私的13連休の
最後のきのう。
久しぶりに
三ツ星フレンチに
出掛けてきた。
在京中より
四十年ほど通ってる
常連のお店である。
シェフ・マダムとも
親戚みたいなもんで、
いつ行っても歓談を交えて
楽しく過ごさせて頂いている。
料理は天下一品なので
今更、言うまでもない。
きのうも
晩春のムニュを楽しんできた。
アミューズは、
岩手産大目鱒のマリネ
近海蛤の温製
イタリア水牛モッツァレラ
トマトジュレ。
フレンチ勉強の為に
AIに仏訳してもらった。
Mariné d’omble noble du Iwate, palourdes tièdes de nos côtes,
Mozzarella di bufala artisanale et fine gelée de tomate.
外は夏日の暖かさで、
それもそのはず……
端午の節句を過ぎれば
もう立夏で、
暦の上では初夏である。
マリネやジュレには
涼やかさを感じさせられた。
オードヴルは、
大分産天然真鯛の本海老クネル包み、
玉川村の絞りトマト。
Quenelle de crevette enveloppée de daurade sauvage d’Ōita,
tomate pressée de Tamakawa.
シェフお得意の
パートフィロを使って
パリリと仕上げた逸品である。
本海老とは、
駿河湾の特産品らしく、
甘エビよりふた周りほど大きく
白っぽい殻だという。
【鯛で海老を釣る】
ではないが、高級品どうしの
出会いものが、不味かろう筈もなく、
上品な甘味と香りが
口中も鼻腔も満悦させてくれた。
なぜか、イタリアの大衆ワイン
『ペッシェ・ヴィーノ』の
透明な魚型ボトルに入った
白ワインが脳裏に浮かんだ。
きっと、脳内で
勝手にワイン歴から
ペアリング候補に挙がったのだろう。
ポワソンは、
大目鱒のクネル
ロワール産ホワイトアスパラガスの
グラチネ。
Quenelle d’omble noble,
asperges blanches de la Loire gratinées.
シェフにしては、
珍しくクネル続きで、
客の好みを慮って下さったようだ。
なんてったって、
仏産のアスペルジュの
味と香りの
力強いことよ❗️
仏国が、あらためて、
農業国てあることを
再認識させられた。
ガルニに負けまいと
大分の鱒もいい味を出している。
ヴィアンドは、
ガチョウのフォアグラと
リードボーのメダイヨン
エストラゴンの香り。
Médaillon de foie gras d’oie et de ris de veau, parfumé à l’estragon.
主役級の二人の
揃い踏みである。
エストラゴンの香りは
去りゆく春を偲ばせるような
切ない残り香のようであった。
デセールは、
チョコレートとアーモンドのビスキュイ
グラス・ド・フレーズ。
Biscuit au chocolat et aux amandes,
glace à la fraise.
グラスに仕立てた
シェフお手製の
苺のコンフィチュールを
お土産にも頂戴した。
ガトーで甘やかになった口中を
香り高いエスプレッソで
スパリと一刀両断にする。
この瞬間は
茶懐石での
主菓子後に頂く
お薄の潔さにも通づる。
プチフールで
名残りを楽しみ、
残心を味わいながら、
ご馳走のひと時を
感謝させて頂いた。