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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

そこがネックだったとは

2014-02-14 23:45:48 | Weblog

 先日除雪車メーカーの方と話をする機会がありました。

 こちらの関心は除雪車を長持ちさせるにはどうしたらよいか、ということ。

 我々が除雪車を購入するときは「部品は10年間供給すること」という条件を付けます。

 それでもメーカーは今のところ大抵、求める10年を超えて15年間は部品を供給してくれており、除雪車の長寿命化を助けてくれています。

 しかし最近は15年を超えてなお使っている機械も多く、そうなると部品供給が不安になるのです。

 部品のストックがあれば、すぐに持ってきて修理をすることができますが、部品がないと探したり改めて作ったりするために何カ月もかかることがあります。

 そしてそうなると、一冬全く使えないというようなことにもなりかねず、機械の老朽化はやはり不安と背中合わせの状態なのです。


     ◆   


 そんなわけで部品の保管と供給をお願いしたのですが、事は簡単ではありません。

 除雪車にもいろいろありますが、最も多く保有しているのはトラックの前に"プラウ"と呼ばれる三角形の鉄の板をつけて、走行しながら雪を跳ね飛ばしてゆく除雪トラックです。

 除雪トラックを作るメーカーというのは、ベースとなるトラックシャーシーを自動車メーカーから購入して、それに油圧装置とプラウなどの鉄製の板をつけてゆきます。

 プラウや油圧関係は汎用部品も多くメーカーであれば自分たちで製作したりして供給もできますが、メーカーが外部から購入する部品はそちらを頼りにするしかありません。

 そして一番最初に痛むことが多いのは、ベースとなる車体の部分です。

 凍結防止剤をまく冬道を走るので、鉄製の部分は錆びも早く来ますしエンジン部品は走行と共に摩耗して多くの部品交換を必要とします。

 自動車の部品が全体の寿命を決めそうですが、実はその中でも一番動きが激しいのが電装部品なんだそう。

「電気部品はすぐに仕様が変わってしまって、部品が手に入りづらくなります」と、自動車メーカーも困り顔。

 家庭用電化製品であれば、古くなれば全部買換えをしてしまい、新しくなるたびにいろいろと進化が進んでいて良いように思うのですが、特に電子部品は技術の進化が早くて最新のものでもすぐに陳腐化してしまう世界。

 機械製品でもその基幹部分にこうした最新の電装部品が使われていることは多くて、全体を長持ちさせようと思うとそのあたりがネックになるのだそう。

 技術の進歩というとなにかバラ色の世界に見えますが、こと全体を長持ちさせようと思うと、古くても堅牢で安定した技術の方が良いということもあるのです。

 
 ある重機メーカーの方は、「部品も最近は製造工場が持つのではなく、ディーラーが買い取って保有するという流れになっています。ですから使いそうな部品を事前に確保しておいても、結局使わなくて廃棄するような割合が3割ほどになり経営を圧迫しています」と嘆きます。

 こうしたことを少しでもなくすべく、最近の除雪車は、何年でどこが壊れたという記録を積み重ねることで、「そろそろ統計的にここが壊れそうだ」というところに狙いをつけて、壊れる前に事前整備をすることも始めています。

 まだ壊れてもいない部品を取り換えるというのは一見無駄なように思えますが、動いてほしい時に壊れて使い物にならない損失のリスクを考えると、実はより経費削減につながっているというデータが集まりつつあります。

 社会変化を受け止めながらも、我々は様々な工夫によって長寿命化、経費削減、安定稼働という社会の要請に応えなくてはなりません。
 
 結構難しいものですねえ。
 

コメント
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