鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

捜査の盲点をついて逃亡していた市橋容疑者

2009-11-11 | Weblog
 2年7カ月前に英人、リンゼイ・アン・ホーカーさんを殺害した容疑で指名手配されていた市橋達也容疑者が10日、大阪市住之江区南港のフェリーターミナルで逮捕された。フェリー会社の社員が「市橋容疑者に似た男がいる」と110番通報し、逮捕となったもので、先月末に市橋容疑者が整形手術で顔を変えているとして整形後の顔写真が出回り、スピード逮捕となった。千葉市行徳警察署の必死の追及が実を結んだようで、このところ凶悪事件の続くなかでの快挙となった。
 10日朝、フジテレビの「とくダネ!」は冒頭から電話インタビューによる市橋容疑者の母親の肉声を流した。事件発生直後から岐阜県羽島市の市橋容疑者の実家には24時間監視状態となっていて、市橋容疑者も寄り付けず、一切接触がなく、母親も死んだものと思って諦めていた、という。生きていたことがわかって、改めて「警察に出頭し、本当のことを話しなさい」と呼び掛けたもので、これを聞いた市橋容疑者もさぞかし観念するだろう、と思われた。
 市橋容疑者の身長は180センチもあり、日本人としては大柄でなにをしようにも目立つ、という。しかも逃亡当時は着の身着のままで、生活用具は碌に持っていなかった。それが2年7カ月もの長い間、完全に消息を絶った状態でいられるのはまず考えられないことだった。犯罪に詳しいものの関係者のなかにはこうした犯罪者を匿まう支援グループの組織がある、もしくは男娼の世界に潜んでいる、とも言う向きもあった。
 ところが、こうした観測を裏切るような整形手術をしていたとの事実が先月末になってにわかに浮上した。名古屋市の整形手術医を市橋容疑者に似た男が現れた、というのだ。その前後に大阪、福岡にも出没していたことがわかり、今月5日になって手術前後の写真が公開されるに及んで、市橋容疑者の動静が詳しくわかるようになってきた。それによると、市橋容疑者は08年8月から09年10月まで大阪府茨木市の土木会社の寮に住み込みで働いていたことが判明し、その後海外逃亡を企てパスポート書類などを準備していたことが判明した。
 公開された整形写真によると、事件当時吊り上った眉目だったのが、平行な眉目となっており、ちょっと見には市橋容疑者とはわからない状態となっている。これで、世間の目をくらまし、気づかれることなく潜伏できていたようだ。ところが、整形後の顔貌が元に戻る習性があるのか、再び整形しようと思って名古屋、大阪市の整形外科医を訪れたことが命取り、となった。
 市橋容疑者がテレビを通じての母親の肉声を聞いたのかどうか、定かではないが、逮捕当時の市橋容疑者は素直に認めたという。これだけ指名手配写真が出回っては最早逃げ切れない、と観念していたようだ。逮捕され、大阪から千葉市行徳警察者へ護送される際のテレビ映像を見る限り、元の容貌に戻っているように映っていた。
 女性ならすぐに整形手術ということを考えるが、男性については思いつかないのが通例である。少なくとも08年8月以前にどこかで整形手術を受けたのは間違いない。そのお金をどう工面したのか、そしてそれまでの1年半もの間、どこで何をしていたのか、今後解明しなければならない点は多い。いま言えるのは2年7カ月の捜査の間、整形手術関係に捜査が及んでいなかった点は反省すべき点だろう。今後の捜査に貴重な先例を残してくれた、といっていいだろう。

追記 10日夜逮捕された市橋容疑者は2日経った12日まで出されたお茶以外、口をつけずにハンガーストイライキに入っている、と伝えられている。リンゼイさん殺害について話せば、無期懲役は免れないので、完全黙秘して検察に対抗する構えとみられる。黙秘は法的に認められた行為なので、裁判でも黙秘した態度で意を判断されることになるが、ハンガーストライキとなるとこれまであまり例がない。ずっと食べなければ衰弱死に至るだろうが、実質的に罪を認めて自殺した、ということになるので、それでもいい。あとは父母など肉親に対する市橋容疑者の気持ちということになるだろう。
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