鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

セレブ生活の演出に大きな役割りを果たしたブログの怖さ

2009-11-02 | Weblog
 34歳女性の詐欺師が新聞・テレビの話題をさらっており、20数年前のあの三浦和義のロス疑惑事件のような様相を呈している。現在は2件の結婚詐欺の容疑で身柄拘束中であるが、他にも4、ないし6件の殺人の疑いがかかっており、検察は立件に向けて鋭意捜査を進めている。次から次へと出てくる詐欺の実態が明らかになるにつれ、稀代の詐欺師であることが浮き彫りとなってきたが、詐欺の舞台となっているのが自身を主人公とするブログであり、本人以上のイメージを作り上げることに大いに役立っていて、IT社会を象徴した犯罪となっているのがショックを与えている。
 テレビで報道される女詐欺師のブログは自身で作った料理を披露したり、高級車を乗り回し、都心の高級マンションに住むセレブぶりを紹介していて、叶姉妹を思わせる内容、という。それでいて、夫に尽くす奥さん願望を漂わせ、読む者に理想の奥さん像を与える内容となっている。自身の写真も掲載しているが、口から下だけを写したり、長い髪を垂らした後ろ姿だけで、あとは想像を掻き立てるうまい造りともなっている。
 このブログを結婚サイトや出会い系サイトにアクセスしてくる精神的に満たされない男性に見てもらうように工作し、次から次へと寄ってくる男性にある時はフードコーディネイターと称し、ある時は栄養大学院生と称し、勉学のための資金が不足しているので、援助してほしい、と持ちかける。また、ある時は介護士に扮し、介護しながら巧みに取り入り、お金をせしめてしまう。結婚願望の男性に対しては結婚を餌に学資や新家庭を築くためのお金を出させてしまう。こうした詐欺で集めた金は合計1億円にも達する、という。
 新聞テレビではまだ容疑が固まってない段階なので、仮名で画面ではぼかしてしか写していないが、週刊新潮11月5日号では「パ^キンを持った34歳『女詐欺師』から漂う死臭」とのタイトルで、その女詐欺師の木嶋佳苗という実名と顔写真を掲載している。テレビなどでは「普通の女性」と表現しているが、その通り、小太りのすれ違っても決して振り返ることのない普通の女性で、とてもブログで作り上げられたセレブというイメージはない。
 女は北海道根室の別海町という見渡す限り草原といった人口1万6千人くらいの町で、会社経営者の父を持つ裕福な家庭に生まれ育った。が、母親の交通事故で家庭が崩壊し、父母を相次いで亡くし、高校卒業後は東京に出てきた。その後の生活はまだ明らかとなっていないが、定職に就いた形跡はなく、セレブに憧れていきついた先が詐欺師の生活のようだった。
 天涯孤独な女性が自らの生活を設計していくのにブログを武器にしよう、と思いついたきっかけは一体何だったのだろうか。最初は正直に自己紹介だけを掲載していたのが、段々エスカレートしていって、自身とかけ離れたセレブの虚像をつくりあげていて、それが詐欺を働くうえで大きな効果を発揮することに思い至ったのだろう。あとはセレブぶりをさらに加速していったのだろう。
 1日のTBSテレビの「サンデー・ジャポン」でコメンテーターのテリー伊藤が「犯人は睡眠導入剤や練炭を使って血の出るような場面を見ていないので、ゲーム感覚で犯罪を犯している。罪の意識が薄いのだろう」と言っていたが、ブログで作り上げた虚像といい、自らが主役を演じた劇の一幕でしかない、という感覚だったのかもしれない。
 
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