解散前の国会で災害対策基本法の一部が改正され、大規模災害時や大雪の際の放置車両の撤去を道路管理者が行えることになりました。
昨シーズンの冬に関東広域エリアを襲った大雪では、動けなくなった放置車両の処理に手間取って道路を開通させるまでに大変な時間と苦労を要しました。
このことの反省に立って災害対策基本法が改正されて、大規模災害時など直ちに緊急車両の通行ルートを確保する必要がある場合の対策が法制化されたのです。
具体的には、まず緊急車両のルート確保のための放置車両対策。これは運転者が乗っている場合は移動を命令するのですが、運転手がいない場合はやむを得ない範囲での破損を容認しつつ、道路管理者自ら車両を移動させます。
【運転手不在の車の後部窓を割って鍵を開ける】
次に、上記の移動のためにやむを得ない場合は道路管理者は他人の土地の一時使用や木を切ったり障害物を処分したりすることが認められます。沿道に車両を補完するスペースがない場合は他人の土地を使わせてもらってよくなりました。
三つ目は都道府県の公安委員会や地方公共団体や高速道路機構などとよく連携して対応するということで、縦割りではない関係者のより緊密な協力を求めています。
法律がこのように整備されたことで、今日は実際に道路をふさいでいる車を取り除く練習を一般に公開して理解を深めようというデモンストレーションを札幌市内で行い約180人が見学に訪れました。
道路事務所の構内に五台の放置車両を用意して、それぞれ異なる方法で車を移動します。
道路管理者の除雪ローダーで動かしたりJAFによる牽引、さらにはJHR(全日本高速道路レッカー事業協同組合)による大型トラックの移動などを見て、とてもよくイメージが湧きました。
特に、JAFの機敏な作業やJHRの大型クレーンが大きなトラックの前輪をいとも簡単に持ち上げて楽々と移動させる様子に会場からは「おおー」という声が上がりました。
今日は初めての練習ということでしたが、動かす車は傷がついたときのために事前の写真を撮ったり、動かした後には車両移動記録票を整え、一台一台に車両移動通知を張り付け、さらに動かした車の報告を警察に対して行わなくてはなりません。
手間は大変ですが、それさえやれば放置自動車を動かしてよいのですから制度としては完備されました。あとは実際の場面に慣れて、現場の対応力を高めることが求められます。
今日の作業の模様は北海道新聞の夕刊にも取り上げられましたが、記事の中には今日この時点でもう四国が大雪のため車120台が立ち往生してこの法律を適用したと書かれていました。
北海道より先に四国が雪によるこの法律適用を受けるとは思いませんでした。
破損した場合の補償などの先例は参考になりそう。いよいよ北海道も冬に突入です。