写真①:医療法人恵愛会経営「福間病院」の正門
・連載エッセー『一木一草』
第39回:第45回福間春季大学を受講
「福間病院」の基本理念に感動しました
〈精神病者への妙薬は愛 その処方箋は語らい。
患者と共に緑の大地を踏もう。輝く陽光を浴びよう〉
福津市花見が浜1丁目にある医療法人恵愛会(江見五城理事長)経営の「福間病院(診療科目=精神科・心療内科、デイケアなど)」=写真①=で4月24日午前、同病院主催の第45回福間春季大学を受講し、藤川英昭・同病院精神保健指定医から、65歳以上の約15%が患者という「認知症の早期発見・早期対応について」の講演を聴きました。講演に先立つ挨拶で、東(ひがし)和也院長が語られた同病院設立の経緯と基本理念の素晴らしさに感動しました。
東院長の話によると、「福間病院」は昭和30年(1955年)、佐々木勇之進・初代院長が直方市の炭鉱主・旧堀三太郎氏の別荘敷地(3万坪)に、精神病の患者さんが行動制限されず、庭園を自由に歩ける日本初の精神科自由開放療法の〝ガーデン・ホスピタル〟として開院。日本のデイケア施設認定第1号に輝いたほか、精神科リハビリテーションにも早くから取り組み、街で大暴れしたりした患者さんを夜でも受け入れる精神科の「スーパー救急」が開設されるなど、すごい病院だという。
約1時間の講演終了後、私は約150人の受講者とともに、病院職員の方たちの案内で敷地の庭園を正午まで約1時間散策。堀三太郎氏が残した庭園では、赤いツツジの花や藤棚の紫色の藤の花が満開で、春の陽気の下、園内を歩く患者さんはもちろん、だれしも晴れ晴れとした気分になりそう。庭園の隅に建てられた「われらが誓い」と題した石碑=写真②=には「福間病院の職員は、その職種の如何を問わず、看護者でなければならない」として次の文章がつづられていました。
〈第一章 精神病者に光と土を
一. 精神病者への妙薬は愛 そしてその処方箋は語らいである。患者と共に緑の大地を踏もう。さんさんと輝く陽光を浴びよう。
二. 一木一草たりといえども、これことごとく治療の道具である。患者との信頼を軸とし緑に包まれた病院を作ろう。〉
写真②:庭園の隅に建てられた「われらが誓い」と題した石碑
気持ちの良い庭園散策を終え、「福間病院」の正門を出る直前、右手に「第二章 健康の要諦」と題した石碑が建っているのが目に止まりました。碑文には〈健康の要諦は、光と土になじむことにある。心の健康にも、体の健康にも〉と刻まれています。「われらが誓い」の第二章のようです。精神医療の先駆的病院として創設から60年の実績を重ねた「福間病院」の基本理念は、そのまま私たちが心身共に健康な生活を送るための指針でもあると思われます。