『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

ジビエを頂く「ピジョン・ラミエ」

2023-11-30 10:15:25 | フレンチ

 

 

月の第五週目で
「私的五連休」になり、
きのうは一月前から予約していた
三ツ星フレンチで、
アラカルトにオーダーしていた
ジビエ(野鳥)のピジョン・ラミエ
(スコットランド産山鳩)
を味わってきた。

晩秋から初冬にかけて、
当地では狩猟解禁となり、
散弾銃の弾(たま)も
身に喰い込んでいるような野禽を
フザンタージュ(熟成)させて
ガラで出汁を取り、
アバ(内臓)共々、丸々調理するのが
この時季のフレンチの楽しみでもある。

*

20代から
もう40年来、通っている
常連店なので、
シェフとマダムとも懇意で
我が家のダイニングで
食事を頂いているような
心地よさである。

いつものように、
グルヌイユ・ダルジャン
(銀の蛙)が銜える
カルト・ド・ムニュに目をやると、
初めての
「カステルマーニョ」なるものが
目に留まり、
(・_・?) ハテ…
(何だろ、こりゃ・・・)
と、思った。

ま、あとから、
シェフが説明に来られるので、
それまでの
お楽しみという事にした。

カラフルな模様の入った
イタリア産アンディーヴの
「カステルフランコ」の亜種かな・・・
と想像していた。

かつて、
京都の『レ・シャンドール』で
アンディーヴのグラタンが
ガルニチュール(添え物)として
供されたのを覚えている。

飾り皿は、
名陶『レイノー』の
『パラディ』(天国)という
野鳥類を描いたもので、
これからジビエをやるのに・・・
なんだか、少しばかり
罪深い思いをもした・・・(笑)。

美味なる鳥を食べる人には
「パラディ」なのかもしれないが・・・(笑)。

 



*

ひと皿目は、
『ウィートル・アンルレ・
ドゥ・パンチェッタ』
(Huîtres enroulées de pancetta/
牡蠣のパンチェッタ巻)。

魚介+シャルキトリー(豚バラ塩漬け)
というマリアージュは、
いかにもフレンチらしく、
エピナールとブールブランが
さらに、重層的な味を構築していた。



*

続いては、
クール(ハツ)と
ジェジエ(砂肝)が、
ブロシェット(串刺し)で
焼き鳥風に供された。

それぞれ、
ひと口でパクリ。

山鳩のは初めてで、
クールはアッサリ味だったが、
ジェジエには仄かな苦みが
感じられて、いかにも、
野生種を思わせた。



**

メインは、
ポワトリーヌ(胸肉)のロティを
フォア(レバー)を用いた
濃厚なサルミ・ソース。

ガルニは、
カステルマーニョという
イタリア産の
熟成フロマージュ(チーズ)を
用いたラビオリのグラタン。

まずは、
ソースに触れていない部分から、
火入れしたままの
素の味を賞味した。

繊細で高貴な香りが
鼻孔をくすぐり、
次いで、独特のサン(血)の
鉄分の味が味蕾に感じられた。

まごうことなき
最高峰のピジョンの味である。

メキシコ料理の
「モーレ・ネグロ」
(チョコレートソース)のような
見た目・テクスチュアだが、
ガラやフォア(肝)で創れらた
濃厚このうえないソース。

本来は、
一羽を半身で二人分に
デクパージュ(切り分け)されるが、
今回は、特注アラカルトなので
丸々一羽分を堪能した。

これほどの濃厚ソースでも、
野禽の身肉の力強さは
少しも負けていず、
皮は薄くて体脂肪率も
「0」かと思うほどの
引き締まったジビエであった。

クルマで出向いた
デジュネ(ランチ)故、
グラン・ヴァンとの
マリアージュは叶わなかったが、
ヘビータイプの
『シャトーヌフ・デュ・パプ』
(ローヌ)なぞは
ガッシリ受け止めるだろうな・・・と、
脳内マリアージュをしてみた。



**

続いては、
また野禽料理のような
シンプルなキュイソー(腿)と
ピロン(手羽元)。

これは、
両端を持って、
ガシガシと齧る(笑)。

その刹那、脳内には、
名作『ヴァベットの晩餐会』での
将軍が鶉を
同じようにガシガシやるシーンを
彷彿させられた。

同時に、野禽一羽を
食べ尽くす・・・という
野趣をも感じられた。



*

マダムが
「ミルキーな美味しいバターですよ」
と仰って、
天然酵母のパンを
持ってきて下すった。

言われるがままに、
ナッペしてみると、
なるほど、極上なブールであった。

シェフは、
カステルマーニョの現物を
持ってきて下さり、
素材の味見もさせて頂いたが、
パルミジャーノの味に
ややゴルゴンゾーラの風味が
ふとするようだった。

アオカビが出始めた頃が
熟成のピークのようで、
シェーヴル(山羊乳)ではなく
fromage de vache(牛の乳)だそうな。



**

時に手づかみの
野禽のフルコースは、
お上品な二品のデセールで
ホッと安堵するような
甘やかな時を迎えた。

つづいての
プチフールも頂き、
最後は、つんもりクレマの立った
香り高い熱々のエクスプレスで〆た。

それは、さながら、
極上の茶懐石の〆に頂く
お薄のようであった。

 



*

ふと、窓辺に目をやれば、
「もうすぐ、ノエル
(Xmas)だなぁ・・・」
と想わせるオナメントが
ひっそりと飾られていた。

***

来月は、
ノエルの二日後に
ジビエ第二弾の
「ペルドロー(山鶉)」
を試食すべく、
シェフにアラカルトをオーダーした。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピジョン・ラミエ

2023-11-29 09:52:46 | フレンチ

今週は、月・火のみの勤務で、
今日から、「私的五連休」である。

定年退職した
同輩諸氏は、
とっくのせっく
悠々自適の「私的七連休」の
毎日を送られているが・・・(笑)。

「前期高齢者」入りもしたので、
そうシャカリキに働かなくとも・・・
とも言われそうだが、
なにせ、昭和のボンビー時代を
生きてきたので、
“持ったが病”で、働いてないと
不安になるのも確かである(笑)。

殊に、幼稚園来、
60年この方、一度も
学校を離れたことがないので、
水の中のサカナの如く、
そこにいるのが当たり前で
きっと、居心地がいいのだろう。

あるいは、
大卒来、40年あまりも
「先生」と生徒たちから
呼ばれるのも、
心地よいのかもしれない(笑)。

*

きのうは、
三年間、月一のペースで
カウンセリングに来た3年生が、
卒業まで、あと3回ほどになったので、
総括的な意味での
「心理教育」的セッションを持った。

11歳児の病院での心理検査で、
IQ138という
学校始まって来の
高知能の持ち主だが、
EQは100に満たない
「知情意」のアンバランスがあり、
思春期になり「生き辛さ」が
現出してきた。

ISS換算値75なので
偏差値70以上の進学高も
楽々、合格できるレベルだが、
現実はアンダーアチーバー状態で、
当人も一般高に行くという。

それでも、今年になって、
趣味のアートクラフトが開花し、
展示会では幾品も完売したので、
やはり、大した才能である。

知能に限らず、
ベルカーブ(正規分布曲線)では
「2・6・2」割合の原則がある。

近年、学校現場や職場では、
知的グレーゾーン領域の問題が
注目を浴びつつある。

IQ70以下は
ID(知的能力障害)群として
特別支援学級での就学が常態だが、
70~85のGZ
(グレーゾーン/境界知能)群は
なかなか、それとは気づかれず、
時に「発達障害」と
間違われたりすることがある。

コミュ障傾向や
対人関係が不得意で
集団内で孤立化しやすく、
学校・職場での課題・仕事を
完遂できず低評価を受け
自尊感情を害しやすい・・・
などASD的な側面も見られる。

自己肯定感・自己効力感の低さから
非行・犯罪などの
反社会的アクトアウト(行動化)が
見られることもある。

*

ゲーム・スマホの流布で、
小中高生のアディクション
(依存症)が激増している。

これは、コロナ禍の影響と相まって、
自殺者数の増加にも
関与しているのでないか・・・と、
感じることがある。

なにせ、ブルーライトを
長時間見続けると
視覚障害に留まらず、
脳神経も疲弊による影響を受け、
認知・思考・判断機能に
害を及ぼすという。

元々、大人の自殺は
悩みに悩んで既遂に及ぶが、
子どもは
短絡的にポンとやってしまう、
という傾向があるので、
思考・判断機能が低下したら
それに拍車がかかる危惧がある。

また、ゲーム・スマホ依存は、
必然的に睡眠障害になり易く、
そうすると、意欲低下、
不登校、抑うつ症・・・なぞにも
なり易く、そのような患児が
学校現場でも少なくない。

保護者を通じて
ゲーム・スマホを制限したり
禁じたりした時に
暴れるのは、ほとんど、
「アル中」「ヤク中」と変わらぬ
「毒に中った」中毒患者である。

ゲーム・スマホが
子どもを「お守り」してくれて、
親も楽でいいと思って
自らもスマホに興じていたら、
それこそ、そのツケは
きっちりやってくる。

・・・といった事を
当事者やその親たちには
「心理教育」セッションで
毎度、毎度、話をしている。

最近では、
さまざまなチェックシートも
創り出されているので、
それをやらさせて客観視させる、
ということもしている。

***

先日、温泉に出向いた帰路、
山の中の豆腐屋さんで、
「汲みだし豆腐」を買って
無料のオカラを一袋頂いてきた。

自分は何度も
“炊いた”ことがあるが、
カミさんは初めてだといいながら、
試作していたが、
どうにか既製品なみの
仕上がりにはなっていた。

なにせ、大量に出来るので、
ベントのおかずにもするようだった(笑)。

根菜類の酢漬けは
カミさんの得意技で、
何種類かジップロックして
冷蔵庫に常備している。

***

近場でも、
お出かけの際は、
目に留まった「楷書体」なぞを
丹念に「集字」している。

そして、ひとまとめにして
モノクロでプリントアウトしては
書室の手本置き場に積んである。

毎日とはいかなくも、
気の向いた時、
夕飯が出来るまでの寸暇や
夕食後の腹ごなしに・・・と、
街々で拾ってきた字体を
墨書して楽しんでいる。

さる店前には
「豆大福」という
墨痕鮮やかな幟が
ひらめいており、
その訴求力は
ただならぬものがあった(笑)。

躊躇わず、
逸早く、蓬豆大福を
カゴに入れた次第である(笑)。

***

この時季、
毎日のように、
朝刊のチラシに
Xmasケーキの広告が入ってくる。

その色とりどりの
カラフルなデコレーションを
一つひとつ鑑賞するのも
時節柄の楽しみでもある。

毎年、今年は
何処のどんなやつにしようか・・・と、
アタマを悩ませて協議する(笑)。

世間様では
どーでもいいような事かもしれぬが、
ジジ・ババふたり暮らしでは
日常の些事こそ
真剣にコミットしている。

なにせ、残された時間は
少ないのだから・・・
「深く、濃く」
最後まで生き切りたいもんねぇ・・・(笑)。

**

 



きのうは
三ツ星シェフから
オーダーしていた
ピジョン・ラミエ
(スコットランド産山鳩)
が入荷しました・・・と、
画像を送られてきた。

カイユ(鶉)の時も
そうだったが、
まだ、羽根つきの
“死に顔”を見るのは
なんだか忍びない気が
しないでもなく、
愛鳥家には申し訳なくも思う(笑)。

でも、ケンタも鶏だもんねぇ・・・(笑)。

三月頃に頂いた
ピジョン・エトフェ
(窒息鳩)は、
生涯で最高美味の
ビアンド(肉料理)だった。

「平和のシンボル」の鳩を
喰うとは、何事だーっ!!
と、訳知り顔の御仁には
叱られるかもしれないが、
これは、“個人の感想です”だが、
最も美味なる肉は「鳩」だと
胸を張って断言したい(笑)。

・・・とは、いっても
神社や公園で
グルッポーとエサを啄む
ドバトではなく、
列記とした山に生息する
ジビエ(野生種)である。

どう美味しいか・・・
というのは言語化がムズイが、
野生の血の味・・・
というのがいちばん端的かもしれない。

そして、高貴な芳香。
濃密なアミノ酸の味。

近似な感覚では、
ランク5極上牛の
血の滴るようなレアステーキ・・・
というイメージだが、
アミノ酸の種類が違うので、
四つ足動物とはまったく異なる
究極の「焼き鳥」みたいかなぁ・・・(笑)。
(ちっとも、説明になってない)







 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神様のおわします処

2023-11-28 08:36:55 | 信仰

今朝は
寝起きが
やや風邪っぽく
お腹が張って違和感がある。

それでも、
明日からは
「私的五連休」になるので、
きょう一日は頑張って
勤務してこようと思っている。

明日は、
三ツ星フレンチのシェフに
お願いしていた
ピジョン・ラミエ
(スコットランド産山鳩)
を頂いてくる予定なので、
今日は少しでも体調がよくなって
くれればと願っている。

*

きのうは
空き時間が3時間できたので、
ヒマリちゃんの神演奏で
感動させられた
バッハの『アダージオ』の
アナリーゼをやっていた。

普段はあまり目にしない
64分音符(4分音符の1/16音価)が
付点と相まって沢山出てくるので、
目がチラクラしてしまい、
全部にカウントを書き込んだ。

4、5回通して弾いてみたが、
未だに、曲全体のイメージが
掴めていない。

随所に、バロックリュート的な
書法が認められたが、
なにしろ抽象の極みのような
曲想なので、ここから
ヒマリちゃんが成し遂げたような
神性と神聖の領域に至るのは
至難の技である。

超天才故に出来た
奇跡の演奏なのだろうが、
彼女曰く、
「何百回でも、千回でも、
弾けるまで練習します・・・」
という努力のプロセスも
天才ならではなのだろう。

12歳までに
世界主要コンクールの
40近くを制覇してきた彼女は、
ヴァイオリンの藤井聡太に
喩えられるが、
ソーちゃんが
「400年に一人の天才」なら、
彼女は
「生まれるのが1000年早過ぎた」
と審査員に言わしめるほどの
超天才なのである。

ネット雀の間では、
モーツァルトかショパンの
生まれ変わりでは・・・
という都市伝説が
囁かれ始めている。

全ての動画を
すでに何十回となく視聴したが、
昨晩もブルッフのコンチェルトを
聴いていて、ふと・・・
その面差しに「美空ひばり」の
風貌が見えて、もしかしたら・・・
と、不死鳥伝説の方を
勘繰ってしまった(笑)。

11歳の時の演奏時の表情には、
『ハウル』のソフィーのように、
一瞬、老婦人のような表情が見え、
ドキリとする場面があった。

*

きのうの
手作りベントには
煮卵と目玉焼きで
卵がダブッてしまった。

物価の優等生と
謳われていた卵も
一時、150円台から350円台まで
跳ね上がり、カミさんも
買い控えていた時期があった。

冷蔵庫の卵ラックに
卵が常備されていない
というのも違和感があった。

最近では、
250円台に落ち着いてきたが、
それでも、高騰には変わりない。

鳥インフルエンザの多発で、
またぞろ、値上がりする気配が
ないでもない。

**

古楽器工房で
製作中にバンドソーから
焦げくさい異臭が漂って、
そして、まったく
動かなくなってしまった。

調べてみたら、
カーボンブラシという
モーターに電気を供給する
パーツが焦げ付いたようだった。

メーカーに問い合わせたら、
ホームセンターから注文できる
との事だったので、
さっそく2組発注した。

メインの切断工具が
機能不全になってしまったので、
しばらくは、別の作業工程に
専従せねばである。

 



朝方は、出勤前の寝床で(笑)、
切り出したヘッド部分の
ペグ孔の位置取りをした。

リュートフォルテ用だが、
計算したら「9弦」が
最適幅となったので、
歴史上は珍しい
9コースの楽器になりそうだ。

明日からの
「私的五連休」中は
バンドソーなしで出来る
ベンディング(曲げ)作業や
完成した6本のヘッド&ネックの
研磨と下塗り(アマニ油)でも
やっておこうかと思っている。

***

おとついは
カミさんに誘われて
『蛇の鼻庭園』で
紅葉狩りをしてきたが、
ついでに文化財になっている
旧邸宅の彫刻や襖絵なぞも
鑑賞してきた。

かつて、
8年ほど在京していたので
「なんだか、
ちょうとした・・・
プチ京都の雰囲気だねい・・・」
と、二人して感心していた。

**

温泉マニアのカミさんも
初めてという
『大玉』温泉にも
寄ってみた。

露天こそなかったが、
近隣にある
『フォレスト・パーク』と同じく
ヌルリとした泉質だった。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

名残りの紅葉狩り

2023-11-27 08:21:17 | 季節

きのうは
カミさんに誘われて、
「新蕎麦」に舌鼓を打ち、
名残りの「紅葉狩り」に赴いた。

 



*

銀杏みたような
真っ黄々の楓に驚いた。

朱と橙(だいだい)と黄の
見事なグラデーション。

目も心も奪われた。

 



*

大樹と化した古木は、
赤々く萌え、
その天井に包まれ
童子のように笑みが零れた。

 



*

水鏡に映るもみじは
明る寂数寄の茶人心を
震えさせてくれた。

 


*

ふかふかの
もみじ絨毯は
心地よさげで
横臥を誘なわれた。

 



*

帰路、
深紅の弁天山に
月が登り、
晩秋の名残りの
侘びを感じた。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

リング再び

2023-11-26 10:47:36 | 映画

きのうは
市内で初雪がちらついたが
積雪には至らなかった。

それでも、
今朝方は0℃の予報となり、
いよいよ、戸外では
凍死もし得る
本格的な寒さとなつた。

*

きのうは、
前々から思っていた
ブランド豚の
「前田ポーク」の試食に行くべく、
口開けの11時に行きつけの
とんかつ屋に赴いた。

まだ、一組しか客がいず
ガラガラで心地よかった。

紅葉の前庭に
室内の山頭火の俳画が
佳い取り合わせだった。

**

以前は、
カツ丼でやって
さすがに一味違うと感心したので、
今回は、ロース定食で
豚肉そのものの旨味を
堪能しようと思った。

まずは、
『東京とんかつ会議』で
さんざん、見せつけられたように、
七切れだったので、
そのど真ん中から箸をつけた。

口中にインサートする時には、
コロモ側の両サイドを箸で摘まみ、
肉の断面を上っ側にし、
ロースの脂身を先頭にすべし、
という・・・(笑)。

はなは、なにも付けず、
下味のみでやってみる。

ンッ・・・?!

さほど、豚の旨味が
感じられない・・・。

つづいては、
卓上の岩塩でやってみる。

おなじく、ガツンとした
コク味がない。

されば、
甘口ソース、辛口ソースを
かけたところで、
肉の旨味はますます
コーティングされてしまうだろう。

カツ丼では
旨味を感じたのだが、
甘辛の味醂・醤油味でこそ
引出されたブランドの旨味なのか・・・
と、いささか怪訝に思われた。

ま、それでも、
並みのトンカツ以上には
上等の肉質ではあるようだった。

食し終えてから、
こんなんだったら、
スーパーで800円くらいの
ステーキ用牛ロースを
家で「ビフカツ」にした方が
よっぽど楽しめたなぁ・・・と、
思ったものである。

なにせ、
その三倍もの
『前田ポーク』だった。

***

帰路、ちょいと足を延ばして、
プロ御用達のホームセンターまで
楽器用材を調達に寄ってみた。

これまで
『SPF材』というのが
何のことか知らずにいたが、
材木置き場の前でググッてみたら、
スプルース・パイン・ファー
(トウヒ・マツ・モミ)の
頭文字だと初めて知った。

スプルースは、
楽器の表面板に用いる主材で、
松もギターでは高級材である。

その白い木肌は
まさしく楽器に相応しいが、
ホームセンターに卸されるのは、
節の多い板目材ばかりで、
目の詰んだ柾目材は皆無だった。

しかたなく、
質(たち)の良い柾目の
「ホワイトパイン(白松)」の
細材を2本だけ購入した。

テーブルソーを導入したので、
これを薄く剥いで、
継ぎ合わせて
製作ちゅうのリュートフォルテの
表面板としようと思った。

雪がちらつく
戸外の資材置き場で
念入りに選定してたので、
すっかりカラダが冷えてしまい、
店頭の自販機で
この冬二度目の「お汁粉」を買い、
車中で温まった。

**

本来、リュート製作では用いない
ライニングという
「糊代」になるパーツを
リュートフォルテという
特殊な折衷楽器の為に
装着してみた。

*

一昨年の12月から、
ご注文を頂いたのを機に
3.11後、10年ぶりに
古楽器製作を再開したので、
新しく電動工具を4種も
導入したので、12畳の工房も
加工作業場が手狭になってきた。

それでも、
電動工具は有難く、
手作業のみで
切ったり削ったりでは
労力も時間も桁違いである。

ただし、
怪我が付き物で、
油断したら、一発で指が
吹っ飛ぶような
超危険な工具もある。

幸い、今の処は、
電動サンダーで指まで
擦りおろして皮が向ける程度で
済んでいるが・・・。

なので、
工房内には
ご神前を設置し、
作業前後の安全祈願と
無事御礼の御祈念を
させて頂いている。

***

今年、小6の年齢ながら、
飛び級でアメリカの音楽大に
入学している
超天才ヴァイオリニスト
「ヒマリ」ちゃんの演奏する
バッハのソナタ1番の
『アダージオ』を聴いて、
その名演奏に心を揺さぶられた。

これまで、
クイケンはじめ
幾人もの名人・マエストロたちの
演奏を耳にしてきたが、
ヒマリちゃんのライヴでの演奏ほど
感動させられた事はなかった。

やはり、この子の
「音楽を伝える力」は
並大抵のものとは次元が違う。

12歳までに40ものコンクールを
すべて優勝してきたキャリアは
だてではなく、錚々たる審査員たちに
「1000年早く生まれてきた」
「必ずや歴史に名前を残す」
と言わしめたほどの超逸材である。

最近では
ゾゾの大富豪の前澤氏より
所有のストラディバリウスを貸与され、
ますます、彼女の音色は
魅力的になってきた。

さる審査員は、
「ストラドが、ヒマリが
生まれてくるのを
300年も待っていたようだ」
と評し、なるほどと唸った。

*

彼女の名演奏に促されて、
楽譜を書庫から取り出してきて、
これから、リュートかギターで
アナリーゼをしてみたいと
思っている。


***

今朝方、
YouTubeサーフィンをしてたら、
たまたま『リング』が
2週間限定の無料公開
とあったので、
もう、4度目くらいになるが、
寝床で全編鑑賞した。

日本一どころか
世界一怖い、傑作ホラーだと
自認しているので、
古典の名作に共通する
幾度鑑賞しても飽きがこない。

4度目で
何か新しい発見はないか・・・と、
分析的鑑賞眼でも視たが、
やはり、冒頭のシーンでの
15歳でデヴューした
竹内結子が自死した事が
痛ましくも憐れ感を誘われた。

それと、
松嶋奈々子が
超絶的に美しく撮られており、
真田正広も名演であった。

1時間35分という
短尺ながら
無駄がなく、濃密に
仕立て上げられた
稀有の作品である。

本来、リアリティの薄い
「呪い」物だが、
現代音楽のようなBGMが
巧みに用いられて、
仄暗い照明の効果もあり、
ヒプノティック(催眠的)に
変性意識に誘われるような
編集・構成が見事である。

原作とはキャラ設定が
異なったりしているが、
むしろ、本作では、
脚本・演出・効果・編集・・・と、
ピタリとツボに嵌った感がある。

同じ監督の別作品も見たが、
まったくの駄作で
呆れるばかりであった。

本作では、
「元型を刺激しない作品は
100年後まで残らない」
という、
ユングの名言が思い出された。

***

1998年の劇場公開時に見て、
翌日にブログに載せた
ユンギャン(ユング派)的分析が
今もネット上にある。

***
***

超能力者が恨みを残して死ぬと、
ただならぬことになる・・・
という設定が秀逸だ。

落語のマクラに、
バカの与太郎が死んだら、
方々に見境なく化けて出て困る、
という噺があるが、
「そこが、バカだから・・・」
というオチには爆笑した。

「バカは隣の火事より怖い」
と落語では云う。

なので
ケタハズレの念力を持つ
超能力者が化けて出るのは、
反則である(笑)。

日本の怪談系譜には
類例のないシュールな発想である。

怪談数寄者として、
成功している要因を分析すると・・・
 
・都市伝説の不気味悪さ
 
・7日間という時限爆弾的追い込みの切迫感

・美女・松嶋奈々子のシンメトリックな顔が、
呪いの写真でアシメ(非対称)になる。


乳幼児に、アシメ顔の絵を見せると、
不安反応が起こる。

・数学的直感の世界に生きる
科学者である元・夫が持つ
シャドウの部分である
非科学的なオカルティスティックな
領域への違和感。


誰もが、合理性と非合理性の
二面性をもっているが、
現実は合理性優位で暮らしているので、
非合理性は劣等機能となり、
シャドウとなって
気味悪いものと感じられる。

・息子への
「呪うべき気質」の世代間伝達。

・貞子の白い服は、
死に装束=花嫁の白無垢、
を連想させる。
(娘として死に、嫁として再生する)

・長い髪は、
女性性の象徴だが、
ネガティブな側面として、
般若、夜叉、魔女、鬼婆、山姥、
という女性の魔性の
シャドウを想起させる。
         
また、
「少女から女へ」移行する過程での
「死と再生」のイメージも喚起される。

・最後まで無言の貞子。


『らせん』『リング0』『リング2』
とも生身の貞子が喋っている。


それでは我々の現実感に近く、親近感が生じて恐怖感は薄まる。                 

無言電話同様、
得体の知れないものに
人は不安と恐怖を抱くのである。

・松嶋奈々子のポジティブな母性性が、
井戸で惨死した貞子の亡骸に
頬ずりして慰霊し、
呪いの連鎖の物語は
大団円で終焉したかに見えたが
(観客は一旦、安堵する)、
その後、貞子のネガティブな母性性
(殺す母)が突如現れ、
父親を呪い殺す。

安心させといて驚かす
ドンデン返しである。

・井戸から現れる貞子の動きが
淀んでいて不気味である。

人間らしい
円滑な動きをしない人間に、
人間は恐れを抱く。

・テレビから実体化?し、
現出する、という非合理性の恐怖。

・非楽音的ノイズの多様。
特に、金属が軋むような
生理的嫌悪感を誘う音。
 






 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする