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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

音威子府トンネル視察~発破!

2014-07-15 23:45:45 | Weblog

 稚内で一泊をして朝から旭川へ移動。今日の午後は旭川で現地の職員と意見交換を行うことにしています。

 稚内から旭川までは車で移動することになり、途中の音威子府(おといねっぷ)で旭川から迎えに来た車に乗り換えて旭川へ向かいます。

 ところでちょうど待ち合わせの音威子府では、現在音威子府バイパスのトンネルを建設中ということで、その現場を視察させてもらうことにしました。

 音威子府バイパスは、道北の音威子府市街地から天塩中川へ向かう国道40号線が北海道縦貫道と接続して道北圏と道央圏を結ぶ高速道路網を作ります。

 さらにこのバイパスは、天塩川沿いの現道は冬期にしばしば交通規制が発生することを解消し、併せて物流の効率化を図ろうという延長19kmの自動車専用道路です。

 バイパス区間内には4本のトンネルが施工中ですが、今日見学したのは一番南側で工事中の音威子府トンネル、延長は2,699m。

 現地で施工に携わっている受注業者の現場監督さんにご案内をしていただきましたが、「折角なので切羽(きりは)の先端まで行ってみましょう」と最前線まで連れて行ってもらえました。


 このトンネルが難しいのは、途中に蛇紋岩という岩質のところを掘らなくてはならないことですが、それはこの岩が空気に触れ水を吸うと膨張する性質を持っているため。

 山の中にあるときは安定していても、トンネルを掘るとトンネル空間の岩盤が盤膨れ(ばんぶくれ)を起こして盛り上がってくるといいます。

「非常に扱いが難しいと聞いていますが、現状はどのような感じですか」
「はい、今は切羽の先端は蛇紋岩層を抜けて砂岩の箇所を掘っています。蛇紋岩のところでは、ブレーカーで岩を砕いてトンネルを掘った先から、岩盤に鋼製の支保工を行い、その上に一定の厚さのコンクリートを吹き付けて上部も床面も両方の断面を卵状に固めてしまいます。さらに、地山の中にロックボルトを打ち込んでトンネルの切った面が変化することを早期に抑えてしまうことで安定をさせています」

 こうしたやり方で難しい蛇紋岩層を無事に通過して、切羽の最前線では今は火薬による発破で掘り進んでいるとのこと。

 ちょうど視察に行った時間中に切羽では発破が行われるというので、切羽近くの待避所で身を隠しつつ、発破のカウントダウンを聞きました。

「…5、4、3、2、1、発破!」

 合図とともにスイッチが入れられると、私の耳にはドン、ドン、ドン、という三発の爆発が聞こえました。

 発破終了のサイレンが終わったところで、監督さんに「今三発の爆発が聞こえましたが」と言うと、「正確には0.25秒間隔で7段か8段の爆破にしてあると思います。発破の考え方は、まず一発目で真ん中を爆破して空間を作り、次にその少し外側を爆破して空いている真ん中めがけて岩を破壊します、そしてさらにその外側…という風に多段階で爆破するのです」という答えが帰ってきました。

 発破に伴う粉塵が収まったところで切羽を見てみると見事に岩が崩れています。

「一度の発破で大体1.2mくらいの厚さを掘り出せます。昼夜二交代制で、一日三回の発破を繰り返し、月進40mほどを掘り進んでいます。切り崩したズリはベルトコンベアで坑口まで運び、そこから外部の堆積場へ移動させています。ベルトコンベアだとダンプの排気ガスもないので環境にも良いですし、延長が長くなるほど効率的になるんです」

 完成は一年半後とのことで、その間は冬期もずっと工事が続くのだそう。

 切羽最前線や発破の瞬間に立ち会えるなど、得難い経験をしました。道北が安全かつ安心で心理的にも近くなることで地域の振興につながる日が早く来ることを願わずにはいられません。

 

       ◆  

 

 

 視察を終えたあとは、ちょうど昼時だということで、昼食は音威子府の「一路食堂」で取りました。

 音威子府村は何といっても真っ黒の音威子府蕎麦が有名で、何軒か食べさせてくれるところがあるものの、ここはその代表格。

 冷やしたぬきそばを注文してみましたが、噂にたがわぬ黒さにうなるばかり。

 同行してくれた一人から「どうです、美味しかったですか」と訊かれましたが、私の答えは「美味い不味いを超えて、音威子府へ来たら食べた方が良い、いや食べなくてはいけない蕎麦だということが分かりました」というものでした。

 地域の名物として味を超越した存在感がある料理というのはすごいものです。お近くを通過する際は時間を合わせてぜひご賞味していただきたいと思います。

コメント (1)
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