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『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

Déjeuner de mai「五月の昼餐」

2025-05-09 07:09:48 | フレンチ

 

私的13連休の
最後のきのう。

久しぶりに
三ツ星フレンチに
出掛けてきた。

在京中より
四十年ほど通ってる
常連のお店である。

シェフ・マダムとも
親戚みたいなもんで、
いつ行っても歓談を交えて
楽しく過ごさせて頂いている。

料理は天下一品なので
今更、言うまでもない。

きのうも
晩春のムニュを楽しんできた。



アミューズは、
岩手産大目鱒のマリネ
近海蛤の温製   
イタリア水牛モッツァレラ
トマトジュレ。

フレンチ勉強の為に
AIに仏訳してもらった。

Mariné d’omble noble du Iwate, palourdes tièdes de nos côtes,
Mozzarella di bufala artisanale et fine gelée de tomate.

外は夏日の暖かさで、
それもそのはず……
端午の節句を過ぎれば
もう立夏で、
暦の上では初夏である。

マリネやジュレには
涼やかさを感じさせられた。

 



オードヴルは、
大分産天然真鯛の本海老クネル包み、
玉川村の絞りトマト。

Quenelle de crevette enveloppée de daurade sauvage d’Ōita,
tomate pressée de Tamakawa.

シェフお得意の
パートフィロを使って
パリリと仕上げた逸品である。

本海老とは、
駿河湾の特産品らしく、
甘エビよりふた周りほど大きく
白っぽい殻だという。

【鯛で海老を釣る】
ではないが、高級品どうしの
出会いものが、不味かろう筈もなく、
上品な甘味と香りが
口中も鼻腔も満悦させてくれた。

なぜか、イタリアの大衆ワイン
『ペッシェ・ヴィーノ』の
透明な魚型ボトルに入った
白ワインが脳裏に浮かんだ。

きっと、脳内で
勝手にワイン歴から
ペアリング候補に挙がったのだろう。

 



ポワソンは、
大目鱒のクネル
ロワール産ホワイトアスパラガスの
グラチネ。

Quenelle d’omble noble,
asperges blanches de la Loire gratinées.

シェフにしては、
珍しくクネル続きで、
客の好みを慮って下さったようだ。



なんてったって、
仏産のアスペルジュの 
味と香りの
力強いことよ❗️

仏国が、あらためて、
農業国てあることを
再認識させられた。

ガルニに負けまいと
大分の鱒もいい味を出している。

 



ヴィアンドは、
ガチョウのフォアグラと
リードボーのメダイヨン
エストラゴンの香り。

Médaillon de foie gras d’oie et de ris de veau, parfumé à l’estragon.

主役級の二人の
揃い踏みである。

エストラゴンの香りは
去りゆく春を偲ばせるような
切ない残り香のようであった。

 



デセールは、
チョコレートとアーモンドのビスキュイ
グラス・ド・フレーズ。

Biscuit au chocolat et aux amandes,
glace à la fraise.

グラスに仕立てた
シェフお手製の
苺のコンフィチュールを
お土産にも頂戴した。

ガトーで甘やかになった口中を
香り高いエスプレッソで
スパリと一刀両断にする。

この瞬間は
茶懐石での
主菓子後に頂く
お薄の潔さにも通づる。



プチフールで
名残りを楽しみ、
残心を味わいながら、
ご馳走のひと時を
感謝させて頂いた。

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アマドコロとホンナ

2025-04-27 07:55:35 | フレンチ

きのうは、
月一フレンチに行ってきた。

 



アミューズは
『Velouté froid d'asperges blanches du Pérou』
(ペルー産白アスパラの冷製スープ)

やや汗ばむような陽気だったので
カップの取っ手もヒンヤリした
冷たいクリームスープは
咽をなめらかに滑り落ち
アスペルジュのアロマを
エレガントに感じさせてくれた。

春から初夏への
季節の移ろいを
想わせるものだった。

 



オードヴルのひと品目は
『Jeunes pousses de montagne du Tōhoku et petits calamars lucioles de Hyōgo』
(東北の春の山菜と兵庫の蛍烏賊)

貝殻を器に見立て、
珍しい山形のアマドコロという山菜と
ウルイ、白魚、北寄貝などが
サラダ仕立てで供された。

蛍烏賊のコライユ(みそ)と
蕗の薹のタプナードが
絶妙なマリアージュで、
ほろ苦さのなかに
得も言われぬ美味が隠れていた。

プチポーションながら、
Mariage des fruits de mer et des saveurs de la montagne
(海の幸と山の味わいのマリアージュ)
がエッジが立つような
シャープな味わいであった。

 


オードヴルのふた品目は
『Carpaccio de shima-aji d’Ehime mariné, légumes de la ferme Nikkei (Kōriyama)』
(愛媛産シマアジのマリネ
 郡山ニッケイファームのお野菜と共に)

ベトラーヴ(ビーツ)の輪切りの上に
肉厚のシマアジが乗せられ、
フヌイユ(フェンネル)のピュレが
ナッペされている。

野菜にも魚にも
「力」があり、
味も香りも際立つものだった。

 



オードヴルの三品目は
『Terrine de lapin d’Akita』
(秋田産兎のテリーヌ)

見た目も涼やかな
二層のジュレを伴ったテリーヌは
サッパリ爽やかな
ジャンボン(ハム)のような
食感であった。

ガルニの
「キャビア・オーベルジーヌ」は、
茄子を焼いてピュレ状にした
南仏の伝統的な前菜で、
キャビアとは言っても魚卵ではなく、
見た目やコクのある味わいを
「キャビア」に例えているものである。

 



ポワソンは、
『Amadai poêlé d’Akita, asperges blanches de la Loire』
(秋田産甘鯛のポワレとロワール産白アスパラガス)

皮目をカリリと焼かれた甘鯛は
味が濃くて極上の〝焼き魚〟であった。

旬のアスペルジュは
穂先は甘く、根元は香り高い
これまた極上のフランス野菜であった。

フリットは珍しい
ホンナという山菜だそうな。

 



メインのヴィアンドは
『Pigeonneau rôti des Landes, jus réduit』
(ランド産小鳩のロティ
旨みを凝縮したソースと共に)

ガルニの春キャベツには
ブールブランソース、
ピジョノーには
フォア(肝臓)の入った
ソースブリュヌ。

まさに、鳩の旨味は
鳥肉では群を抜いている。

キュイソー(腿肉)の部位は
両手に取って齧った。

料理の名画『バベットの晩餐会』で
退役将軍がウズラを
そうして食べていたのを
思い起こした。

 


デセールは
『Bavarois inspiré du gâteau Opéra, accompagné d’une glace à la vanille』
(オペラケーキに着想を得たババロアとバニラアイスクリーム)

まったりとした
クレームショコラを纏った
ババロワは濃厚この上なく、
それを中和させるかのように
香り高いグラスバニーユが
脇役然としていた。

 


甘やかになった口中を
カフェ・ノワールで引き締め、
リセットされた処に、
再度、プチプールの甘味をも
愉しんだ。

まさに、満腹、満足のゆく
ムニュ・コンプレ(フルコース)であった。

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アンビアンス・プランタニエール (春の情趣)

2025-03-29 07:18:13 | フレンチ

きのうは、
月一のご自愛フレンチに
行ってきた。

オープンから半年通ったので
シェフとも馴染みになってきた。

40年来の食べ歩きをしているが、
美味しいものにありつく秘訣は、
お気に入りの店ができたら、
徹底的に通い詰める事である。

そして、店主と顔馴染みになれば、
やがて、自分の為に
誠心誠意を尽くして下さるからである。

最高の素材、
最高の技、
最高の真心…
この三拍子が揃えば
最高の美味なるものと
邂逅できる。



アミューズは、
郷土料理の『イカ人参』に発想を得た
『イカ人参のタルトレット』
(Tartelette au calmar et à la carotte)

一口サイズのものを
パクリとやると、
口んなかでジュワっと
ヴィネグレットが拡がり
タルトなのに瑞々しい。

本歌の『イカ人参』とは
似て非なるものである。



オードヴルのひと品目は、
お店のスペシャリティ
『金時人参のムースとコンソメジュレ』
(Mousse de carotte Kintoki et gelée de consommé)

開店来、五回ほど頂いているが、
期待外れのない
安定した美味しさである。

間にはウニが忍ばせてあり
ムース、ジュレとのマリアージュは
至高のエレガンスである。



オードヴルの二品目は
『ラプローと川俣軍鶏のガランティーヌ』
(Galantine de lapereau et de Kawamata Shamo)

ラプローとは仔兎で、
肉質の似た軍鶏の腿肉に
秋田産鴨のフォア(レバー)を
巻いたもの(ガランティーヌ)を
メダイヨン(メダル状)にカットしてある。

シェフによれば、
「テリーヌ・ド・カンパーニュ」の
鶏版との事だった。

…たしかに…
という感じだった。🤤

ガルニチュール(付け合わせ)の
菜花は苦味があり、
アンビアンス・プランタニエール
(春の情趣)を感じさせた。



オードヴルの三品めは、
『白アスパラのブランマンジェ仕立て』
(Blanc-manger d’asperges blanches)

富山産のホタルイカ、
ポワロのジュリエンヌ(極細切り)
などが添えられた
ノーブル・エ・ラフィネ
(高貴で上品)な逸品であった。



ポワソンは、
『青森産平目と帆立のヴェルモットソース』
(Flétan d'Aomori et coquilles Saint-Jacques, sauce au vermouth)

皮目をパリリとポワレにした
平目は佳い味で
(うまっ…❗️)
と、思わず声がもれた。

帆立はヒモも肝も
新鮮で甘みがあり、
コリッとした食感も愉しめた。

ブールブランとヴェルモットとの
2色ソースは美味すぎるほどで
残りをパンでスカルペッタした。



ヴィアンドは、
『会津産馬肉のパイ包み焼き』
(Pâté en croûte de Viande de cheval d'Aizu)

シュヴァルのキュイユ(腿肉)は
ヴィアン・ロゼに火入れされ、
やや硬さはあったが、
全くクセや風味はなく、
その分をフォアグラや
シャンピニオン・デュクセルで
補ってあった。



デセールは
『フロマージュブランのソルベ 
 苺添え』
( Sorbet de fromage blanc, accompagné de fraises)

いつも、目の前で
出来たてのソルベを供され、
それはトロットロに滑らかで
艶冶な舌触りである。


プチフールを頂き、
カフェでほっと一息をつく。


気がつけば、
実に、満腹であり、
満足感にも充たされた
素敵なデジュネ(昼餐)であった。

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王侯貴族のフェスタン(宴料理)

2025-03-01 08:38:21 | フレンチ

 

 

きのうは、
月一のご自愛日として、
行き付けのフレンチに行ってきた。



アミューズは、
『大玉村産菊芋のスープ』
"Soupe de topinambours de Ōtama-mura"

デミタスカップに
熱々のポテト・クリームスープは
肌寒い日には
ホッとする快適なスターターだった。



オードヴルの一品目は、
シェフにお願いしていた
オリジナルのスペシャリティ
『フォアグラとクードブッフと
 あんぽ柿のテリーヌ』
"Terrine de foie gras, de queue de bœuf et de kaki séché"

地元産の
カキ・セック(干し柿)に
フォアグラと牛テールの
取り合わせは初めてで、
そのマリアージュは絶妙にして
超美味なるものだった。

ガルニチュールの
赤蕪のコンポートは
ポワール(洋梨)のような食感で
仄甘く秀逸だった。

40年来のフレンチ歴で
ベスト10に入る
見事なプラ(一品)であった。



オードヴルの二品目は、
『ブーダン・ブラン』
(Boudin blanc)

才巻海老と帆立、穴子のムースを
ブーダン(ソーセージ)仕立てにしたもので、
ナイフを真ん中に入れると
フンワリと切れて、
口当たりもフワフワの
フワちゃんだった。🤣

サン・ジャック(帆立)のグリルは
サックリした歯応えと
旨味が感じられた。



ポワソンは、
『青森産アイナメのポワレ
ロワール産アスペルジュ・ブラン
ヴールブラン・ソース』
(Poêlée d'Ainame d'Aomori
Asperges blanches de la Loire
Sauce Beurre Blanc)

カリリとした皮目と
フンワリした白身が
古典的ソースとよく合って
真っ当な魚料理に昇華していた。

アスペルジュは香り高く、
パルファン・デュ・プランタン
(春の香り)
を満喫するようだった。



ヴィアンドは、
『スペイン産ウズラの
 リドボーと黒米詰め』
(Caille d'Espagne farcie de ris de veau et de riz noir)

一羽を真っ二つにして
パピヨン(蝶型)にドレッセした
堂々たるメインである。

淡白なウズラの味を
角切りにされたリドボーが
風味を補っていた。

ソースブラウンとリノワール(黒米)が
お皿の上でリゾットのようになり、
おなかにズシンとくる
ボリューム感があった。



デセールは定番の
『グラスバニーユと
 ブランマンジェ』
(Glace vanille et blanc-manger)

どちらも作りたてで、
トロトロと
プルプルの食感が
ソースアングレーズと共に
愉しめた。

 


お口の中が
甘やかさに満たされた処に、
香り高いブラックコーヒーで
キュッと締める。

そして、再度、
とりなおしたように、
プチフールで
ガトー(焼菓子)の甘味を楽しむ。

……

どの料理も
極上の素材と
最高の技術で調理され、
まさに、
王侯貴族のフェスタン(宴料理)
のようであった。

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月末フレンチ

2025-02-01 08:00:53 | フレンチ

きのうは、
高校の後輩がワンオペでやってる
フレンチで、デジュネを頂いてきた。

 



アミューズは
「泉崎村産豚『匠の心』のリエット」
"Rillettes de porc « Esprit de Takumi » de Izumizaki"

仄かなエピスの香りに
滑らかな舌触りの
快適リエットは、
恰好のスターターであった。

 



オードヴルの一品目は
「人参のムースと雲丹
 コンソメジュレ寄せ」
"Mousse de carotte et oursin, en gelée de consommé"

これは、
シェフのスペシャリティで、
開店来、三度目である。

金時ニンジンの甘みが
存分に引き出されたムースに
生ウニの潮味がからまり、
そこに絶妙なコンソメジュレが
マリアージュする逸品である。

味ばかりでなく
それらのテクスチャーの違いも
楽しめた。

 


オードヴル二品目は、
「金目鯛と帆立貝、北寄貝のサラダ」
"Salade de daurade rose, Saint-Jacques et praire"

野菜は緑色の皮の大根を
薄切りにしたものが合わされていた。

セル(塩)の加減が絶妙で、
魚介の旨味が
シャープな輪郭を描いて
引き出されていた。

オードヴル三品目は、
「鮟鱇と鰻とズワイ蟹のグラチネ」
"Gratiné de lotte, anguille et crabe des neiges"

グリエール、ミモザ、パルミジャーノの
トロワ・フロマージュにより
グラチネにされており、
その重層的な厚みのある味わいは、
単層的なファミレスのグラタンとは
雲泥の差であった。

三種の魚介類も
それぞれに特有の旨味と歯応えがあり、
それらの個性も堪能できた。

ようやくポワソンとなり、
「気仙沼産アイナメのポワレ キャベツとイカのスープ煮添え」
"Poêlé d'ainame de Kesennuma, accompagné de chou et calmar braisés au bouillon"

敷かれたキャベツが甘く、
それと、皮目をカリリと焼かれた
アイナメの白身がよく合っていた。

ソースは
仄かなカレー風味で、
何処かエキゾチックでもあった。

 


メインのビアンドは、
「牛テールの煮込み サラダ菜包み 馬鈴薯のピューレとシャンピニオンのデュクセル添え」
"Queue de bœuf braisée en feuille de laitue, purée de pommes de terre et duxelles de champignons"

クー・ド・ブッフは
ほろほろに煮込まれ、
シャンピニオンのデュクセルにも
ポム・ド・テールのピューレにも
よく合い、ガツンとくる
堂々たるものだった。

 


デセールは
「グラス・ド・バニーユ
ブランマンジェ」

グラスは出来立てのトロトロで、
アングレーズソースは香り高く
ブランマンジェも品のある
高貴な味であった。

 


プチフールとコーヒーの処で、
予約のマダム三人が到着したので、
入れ替わるように
そそくさとチェックを済ませた。

それまでは、
カウンター席で自分のみだったので
シェフとお喋りしたり、
調理過程を眺めたりしながら
のんびりやっていた。

来月は、
シェフのインスタで見た
「フォアグラとクー・ド・ブッフ、
あんぽ柿のテリーヌ」
を創ってもらうことにした。

また、ひと月、職場での
ボンビーベントをやりながら、
月末フレンチを楽しみにしたい。

 

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