goo blog サービス終了のお知らせ 

北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

お客は恥ずかしがり

2008-06-24 23:47:42 | Weblog
 梅雨の中休みか、晴れの一日。気温も上がって夏間近。梅雨ももう少しの辛抱です。

    ※    ※    ※    ※

 さて、一昨日にショッピングセンターの横にある小さなお店の話を書いたところ、共感のコメントをたくさんいただきました。そこで今日は売る側の立場の話をひとつ。

 大学生の時に一度だけ札幌の丸山球場でプロ野球巨人ー中日戦のデーゲームで物売りのアルバイトをしました。観客席を回って「お弁当、いかーすかー」ってやつです。

 アルバイト代は基本給3千円+歩合制で、歩合の分は100円売ると6円もらえるシステム。要するにバイト代がたくさん欲しければたくさん売り上げを上げることですが、初めてなのでちょっと面食らっていました。

 するとそのアルバイトに誘ってくれた友人が私にいろいろとアドバイスをしてくれました。曰く、「とにかく単価の高い物を売ること。それはつまりお弁当を売りまくるのが一番!」というわけ。

 お弁当は幕の内や助六などで単価は800円、600円、450円などの種類がありました。なにしろ当時は年に一度の巨人戦なので、お客さんは午前中から観客席で試合が始まるのをわくわくしながら待っているのですからお腹も空いて当然です。

「いいかい、お弁当を少し売ったらすぐにまた仕入れに走って山のように仕入れてまた売る。もたもたしていたら仕入れのところで売り切れてしまうからとにかく抱えられるだけ仕入れるのが絶対必要だからな」というのが第一のアドバイス。なるほど、売る物がなければお金にはならないのは道理です。よし!

「それと、試合が始まってしまったら観客は試合に夢中になるからもう物を買う余裕がなくなるんだ。だから試合が始まる前までが勝負の時間と思ってそこに集中すること」
 これが二つ目のアドバイスで、これも納得。試合が始まると攻守交代の時にたまに百円のポテトチップスが細々売れる程度で、もうこっちも空いている椅子に座って試合見物です。

    ※    ※    ※    ※

「最後にひとつ。これが肝心なんだが、お客は恥ずかしがり屋だと思うこと。大勢の人の前で離れた売り子に『おおい、弁当二つちょうだい!』なんて声を出せないものなんだ」
「へー、じゃあどうやって売るのさ」

「目を見るんだ。お客さんがなにか買いたいときは、いかにも『こっちに気付いてくれー』という目をするから、そういうときにすかさず近くへ寄っていってその相手に向かって『お弁当、いかぁーすかーっ!』って声をかけるんだ。近くへ行って呼びかけることがお客さんのための一番のサービスだ。相手が気付いて欲しがっている瞬間を見逃すな!」
 これが三つ目のアドバイスでした。

 さすがにこのアルバイトをもう長くやっている友人だけ会ってなんと的確なアドバイス。

 お客さんの側は買ってあげているつもりでしょうが、こちらにすればその買ってあげると言わせる位置取りとタイミングを計っていたのです。このアドバイスのお陰で約1万円を手にした私でしたが、そのお金よりも『お客は恥ずかしがりだ』ということを知ったことの方が価値があると思いました。

 お客さんは恥ずかしがり。それだからこそ、会話が無くても物が買えるスーパーのシステムが人気な訳がある。

 このバランスの中に商売のコツがありそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする