写真①:瀬戸内海の港町・室積の眺め(向こう正面の「室積半島」左端が「象鼻ケ岬」)
=山口県光市室積東ノ庄の「かんぽの宿光」5階から、2011年10月27日午前7時10分撮影
きょう10月29日から、〈光市・町歩き〉シリーズを掲載します。岳父の墓参で26日、山口県光市室積(むろづみ)にある岳父家の菩提寺「如宝寺(にょほうじ)」(臨済宗)を訪れ、散策した同市の名所・旧跡を紹介します。
〈光市・町歩き〉 1
:北前船の寄港地・室積
光市は山口県東南部の瀬戸内海に面し、人口5万4千人。室積は江戸時代に北前船が寄港した瀬戸内海有数の港町で、回船問屋や多くの商家が軒を連ねて栄えました。温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれ、白砂青松の室積・虹ヶ浜海岸や、象鼻ヶ岬(ぞうびがさき)など風光明媚な海岸部は瀬戸内海国立公園に指定されています。室積東ノ庄の高台にある「かんぽの宿光」(鉄筋コンクリート6階建て)の5階から見下ろした眺めは、絶景です=写真①=。室積は、もと無漏津海、室津海、または室住と言われていましたが、室は年中風がないでいて室の中にいるようだとの意味という。
室積には、海外貿易の隆昌をきわめた足利・室町時代からの古い町並みで知られる「海商通り」があり、海上交易で栄えた福津市の〈津屋崎千軒〉通りと同じように、古風な趣のある白壁格子造りの町家が並んでいます=写真②=。〈津屋崎千軒〉では、軒を連ねた町家の間の狭い通路を「スアイ」と言いますが、室積では人ひとりがすれ違うのがやっとの狭い路地のことを「アイゴ」と呼んでいます。
写真②:足利・室町時代から海上交易で栄えた「海商通り」に並ぶ町家
=山口県光市室積3丁目で、岳父の13回忌法事で訪れた2010年2月4日午後4時20分撮影
潮の香りが漂う室積の町並みを歩くと、津屋崎と同じようなほっとした気持ちで胸が膨らみます。光市では、歴史的町並を保存しようと「保存地区」を選定し、対象地区の道路に面した建造物の修復(家屋)、修景(門、塀)に対し、補助を行う「光市町並保存事業」を実施しています。福津市の〈津屋崎千軒〉の町並みにも、こうした施策が望まれます。
「山口県光市室積」位置図