鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

行政刷新会議の「事業仕分け」を実際に目撃し、目を瞠らされた

2009-11-17 | Weblog
 16日は東京・市ヶ谷の国立印刷局センターで行われている内閣府行政刷新会議の「事業仕分け」の傍聴に出かけた。地下鉄市ヶ谷駅で降りて、さてどちらへ行くのかと迷っていると、前方に重そうな黒い鞄を下げた男性が歩いているので、多分同じところへ行くのだろう、と後をついていくと、果たしてそのまま会場へたどりついた。入り口で持ち物検査などセキュリティ・チェックを受けた後、イヤフォンをもらって体育館みたいな会場へ入ると、テレビで見た通りの光景が飛び込んできた。3つのグループに分かれて、ロの字型に囲んだテーブルの一角に概算要求予算を決めた各省庁の担当者が座り、正面に国会議員らのとりまとめ役が、そして両側に仕分けの評価委員が囲む方式で、外側に傍聴席が設けられている。
 丁度、「関西国際空港補給金」を90億円から160億円に増額する案件について討議が始まったばかりのぶちあたった。国土交通省の担当者が関西国際空港の発着回数や有利子負債などの推移、財務構造など経営環境を説明し、なぜ増額しなければならないかを説いていく。続いて、財務省主計局の担当者がコメントを加え、仕分け人から「空港利用料の値下げで需要増を期待できるのか」、「支払い利子だけで年間227億円もあるのに民間企業なら倒産ではないか」、「伊丹、神戸空港との棲み分けをどうするのか」などといった質問がなされ、約40分にわたり、質疑応答が行われた。
 聞いていて、経営側の経費削減などの努力に触れないのはおかしい、と思っていたら、最後に外人委員から「人件費などの経費削減はどうなっているのか」との質問が出て、「これまで76億円の経費削減をしてきているし、84人の人員削減をしている。21年度も226億円の削減をする」といった回答がなされた。また、地元の橋本大阪府知事が「補給金など要らない」と発言したことも指摘されたが、これについては特段の言及はなされなかった。
 で、仕分け人の評価シートの集計があり、2人が「廃止」、9人が「見直し、ないし凍結」と評価したことが判明し、最終的には「伊丹、神戸との3空港との棲み分けを含め抜本的解決策の結論が出るまで凍結」ということになった。
 続いて討議された住宅金融支援機構の証券化支援事業で726億1200万円もの予算を計上している案件は単年度の必要額ではなく、出資金という基金の予算というからくりが明らかにされ、あっさりと単年度必要額を計上すべきとの結論となった。
 午後は厚生労働省の「介護サービス適正指導事業」(計上額4億5200万円)については予算消火額が半分にも達していない予算作成上の不備が指摘され、各地方自治体に移管すべきとの結論となった。
 さらに農林水産省の水産基盤整備事業(予算計上額1015億2600万円)、国土建設省の港湾整備事業(同1864億800万円)が俎上に乗せられた。そもそもの事業の在り方から議論が行われるので、初めて聞く者にとっては予算の立て方から国の基本的な考え方まで知ることになり、それなりに面白かった。結論はいずれも「10%削減」となり、最後は財務省主計局の担当者のペースといった感じだった。
 1000億円を超えるものから数億円の案件まで同じように時間をかけてやるのもどうか、と思われるので、もっとメリハリをつけてやることもいいのではないか、と思われた。
 国の予算がどういう考え方で作られているのか、がよくわかり、国会議員、有識者、官僚がシナリオなしにモロにぶつかる場面を目撃できる機会はそうざらにはない。しかも国民が直に見られることなんて、初めてのことで、まさに歴史的な機会に遭遇した喜びはなにごとにも変えられないだろう。
 国だけでなく、県や市など地方自治体もこうした手法を取り入れるべきで、そうすれば、市民はいかに税金が使われているのかを身をもってしるところとなり、投票ひとつにしても行動が変わってくることだろう。
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