鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

障害者雇用率の適用を一企業でなくグループでの適用がなぜできない

2009-11-26 | Weblog
 東京都心の企業に勤める知人のYさんは人事部に所属している。先日話していて、障害者雇用のこととなり、Yさんの会社が法定の障害者雇用率を下回っているため、同じビル内にあるグループ会社の障害者を移籍させて、なんとかクリアーさせる計画だ、という。障害者どころか、健常者の就職すら怪しくなっているのに法定の障害者の雇用率を守るのも厳しいと思わないわけでもないが、グループで法定の障害者雇用率を達成する、という考え方がなぜできないのか、と思った。
 Yさんの会社は常用雇用者は6600人おり、雇用障害者は105人いる。障害者雇用率は1.6%弱で法定の1.8%に達していない。不足数は9人で、このままいくと雇用納付金(1人当たり年5万円)を納めないといけないだけでなく、違反企業として社名を公表されることになる。違反企業として公表されると、反社会的企業の烙印を押されることとなり、なにかとまずいこととなりかねない。そこで、Yさんらは同じビル内に本拠を構えるグループ企業が法定雇用障害者率を守っているのに目をつけ、障害者の本社への移籍を行うことで、両社とも法定障害者雇用率を達成したことにしよう、と考えた。
 で、Yさんに障害者雇用率は一企業単位だけでなく、企業グループでとらえる考え方はないのか、と聞いてみた。ところが、厚生労働省当局の担当者には通じない、と即座に否定された。
 かつて、鈍想愚感子が社長を務めていた時にグループの子会社が千代田区のあるビルに固まっていたところ、全部あわせると使用面積が1000平方メートル以上、従業員100人以上となり、東京都の事業所税なるものの適用基準を満たしていることに着目され、「みなし事業所税」として過去3年にさかのぼって徴収されたことがあった。
 担当税務署の60歳がらみの署員が説明にやってきて、こちらが「どう考えても得心がいかない」とねじ込んだところ、その署員はポツリと「私たちもそう思わないこともないんですが、仕事なんおで……」とつぶやいた。税務署としては取れるところから取る、というスタンスだったのだろう。結局はその時に過去3年分ということで500万円弱の税金を持っていかれた。その後は毎年、事業所税なるものを徴収されたのはいうまでもない。
 当時の相手は東京都だったが、障害者雇用の担当は厚生労働省である。今回も同じように「みなし障害者雇用」ということでグループ単位の雇用率という尺度があってもいいように思われる。役所が違うとものの考え方が違う、もしくは担当者のよって考え方が違うということなのだろうか。
 別に悪意を持って違反しているわけではなく、法律の趣旨に沿って努力してはいるが、諸般の情勢でやむを得ずそうなっているのだから、努力のほどを認めてくれてもいいのではなかろうか。景気の先行きが思わしくなく、健常者の雇用を守るだけでも精一杯なのに、障害者の雇用を守っていくのは並み大抵のことではない。統計によると、全国の雇用者数は5700万人おり、これに対し在宅の障害者は350万人(2006年)と約6%くらいいる。社会全体で1、8%の雇用率を守るということはそれなりに施策であると思われるが、実施にあたっては当面する情勢に応じてもう少し柔軟に構えてもいいのでなかろうか。 
 
コメント
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