道東が舞台になったスタジオジブリ最新作、「思い出のマーニー」を観てきました。
心に傷と影のある主人公・杏奈(あんな)は、ぜんそく気味で、夏休みを利用して道東の親戚の住む町で療養をすることにします。
ところが地域の子供たちとも上手に打ち解けることができず、心は一層落ち込むばかり。
そんな杏奈は、ある夜海辺に建つ「湿っ地屋敷」と呼ばれる家になぜか心惹かれます。
近づいてみると誰も住んでいないようですが、突然マーニーと名乗る金髪の少女が現れ、杏奈と友達になってゆきます。
マーニーは夢や幻なのかそれとも現実なのかが分からないまま、屋敷を舞台にした出来事に翻弄されてゆく杏奈。
育ててくれる母親の秘密、そしてマーニーの秘密とは。そして心を開けない杏奈は一体どうなるのか。
二時間があっという間に経ってしまい、イギリスの古典的名作を現代の北海道にアレンジしたジブリ物語を楽しめました。
【思い出のマーニーのホームページより】
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この物語は原作がイギリスのお話ですが、それだけに西洋的な雰囲気を日本国内で出そうとすると、道東のイメージがマッチしたということなのでしょう。
潮の満ち引きや、海を明るく照らす月など、海辺の町の雰囲気が存分に引き出された、ちょっと幻想的なアニメ映画になりました。
この仕事に携わった娘と私たち夫婦の三人で映画を観ましたが、「苦労したところはどこだい?」と訊くと、「監督の米林さんは専門の部門を信頼して、細かいところまで注文をしないんだけど、作画監督さんが細かくて、『爪をちゃんと描いてください』というオーダーが出てきたんだよ。それも甘皮のカーブまで描いているのよ。多分映画を観る誰も気がつかないと思うけど(笑)」とのこと。
それ以外にも、浴衣の模様などはバラバラに完成して仕上げに上がってくると、全体を通しで眺めるのが難しかったりするそう。
製作陣のそんな苦労も考えると映画もまた違って見えてきます。
道東の地名ははっきりとは出てきませんが、札幌に住む杏奈が療養に行くために「スーパーおおぞら」に乗っていましたから、釧路は途中で通過したはずです(笑)。
道東の湿地はどこのイメージでしょうか。日本でありながら日本の中でヨーロッパらしい景観や雰囲気を持つ道東の感じが映画のイメージに彩りを添えています。
この夏はマーニーに会いに、どうぞ劇場へ。