写真①:母屋2階に対で制作された「浦島太郎」(左側の戸袋)と「牛若丸」(右の側の戸袋)の鏝絵
=山口県下関市豊浦町室津下で、2017年4月2日午前10時5分撮影
「室津の鏝絵」巡りリポート④
「浦島太郎」と「牛若丸」の鏝絵
昭和の時代まで製菓業を営んでいたという室津4区の西村家の母屋2階戸袋(平側)には、「浦島太郎の鏝絵」と、「牛若丸の鏝絵」がありました=写真①=。石州(島根県)左官・井沼田枡市(ますいち。一説には後に冨士永桝市)氏の作と伝えられています。
左側の戸袋にある「浦島太郎の鏝絵」=写真②=は、鮮やかな色彩です。亀に乗った浦島太郎は、右手に釣りざお、左手に玉手箱を持つのが普通ですが、この絵柄では筆を肩に担いで大福帳を左手に抱えています。お饅頭の売上を大福帳に筆書きしている製菓業を象徴しているようです。浦島太郎の頭上には、鴎ならぬ3羽の鶴が飛んでいます。
写真②:色鮮やかな「浦島太郎の鏝絵」
右側の戸袋の「牛若丸の鏝絵」=写真③=には、京都五条橋を軽やかに跳ぶ牛若丸が描かれ、橋の上には戦いに負けた弁慶の刀や薙刀、鎌が置かれています。
写真③:京都五条橋を軽やかに跳ぶ牛若丸や弁慶の刀や薙刀などが描かれた「牛若丸の鏝絵」