鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

円高相場を演出したのは総額6000兆円を超える国際投資ファンド

2009-11-28 | Weblog
 円相場が27日午前、1ドル84円82銭と14年4カ月ぶりの高値をつける水準まで上昇した。その後、藤井裕久財務大臣の「一時的に偏った動きである」として財政出動に出ることもありうる、との含み発言があって、持ち直しているが、円高懸念は去ったわけではない。今回の為替変動は米国経済に対する立ち直り不安に加えて中東ドバイの債務返済懸念が起きて、通貨不安が国際的に広がったためとみられるが、各国通貨がじり安となっているなかで、日本の円だけが独歩高となっている。外から見た日本経済は内から見たものより違って見える、ということなのだろうか。
 今回の円高をもたらした最大の要因は国際間を流動する投機マネーにある、と考えられる。昨年9月にリーマン・ショックが起きるまでは米国内の投資ファンドが競って仕組んだサブプライムローンがらみのCDS(クレジット・デフォールト・スワップ)なるものが世界に6000兆円を超える規模であることが判明し、これらがいずれも焦げ付いていて、そのツケをどこかに回そうと必死のなって投資先を求めている事実が明らかとなった。CDSの規模は実態経済の2~4倍の規模にのぼるとされており、これがどこへ向かうかで、金利をはじめ為替など国際金融情勢が大きく左右されることになる。
 従来はこうした国際投資ファンドの拠り所は米ドルで、米国の発行する国債に帰着していたが、米国経済が世界経済の牽引車としての役割りを降りたことから、米ドルに対する信頼が揺らぎだした。
 そこで、一斉に向かったのがまず金だった。長らく金相場は安定していたが、この9月に史上初めて1トロイオンス(31グラム)1000ドルを突破して以来、この25日には1187ドルをつけ、さらに上昇気配にある。つい、数年前には原油をはじめとする貴金属、大豆など各種商品相場に金が殺到し、軒並みに国際商品相場が上昇したことがあったが、いまのところ金相場だけに向かっている。
 その国際ファンドが着目したのがどうやら日本の円相場のようだ。90年代のバブル崩壊以来ずっと低金利できているうえ、先ごろデフレ宣言も出て、消費者物価も落ち着いているようだ。この先も着実な経済運営が期待できそう、と見ての決定だろう。
 もとより、円に対する信任というより、米ドルへの信頼が崩壊しているし、欧州ユーロもいまひとつ安定に欠ける、ここは円が比較的安定しているように見える、という相対的なものなのだろう。
 鳩山民主党政権は発足して2カ月余り、いまは「事業仕分け」で22年度予算の編成作業に必死に取り組んでいる最中で、とても日本経済立て直しの経済施策の立案にまで手が回っていないが、その先には国際投資ファンドというわけのわからない、実態の掴みにくいモンスターのようなものが控えていることを念頭に置く必要がありそうだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする