『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

プチお出かけ

2020-09-22 04:35:00 | 食物・飲物
お盆に墓参りに行ったばかりだが、
カミさんに促されて、
早朝から彼岸参りに赴いた。

百日紅(サルスベリ)が
青空に映える初秋の彩りで
眼を癒してくれた。




金馬の『雑排』に…

 狩人に
  追っかけられて
   猿滑り

…という、
八公の吐いた戯れ句がある。

他にも、
「春雨」や「初雪」
「梔子(クチナシ)」での
笑句がある。

 船底を
  ガリガリ齧る
   春の鮫

 
 初雪や
  これが塩なら
   金儲け

 
 クチナシや
  鼻から下は
   すぐに顎




カミさんに
お昼を誘われて、
久しぶりに行き付けの
鮨屋に行ってきた。

親方の真ん前に
席を取ってくれ、
“お好み”で
あれこれ握って頂いた。

初貫は
今が旬の
炙り秋刀魚から。

茗荷が添えられ
表面は焼魚の風味がし
中はレアである。

フレンチで言うところの
ティエド(生温か)な逸品だ。

これ一貫で
ひとつの完成された
料理のようでもあった。

続いては
小鰭。

小ぶりの
いい型であった。

この銀屏風のような輝きから
青魚類は総じて
“ひかり物”とも言われる。

中でも
小鰭は江戸前仕事の
代表である。

煮ても焼いても食えぬ
と言われる魚が
塩と酢で〆ることで
秘められた旨さを
極限まで引き出される。

「魚」偏に「旨い」と書いて
「鮨(すし)」と読むのも
なかなかに佳く出来ている。

カミさんも
光物が好物なので、
続いても〆鯖。

血合いの薄紅色が
艶冶に美しく
朝方に見惚れた
百日紅の花色を彷彿させた。

舌触りも
ねっとり絡みつくようで
結構なテクスチュアである。

ブランド物の関鯵は、
分葱をパラレルに2本背負い
何処かガンダムみたような
出で立ちが微笑ましい(笑)。




この日は
白身を割愛して
“ヒカリ四兄弟”で攻めて、
南鮪の中トロを
メイン・ディッシュとした。

ネタの両端が
付け台につくのは
“お女郎すし”と言って、
本来は品佳しとはしないものだが、
中トロに関しては
まるで緋縮緬の裾を引きずる
その姿を想像させ、
艶な形である。

煮物の穴子は
ひと炙りしてから
供されるので、
焦げの仄かな苦みが
旨味を引き〆めてくれる。

口中に居残る旨味を
純米吟醸で流し込みたい
という欲求に駆られたが、
真っ昼間からではそうもいかず、
泣く泣く粉茶で漱いだ。

ここいらで
“変化球”として
生牡蠣を剥いてもらった。

まさに、
“おまかせ”でなく
“おこのみ”なので、
変幻自在に、好きなように、
勝手次第で、喰っている。

フレンチも通い慣れると
“お決まり/お仕着せ”の
コースには飽き足らず
“アラカルト”で
マイ・コースを創出したくなるものだ。

それに、
ヴィアン・マリアージュ
のヴァンを見立てて
メートル・ドテル(給仕長)から
「素晴らしい選択ですね」
と褒められたら
グルマンとしては一人前である。

もっとも、
それまで、数百の場数と
数百万の授業料を支払わねば
“高み”からの風景には
到達できない。




古物店で
見つけてきた
お宝プレートから
インスパイアされて
オードヴルとポワソンの
二皿を製作してみた。

『リエット・ド・クラブ・オー・マイス』は、
フランス産の蟹のリエットに
フロマージュ・フレ(クリームチーズ)を
合わせて、より濃厚な味に
仕上げてみた。

マイスは、
焼きトウモロコシである。




メインは
『ソテー・ド・マクロー・オー・フィーグ』
(鯖のソテー 無花果添え)。

レモンオリーヴで
鯖を焼いたフライパンを
ヴァン・ブランで
デグラッセ(旨味を煮溶かす)後、
ミエル(蜂蜜)を加え
キャラメリゼして、
ライムで酸味付けする。

仕上げは
火からおろして
フエ(泡だて器)を用い、
バターでトロミと
コクと香りを付け加える
「ブール・モンテ」という
技法で仕上げる。

フレンチを創る時は、
いつも脳内を
フレンチ用語に切り替えて
調理作業をしている。

そうでないと、
単なる洋風お惣菜に
堕してしまうからである。



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