今月号の「致知」、八月号が届きました。
人は人の生きざまに感動し、感化されて初めて我が身を振り返り成長します。
良い言葉も人を感動させますが、真に人の心の中に燃えたぎる情熱を生み出すのは実際に生きた人の生きざまにほかなりません。
「致知」今月号の特集テーマは「思いを伝承する」。文章の最初に「瀉瓶(しゃびょう)」という初めて見る見慣れない単語が出てきました。
瀉秒とは、かめの水をそのまま他のかめに移し入れること、なのだそう。これが転じて、師匠が己の一道を通じて体得したものすべてを弟子に注ぎ込む、弟子もまた一滴もこぼさぬようにこれを受け止める、という意味があるのだと。
師と弟子の思いを伝承する究極の姿を凝縮した一語です。
しかし世の中のタイミングというものは全てその様にうまくはいきません。習いたいときには良い師匠がいないかもしれず、教えてあげたいときには弟子がやる気になっていない…。
短い人生の中で、師匠と弟子が出合い双方の意気が合うというのは案外難しいのかもしれません。
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吉田松陰が生涯に一度も会えなかったことを惜しんだ橋本佐内が述べている「人物を磨く五つの要諦」が紹介されていました。
一、稚心(幼稚な心)を去れ、
二、気を振るえ
三、志を立てよ
四、学に努めよ
五、友を択べ
どうでしょう。このような先哲の言葉を読んで改めて背筋を伸ばしましょう。
あなたのこれまで生きてきた思いは誰に伝えますか?