ぎしたところ、中近東で第4次中東戦争が勃発し、石油禁輸で原油価格が一挙に4倍となり、石油危機となった。トイレットペーパー、やティッシュペーパーなど石油関連製品がスーパーの店頭から姿を消し、パニックとなった。1973年10月のことである。
 いまのムードは当時と似たところがある。となると、水の他にろくな資源を持っていない資源小国たる日本はなす術がない。靖国問題で八方手ふさがりの小泉首相は黙ってみているしかないだろう。郵政民営化など国内のどうでもいいようなことばかりに精力を注いできた小泉首相にはおよそ資源外交なんて考えはない。ここは一刻も早く退陣して、資源外交のできる政治家と代わってもらいたいものだ。 
 
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生存確認できるか横田めぐみさん

2006-04-13 | Weblog
 北朝鮮に拉致されている横田めぐみさんの夫とされるキム・チョルジン氏の身元が日本でのDNA鑑定で、韓国から同様に拉致された金英男氏であることが日本政府から発表された。韓国にも北朝鮮へ拉致されていった人は1000人近くいる、といわれており、これで日韓共同で北朝鮮に対して拉致問題への解決を迫れることになり、一歩前進した。しかし、肝心の小泉首相は「誠意ある対応をしてほしい」と相変わらずまるで他人事のような木で鼻をくくったような姿勢で、全く誠意が見られない。
 横田めぐみさんの夫のDNA鑑定は娘とされるキム・ヘギョンさんと韓国から約28年前に拉致された金英男氏の親族(母と姉)のの間で行われ、99.5%の確立で血縁関係にある、と結論づけられた。これにより、横田めぐみさんは拉致仲間である金英男氏と結婚させられていたことが判明した。事情通によると、北朝鮮の人と結婚すると、秘密が北朝鮮内でばれてしまうので、拉致仲間同士ならその存在、および拉致されてきたことが暴露されかねない、との懸念からとられた措置だ、という。そうは言われていたものの、実際にそうという結果が出たことは横田滋、横田早紀江夫妻にとっては娘がまたまた意にそまぬ結婚を強いられていたことに複雑な思いは免れないことだろう。ただ、いまはなんとしてでもめぐみちゃんの生存、そして無事に帰還することを願うしかない、と思っていることだろう。
 数日前に韓国の中央日報がこのことをスクープしたが、どこから情報がもれたのか気になるし、事実スクープがあたっていたことにも改めて驚かされる。韓国のKCIAというか、情報網は並大抵のものではなさそうだ。
 この結果についてはたまたま来日中の韓国、北朝鮮の外交関係者に伝えられたが、北朝鮮の幹部は「拉致問題はすでに解決済み」と取り合う気はさらさらなさそうだ。これまでの拉致問題をめぐる北朝鮮とのやりとりで、北朝鮮側は一貫して拉致問題は解決済みとしてきているし、死んだとしている横田めぐみさんの遺骨のDNA鑑定についてもニセの骨とする日本側の結果を受け入れようとしていない。今回も鑑定結果について、なんらかの理由をつけて異議を唱えるのはまず間違いない。だから、単に結果を伝えるだけではそれこそ埒があかないだろう。
 今日発売の週刊文春では横田めぐみさんにはキム・ヘギョンちゃんともう1人男の子がいた、と報道している。夫とされる金英男氏の母親は北朝鮮へ行って、孫とされたキム・ヘギョンちゃんに会いたい、と言っているし、横田夫妻は金家族と会いに韓国へ行ってもいい、と言い出している。こうした国を越えた活動をして、国際世論を喚起して、北朝鮮を世界の”孤児”に追い込んでいくことも戦術のひとつだろう。かねて評判の悪い6カ国協議で北朝鮮を取り巻く包囲網を形成して、いまこそ6カ国協議で拉致問題を正式に議題として取り上げ、全面的解決に向けて策を講じるなど有名無実化している6カ国協議を実のあるものにするべきだろう。
 一枚岩の北朝鮮の壁を破るにはもうひとつ材料は欲しいところだ。小泉首相にはそれは期待できないので、それこそ期待の民主党の小沢新党首にでも期待したいところだ。
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格差が拡大する日本社会

2006-04-12 | Weblog
 機会があって、ベストセラー「下流社会」の筆者、三浦展氏の講演を聞いた。 70年代には中流意識が強かった日本社会はいまは下流意識が広がり、確実に格差は拡大している、という。格差を決めるのは所得、学歴、職業の3つだ、ともいう。氏は最近、女性の格差が拡大していることに注目しており、2000人を対象としたアンケート調査では上流・中流・下流が10対45対45の比率になった、という。こうした意識が実は消費行動に重大な影響を及ばすことにも大きな関心を持っている。
 三浦氏はパルコ、三菱総合研究所を経て、現在は「カルチャースタディーズ研究所なるマーケティング調査をする組織を主宰している。「下流社旗」は消費行動を調査するなかで生まれてきたもので、言葉のフィーリングと着眼点が良かったのがベストセラーにつながったのだろう。当の本を読まずに話を聞いたので、すんなりと頭に入ってこなかったのは失敗だった。
 ともあれ、氏の講演は面白かった。女性の消費行動で2つの頂点がある、1つは23ー27歳のパラサイトシングル(親と同居する独身)、もう1つは28-32歳のいわゆるDINNKS(子供のいない共稼ぎ夫婦)で、この2コブ集団が女性の消費行動を左右しているという。テーマの下流社会の目安となる年収は300万円だが、パラサイトシングルは年収300万円以下でも親がかりなので、一概に下流とはいえない。大体に下流意識を持っている女性は根気がなく、消費に興味を持っていない、という。それと、女性がやる気をなくすのは結婚と正社員になるかならないかの2つが分岐点である、ともいう。
 あと驚いたのは女性が朝日新聞の「アエラ」を読んでいるのは知っていたが、日経BP社の「日経ビジネス」をも結構愛読している、ということだ。ただ、「アエラ」は比較的に派遣社員が読んでいるのが多いのに対し、「日経ビジネス」はキャリアウーマンが多い、とか。
 これは雑談的に言っていたのだが、氏は最近新幹線のグリーン車に乗ることにしている。すると、30代の女性が結構グリーン車に乗っている、という。天下のトヨタ自動車が部長のグリーン車乗車を認めない、というのに女性が堂々と乗っているのは面白い現象である。見知らぬ男性と隣り合わせに座って不愉快な思いをするより、ゆったりとグリーン車で行きたい、と思うのは当然か。それに昔ほどグリーン料金は高くないし、グリーン車なら隣りに誰か座っても気にならない空間が保たれている。一度グリーン車で旅をすると、快適さは堪えられない。
 日本人は世界で見ても中流意識の高い国であった。それが、いま壊れようとしている。小泉首相の放任主義がもたらした結果であることは間違いないが、一方では努力した者が報われる構造も必要だ。
 階層を意識することが、消費行動にどう結びつくのか、確かに三浦展氏の着眼はいいところをついている。


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出版不況でも増える雑誌

2006-04-11 | Weblog
 出版科学研究所によると、2005年の雑誌の創刊数は201点で、前年より15点減ったものの、創刊から休刊誌を引いた雑誌の純増は14誌となり、相変わらずの出版不況のなかでも雑誌の生き残りをかけた生存競争は激しくなっている。201点ということはほぼ2日に一誌創刊されていることになる。市場が縮小するなかでも読者の嗜好をとらえようと手を変え、品を変え、関心を呼びそうな雑誌を創刊せざるを得ない、出版業界の宿命でもある。創刊された雑誌のジャンルで一番多いのは趣味の58誌、そのなかでもパズルが18誌もあり、次いでアダルトの28誌、コミックの27誌、エンタテインメント24誌となっており、完全に個人志向に向かっている。
 出版科学研究所にとよる2005年の雑誌の販売金額は前年比1.8%減の1兆2767億円で、8年連続のマイナスとなった。最近の若い人は本を読まなくなったと言われて久しいが、本の購入費が携帯電話の通信料に食われているのは紛れもない事実である。いわゆる活字離れ現象に加えて、R25に代表されるフリーペーパー誌の攻勢に押されているからである。
 05年の主な創刊誌には「クーリエ・ジャポン」(講談社)、「Glamorous」(同)、「駱駝」(小学館)、「Uomo」(集英社)、「GISEle」(主婦の友社)、「Real Simple Japan」(日経BP社)、「日経Kids+」(日経ホーム出版社)などが話題となった。ジャンル別の創刊誌では女性誌16誌、ビジネス・専門9誌、医療・健康8誌、自動車8誌、男性5誌、コンピュータ、ゲーム、スポーツいずれも4誌の順となっているが、このうち注目されるのは休刊がビジネス・専門(14誌)、医療・健康(9誌)、自動車(9誌)、コンピュータ(14誌)の4分野で創刊数を上回っていることだ。
 8年連続のマイナス成長でも19998年以来創刊誌の総数を休刊誌のそれが上回ったのはわずかに2002年だけで、それもわずかに1上回ったに過ぎない。しかも8年間の雑誌の純増数は275誌にものぼる。それだけ狭くなった市場のシェア競争は増しているわけだ。
 しかも出版社にとって雑誌の販売収入と並んで大きな収入源でもある広告費が05年は前年比0.6%減の3945億円と同じく54.8%増のインターネット広告費にもうすぐ抜かれそうな傾向となっているのも痛い。
 雑誌の創刊にはコンセプトづくりから始まって、市場のニーズ調査、プロモーション計画、広告代理店、取次会社への説明など多大なエネルギーを要する。編集長にでもなった暁にはそれこそ創刊前後は夜も昼もない生活を強いられることはざらだ。しかも創刊してからも魅力ある紙面つくりはもちろん、重層的なプロモーションが適宜必要で、定着するには3年から5年かかる。出版科学研究所の調べでは昨年休刊した雑誌の43%が創刊3年以内のものだったことからもそれは裏付けられている。
 それでも出版社を標榜する以上、読者のニーズを忖度して、雑誌を出版し続けなければならない。雑誌を刊行するということはそれだけ世中の動きを的確にとらえている何よりの証拠でもあるからだ。市場全体が縮小はしていてもそのなかで数少ない勝ち組をめざして、雑誌の創刊は続くことになる。
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