北海道の豊頃町と静岡県の掛川市とは報徳のまちづくりで繋がっているのですが、この両者が連携して相互に交流を深めようという活動が続けられています。
人的な交流で互いの町を訪ねるだけではなく、相互の物産展も開催して新たな気づきを得ようという取り組みも盛んです。
掛川と言えばお茶ですが、豊頃町は十勝にあって豆類や畑作の様々な農作物が豊富です。ここから新しいコラボレーションを期待したいものです。
そんなことをコーディネートしているサトー君と先日会った時に、その豊頃町の人たちが掛川を訪ねた時の話になりました。
「豊頃の皆さんが来た時に、ちょうど掛川蕎麦研究会が蕎麦を売って振る舞っていたのでそこへお連れしてそこで蕎麦研の蕎麦を食べてもらったんです。そうしたらどんな感想を述べたと思います?」
「え?なんだろう」
「蕎麦研の蕎麦を食べたあるおっかさんが『ん?これは北海道の蕎麦じゃないですか』って言ったんです。掛川の蕎麦研の蕎麦を食べてですよ」
掛川には私がいた三年間の間に私の蕎麦打ちの技を伝えた「掛川蕎麦研究会」があって今でも市内を中心に様々なイベントで活躍していると聞いています。
北海道で練習と修行を重ねた私の蕎麦打ち技は自分では気が付いていませんが確かに北海道流かもしれません。それに蕎麦研が普段仕入れて使っている蕎麦粉は長野県の製粉会社なのですが、玄蕎麦は確か幌加内産。なるほど、こりゃ全部北海道ですわね。
「それで、あまりにその女性が『なんで北海道の蕎麦が食べられるの?』というものですから、蕎麦研でも一番に濃い話をするKさんを紹介したんです。そうしたら蕎麦研の始まりからの話を熱心にしていました(笑)」
「それにしても、蕎麦を食べただけで北海道の蕎麦だ、なんて分かるのかね」
「ねえ!私もそれが随分不思議でした。どこに北海道を感じたのでしょうか(笑)」
食べた蕎麦粉が北海道産と分かるというのはかなりの通でしょうが、歴史も伝統も少ないと言われる北海道にあって、手業や味に北海道らしさというものが出てくるということもあるのかもしれません。
頑張って北海道流手打ち蕎麦が一つの形になるなんて素敵だと思いました。