22日はNHKテレビの大河ドラマ「天地人」の最終回を見た。数週間前から前触れで宣伝していてなずこんなに早いのかと不審に思ったのと、約1年間のドラマの最後がどうなるのか、との興味もあった。火坂雅志の原作は読んでないが、ほとんど見てきて、米沢上杉藩の基礎を築いた直江兼続がいかなる最後を遂げるか、との人間的興味もあったのが見事裏切られた。あっけない最終回で、折角の盛り上げが台無しのいなったような感じを受けた。
最終回は通常の45分より30分長い75分で、大阪冬の陣を終えて、いよいよ戦争の世も終わり、治世の段階を迎える米沢藩で、直江兼続は後継ぎの景明を病気で亡くしてしまう。これで、3人いたわが子のいずれをも亡くしてしまう不幸に見舞われる。傷心の妻、お船はお家のためにといい、江戸にいる藩主の息子の養育をすることを申し出る。
一方、徳川幕府の体制も整って、大御所の徳川家康は直江兼続と伊達正宗を呼んで、2代秀忠の指南役となるよう要請する。伊達正宗はともかく、兼続には「愛」と「義」についてその本質を伝えてほしい、という。史実に基づいたものか、作者の創作かわからないが、常識的には一外様藩の家老に将軍の指南役を申しつけることはあり得ない。ドラマは徳川の家臣一同の願いで兼続が織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と続く戦国武将の武勇談を話すシーンがあり、兼続が戦国一の武将として石田三成を挙げ、家臣の反発を招くが、内容もさることながら、話すこと自体これもありえない話である。
あとは徳川家康が75歳の生涯を終えた後の、火の消えたような直江兼続夫妻のノスタルジックな新潟・春日山紀行の旅や、兼続の米沢に禅林学院の新設と隠居の話が続き、紅葉したもみじの樹の下で60歳にして往生したところで、完となった。
最終回にしては盛り上がりに欠けた終わり方で、こんなことなら大阪冬の陣の前回で終わったほうが良かった感じがした。1月はじめから面白く展開してきていただけに、竜頭蛇尾で終わったような気がしないでもない。NHK大河ドラマが今回、1カ月余も残して最終回を迎えてしまうとはいままでにないことである。来週から司馬遼太郎の「坂の上の雲」が始まるので、終了するようだが、それにしても最後をはしょったような感じである。
この「天地人」を見ていてずっと思っていたことはこうした戦国ものは織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3代の英雄といかに関わり合ってきたか、がドラマの焦点で、織田信長らにいかに認められ、評価されてきたかが、主人公の価値を量る尺度となっている・天地人の最終回も徳川家康が亡くなって、兼続は急速に光を失った感じであった。
作者の火坂雅志も当然そうしたことを意識して執筆していたことだろうし、この手法を使えば、加藤清正なり、福島正則なり、真田幸村なり、戦国武将を主人公にした小説が成り立つことになる。してみれば、「天地人」は形を変えた織田信長、豊臣秀吉、徳川家康伝でもある。たまたま、主人公は直江兼続ということになっていて、実は織田信長以下3代の英雄を綴ったものであり、舞台を春日山なり、米沢にとった、ということなのだろう。特に映像であるテレビドラマはその傾向が強いだろう。さ来年のNHK大河ドラマは「お江与」で織田信長の姪であり、2代将軍家忠の妻であり、よく知られている織田信長以下3代の英雄のエピソードが展開されることになる。日本人にとって織田信長以下の3代英傑はシンボルみたいなもので、テレビドラマにとって定番ということなのだろう。
最終回は通常の45分より30分長い75分で、大阪冬の陣を終えて、いよいよ戦争の世も終わり、治世の段階を迎える米沢藩で、直江兼続は後継ぎの景明を病気で亡くしてしまう。これで、3人いたわが子のいずれをも亡くしてしまう不幸に見舞われる。傷心の妻、お船はお家のためにといい、江戸にいる藩主の息子の養育をすることを申し出る。
一方、徳川幕府の体制も整って、大御所の徳川家康は直江兼続と伊達正宗を呼んで、2代秀忠の指南役となるよう要請する。伊達正宗はともかく、兼続には「愛」と「義」についてその本質を伝えてほしい、という。史実に基づいたものか、作者の創作かわからないが、常識的には一外様藩の家老に将軍の指南役を申しつけることはあり得ない。ドラマは徳川の家臣一同の願いで兼続が織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と続く戦国武将の武勇談を話すシーンがあり、兼続が戦国一の武将として石田三成を挙げ、家臣の反発を招くが、内容もさることながら、話すこと自体これもありえない話である。
あとは徳川家康が75歳の生涯を終えた後の、火の消えたような直江兼続夫妻のノスタルジックな新潟・春日山紀行の旅や、兼続の米沢に禅林学院の新設と隠居の話が続き、紅葉したもみじの樹の下で60歳にして往生したところで、完となった。
最終回にしては盛り上がりに欠けた終わり方で、こんなことなら大阪冬の陣の前回で終わったほうが良かった感じがした。1月はじめから面白く展開してきていただけに、竜頭蛇尾で終わったような気がしないでもない。NHK大河ドラマが今回、1カ月余も残して最終回を迎えてしまうとはいままでにないことである。来週から司馬遼太郎の「坂の上の雲」が始まるので、終了するようだが、それにしても最後をはしょったような感じである。
この「天地人」を見ていてずっと思っていたことはこうした戦国ものは織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3代の英雄といかに関わり合ってきたか、がドラマの焦点で、織田信長らにいかに認められ、評価されてきたかが、主人公の価値を量る尺度となっている・天地人の最終回も徳川家康が亡くなって、兼続は急速に光を失った感じであった。
作者の火坂雅志も当然そうしたことを意識して執筆していたことだろうし、この手法を使えば、加藤清正なり、福島正則なり、真田幸村なり、戦国武将を主人公にした小説が成り立つことになる。してみれば、「天地人」は形を変えた織田信長、豊臣秀吉、徳川家康伝でもある。たまたま、主人公は直江兼続ということになっていて、実は織田信長以下3代の英雄を綴ったものであり、舞台を春日山なり、米沢にとった、ということなのだろう。特に映像であるテレビドラマはその傾向が強いだろう。さ来年のNHK大河ドラマは「お江与」で織田信長の姪であり、2代将軍家忠の妻であり、よく知られている織田信長以下3代の英雄のエピソードが展開されることになる。日本人にとって織田信長以下の3代英傑はシンボルみたいなもので、テレビドラマにとって定番ということなのだろう。