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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

機会を逃さずに後進を指導するOJT

2014-12-04 23:45:12 | Weblog

 

 先日職場の研修会で、「地方自治体から見たわが組織」というタイトルの研修講話を行いました。

 しばしば上司からは「地方自治体の理解と信頼を得るように」という指示が出されるのですが、振り返ってみると我々はちゃんと地方自治体のことを理解して、そのうえでどう振る舞うべきか、といったことをほとんど学ぶ機会はありません。

 仕事をしながら上司や同僚から学ぶというOJT(On the Job Training)の場面でも、そもそも地方自治体のことを詳しく知っている人がいないので、指導してくれる人が見当たらないのです。

 多くの職員は、地方の現場の所長や課長などの立場になって初めて地方自治体の首長や職員と接して、お付き合いが始まるということになるのです。

 しかし自分たち国の組織と自治体との関係性をどう理解し、どう振る舞い、どうやれば信頼が得られるのか、ということをそこで初めて考えることになります。それが苦手だという人たちにはちゃんとしたトレーニングを行うことで力を発揮してもらえるようになってもらう必要があります。

 そこで「地方自治体を対象としたコミュニケーションのあり方」という問題意識に関する限り、たぶんどんな大学の先生よりも私自身が一番話ができるだろう、ということで、研修担当の人たちにプレゼンをして理解してもらい、毎回一コマ1時間30分をもらって冒頭のテーマで講話をしているものです。

 地方自治体経験のある職員だったら、結構な数になりますが、ただ経験があるだけではダメです。私の場合は榛村さんという首長の世界でも最高のお手本の師に三年間使えることができたことで、地方自治体やまちづくり、国と地方の関係についてかなり深く考えることができたのだと思っています。

 そうした経験を与えてくれた組織に対する恩返しです。

 

       ◆  

 

 さて私の話は、現在の地方自治体の現状と課題、地方分権の流れ、国と地方の関係、災害時の支援体制、そして地域から信頼を得る職員像について、といった項目です。

 中でも伝えたいポイントは、転勤が多い国の職員がずっと地域にいる地方自治体の人たちの信頼を得るその振る舞い方について。

 口先だけのお世辞は通用しません。突然「この町は良い町ですねえ」と言ってみても、「じゃあどこへ行って何を見て、何をしましたか」と言われて答えに窮するようではお世辞であることがバレバレです。

 そこに住んでいる人以上に地域を回って、よく見て、勉強して、名所名物に触れ、催しやイベントに参加して、それを幸せだと思う普段からの姿勢こそが地域からの信頼を得る原動力と言えるでしょう。

 地域の人たちの自慢と誇りを自分のこととして共感、いやそれ以上の気持ちを持つことこそが受け入れてもらえるための必要条件にほかなりません。

「今まで転勤してきたところで良かったところが頭に浮かびますか」と受講者に質問をしました。

「『あそこは良かったけれど、あそこはいまいちだったな』と思った方、残念ですがそれでは不十分。過去に行ったところは全て良いところだった、そこにはこんな良さがあったと言えるような生き方をしましょう」というのが私の答えです。

 悪いことなんか極力言わずに、良いことを選んで語りましょう。


       ◆  


 そんな講演をして精一杯のことを伝えました。

 すると今日になって、聴講生していたという一人からメールが届きました。

「お話にとても感動しました。一つ一つのフレーズが大変勉強になりました。よろしければ自分の勉強のために、先日使われたパワーポイントを参考までにいただけないでしょうか」という内容でした。

 最初はすぐにパワポファイルを送ってあげるつもりでしたが、ハタと返信を打つ手が止まりました。

(この方はなぜ直接私に会って頼まないのだろうか)ということです。ここですぐに資料だけを送ってしまったら、この問題を接点にした関係性は永遠に作れないだろうな、と思いました。

 彼は同じ建物の中にいる人だったのですぐに電話をして、「○○さん、メールをいただきました。もし良かったらちょっと私のところへ来ていただけますか」と伝え、私の自席に来てもらいました。

 彼への私のアドバイスは、「ファイルが欲しいという気持ちは大変立派です。でもやっぱり直接会いに来て頼んでくれる方が良いと思いました。これからいろいろな場面に出会うときにも、メールで済ませずに、強い気持ちを持って直接会いにいくべき時があるということを伝えたかったからです」というもの。

 私の言葉に彼はとても恐縮していましたが、若いうちにちゃんと言われればすぐに治せることはちゃんと言うことが上司としての務め。あらゆる機会を通じて職員に寄り添い、より良い方向に導くのがOJTなのです。
 
 まあ年寄りの役割を果たしていこうと思います。
 

コメント
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