吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2017年3月27日〈エッセー〉054:「上田製菓」6月廃業

2017-03-27 16:49:30 | エッセー

 

写真①:6月で閉店する和菓子の名店・「上田製菓」

       =福津市津屋崎3丁目で、2017年3月23日撮影

 ・連載エッセー『一木一草』

 第54回:老舗和菓子店廃業へ

 福津市津屋崎の「上田製菓」6月閉店へ

また消える〈津屋崎千軒〉の和のスイーツ土産

  福津市津屋崎3丁目の〈津屋崎千軒通り〉にある江戸時代からの和菓子店・「上田製菓」=写真①=が、6月で廃業されます。店主の上田弘美さん(79)が体力的にきつくなっての店じまいといい、明治時代から作られていたが後継者がなく、2012年に廃業された香立商店(津屋崎4丁目)の「つやざき飴」に次いで、〈津屋崎千軒〉の和のスイーツ土産がまた一つ消えさるのは悲しいことです。

  「上田製菓」は、徳川幕府に開国を迫った米使ペリーが浦賀に来航した江戸末期・嘉永6年(1853年)の翌7年(1854年)には営業していたという老舗。 上田さん手作りの「破れ饅頭」(小豆餡)や「紅白饅頭」(白餡)など1個60円の饅頭が安くて旨いと人気で、白餡に青海苔入りの「恋の浦饅頭」は観光客のお土産にお薦めです。昔は、丁稚奉公の菓子職人さんらもおり、店の隅には大正時代に使っていた法被を展示。また、上田さんご夫妻は座敷や家紋、江戸時代末期の手鏡、明治時代の漆塗りおぼんなども公開しており、〈津屋崎千軒〉観光の代表的な町家の一つでした。

  〈津屋崎千軒〉の町家の解体は、古風な町並みの破壊の始まりです。2008年に旧本町(津屋崎4丁目)にあった旧荒物屋で凝った建具が目立つ築百年の「高山邸」(木造2階)と、旧沖町(同)にあった江戸の風情を見せる土壁漆喰塗り二階建ての元米屋・「河崎邸」が解体されました。10年には津屋崎海岸通り(津屋崎3丁目)の旅館「魚正」が閉店、12年には津屋崎4丁目の〈津屋崎千軒通り〉の「瀬戸隆鮮魚店」も閉店したほか、17年には近くの「松原化粧品店」が廃業し平屋の町家が解体されて更地となり=写真②=、旧天神町(津屋崎3丁目)の「上妻傘屋」の町家のシャッターには廃業で「貸店舗」の表示が貼られています。

 

写真②:町家が解体されて更地となった「松原化粧品店」跡

      =福津市津屋崎4丁目で3月23日撮影

  〈津屋崎千軒〉の町並みの雰囲気に惹かれ、福津市外からの移住者が増えても、大半が会社員や公務員などの勤め人で、店舗営業者の進出が少なければ、相次ぐ閉店で町家のシャッターが降ろされ、建物が解体されて更地になっていき、〈津屋崎千軒〉の古風な趣のある町並みは廃れてしまいます。年に一度のイベントで賑わいを演出するだけでなく、一年を通して来訪者が絶えず、〈津屋崎千軒〉の店舗の売上増につながり、市の税収も潤う観光地域づくりを戦略的に推進するDMOなど新たな地域創生の手法が、いま福津市に求められているのではないでしょうか。

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