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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

【番外編】目からウロコの一言集

2008-06-14 23:59:55 | Weblog
 伊豆天城での富士会議での参加者の発言から。立食パーティや談話室での会話の山ですが、これがまた面白いんです。

  

(その1) 中国出身で、日本の農業関係団体に勤務しているWさん。
「私は中国にいるときに日本語を勉強しました。中国人の先生と、日本から来る日本人の先生に習いました。そのときに、日本の先生は『日本は狭くて資源は何もない国です』と言い、また中国の先生は『中国は広くて資源大国です』と教えてくれました」

「初めて日本に来たときに飛行機の窓から日本の森が真っ黒なのに驚きました。中国へ行かれた方はおわかりでしょうが、中国の山は黄色いんです。それは切ってしまって木がないから。日本を見て回ると、森は立派な木が沢山あるし水はどこからでも湧いていました。私は『日本には資源がない』というのはわざと嘘を教えていたのか!と思いました。日本には素晴らしい資源が沢山あるのになぜ日本人はそう正直に言わないのでしょう?」

(その2) 高校生に進路情報提供をする企業のKさん。
「高校生に面接をして質問をすることがよくあります。質問で『20年後の日本は明るいか?それとも暗いか?』と毎年訊いています。『明るい』と答える子の割合は、一昨年が4割、昨年は3割、今年は1割に減りました」

「『暗くなる』と答えた子にその理由を訊くと、環境問題だとか年金だとか医療だとか、いろいろな答えが出てきます。しかし明るいと答えた子の答えはどれも『私が作るから』というものなんです。面白いと思いませんか?」

(その3) インターネットを構築した研究者の一人である東大の先生
「日本は今や世界中から注目されています。それは”課題先進国”としての期待と関心が大きいからです。環境や少子化や年金制度など、これから世界を襲うであろう多くの問題が真っ先に日本から明らかになってきます。そして実は日本は過去にはそうした問題にいち早く対応できてきた国なんです」

「アメリカで排ガス規制が強化されたときに真っ先にそれに対応する車を作り上げたのは日本車でした。だから規制が本格的になったときに日本車はアメリカを席巻してしまいした。日本は課題先進国であるだけではなく実は課題【解決】先進国なんだと思って、これから起きる問題に対して前向きに本気で一丸となって対応すればできないことはないと思いますよ」


(その4) アルゼンチン生まれの日系三世で現在は日本で通訳として活躍中のMさん
「南米からのお客さんを秋葉原へ連れて行くと彼らは喜んで日本のデジカメや電気製品を買います。するとそのときに彼らは『今手に持っている現物のこのカメラを包んでくれ』と言うんです。日本人の店員は『点灯に出ているものは汚れているから、奥から新しいのを持ってきますよ』と言うんですがダメなんです。『今これを目の前で包んでくれ』と言ってききません」

「なんでかというと、結局彼らには、奥から出してくる箱の中身は今見ているのと違うかも知れない、騙されるかも知れないという考えが染みついているんです。日本の店なら絶対そんなことはしないんだけれど、その常識を彼らはもっていません。日本人はそんな嘘は絶対につかないという信頼の心があることを自然で当たり前のことだと思っていますが、それが世界でいかに希有な尊敬すべき価値なのか、と思うんです」

(その5) 就職斡旋の企業のFさん
「社会の中で仕事をしながら生きて行くのには”山登り型”と”イカダ下り型”があるんです。山登り型は、スポーツ選手や歌手だとか、非常に高い目標に向かって地道な努力をずっと続けて頂上を極めるという生き方です。そしてイカダ下り型というのは、流れに身を任せながら出会いによってその向きを変えて行く生き方ですが、じつはこれは【計画された偶発性】とも言い表しています」

「今の学校では『早い段階でやりたいことを決めなさい』と指導していて山登り型ばかり教えているように思います。しかし世の中の多くはイカダ下り型で、出会いによって自分を変え、人生を変えながら生きて行く人の方が多いんです。そういう生き方も教えて、自分を変えながらより良く生きることの大切さも教える方が良いと思うんです」

 かーっ!どうです、深いでしょう!

 普段は気付かない興味深い世界からの話が満載です。寝るのがもったいないけど

 
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日本から世界をデザインする

2008-06-14 23:55:23 | Weblog
 朝一番の電車で伊豆の天城へと向かいます。天城では某情報系大企業が主催する一泊二日の研修会が行われるのでそれに参加です。

 毎年この時期に行われる会議では、50歳以下限定で全国からさまざまな分野の人たちが約50人ほど集まって、毎年テーマを変えて講演を聴き、意見交換をするという刺激的な二日間が楽しめるのです。

 今年のテーマは世話人の議論の結果「新未来論」ということになりました。実はこの会議、昨年が「脱悲観論」だったのですが、そこでの議論成果を受けて発展的に進めようということにしたのだとか。悲観論に陥りがちな日本の論調に対して、明るい未来はどこにあるのだろうか、という趣旨です。なかなかタイムリーでしょ?

 現地には昼に集合し、昼食後はまず講師からの基調講演をうかがいます。今回の講師は工業デザイナーの奥山清行さんで、タイトルは「人生を決めた15分、創造の1万分の1」とのことです。

   *    *    *    *    *

 まずは奥山さんの講演から。奥山さんは山形県出身で、高校を卒業した後に単身アメリカにわたりそこで工業デザインを学び、アメリカの自動車会社で自動車のデザインを数多く手がけてこられました。彼が大学卒業後にGMで働き始めた頃のアメリカ社会は、日本車が急速に増えたことによる日本バッシングの時期で、怖い目に何度もあったそう。当時は日本でも個性的な車が生まれ始めていて帰国することも考えたようですが「逆に、ここに留まって、GMのためによい車を作ることが逆に日本のためになるのではないか」と覚悟して、そこでの仕事を続けたのだそうです。

  

 その後個人のデザイナーとしてイタリアやドイツへ渡り、自動車のデザインに携わりましたが、究極の成果は2002年のフェラーリ・エンツォのデザインを採用されたことでした。世界で初めてフェラーリのデザインをした日本人ということです。

 フェラーリというのは、社員わずか3千人のイタリアの中小企業で、そのうち600人をF1のために投入するという企業スタイルを貫いている企業です。決してグローバル企業なのではなくて、イタリアの中小企業だというところがすごいですね。

 ちなみにフェラーリの車の売り方は、世界をリサーチした結果、一台7,500万円の車が350台売れるということが分かると、世界に向かって「一台7,500万円の車を349台作ります」とアナウンスをするのだそう。すると世界中の金持ちからわれ先に申し込みが来て、1500人くらいのリストが出来上がります。

 今度はそれから申込者について調査をして間違いない人を上から349人選んで「おめでとうございます、当選しました。○月○日までに半額を納めてください」と通知を出して、半金を手に入れてしまいます。そしてそれから車の製作を始めるので、開発費もデザイン費もそこから出るのでリスクのない経営ができるのだそうですよ。

 ちなみに、そうして手に入れたフェラーリならば中古市場で引き合いが強く、1億円以上の値がつくのだそうですから、商売というのは大量生産ばかりではないという典型的な例といえるでしょう。

   *    *    *    *    *

 さて、今回の講演のタイトルは、そのデザインが採用されたときのエピソードです。

 フェラーリ・エンツォ(Ferrali Enzo)はそれまで二年間もデザイン検討を重ねてきながらもまったく社長のめがねにかなったものができず、最終会議で社長が怒って「もういい」と言ってヘリコプターに乗り込んで飛んでゆくという事態になったのだそう。そのときに、会社のボスが「おいKen(奥山さんの海外での通り名)、おれがあと15分だけなだめて止めておくから、その間にプレゼンできるデザインを描け!」と言われました。

 それまでの間に100の会社がそれぞれ100のプランを出しながら決まらなかった車のデザインを15分で描けというラストチャンス。そのときに奥山さんはそれまで貯めに貯めていた自分の創造性を押し込んだデザインスケッチを15分で描き、それを示したのだそう。もうヘリのローターは回っていたそうです。

 それを一目見たフェラーリの社長は一言「なんだ、やりゃできるじゃないか」

 それが奥山さんがフェラーリ・エンツォのデザインをゲットした瞬間でした。その後完成したフェラーリ・エンツォは「史上最もフェラーリらしいフェラーリ」と賞賛され、一躍彼の名を世に高らしめたのです。

   *    *    *    *    *

 奥山さんはそんな話から、デザイン論について熱くお話をしてくれました。今は山形県の工芸ブランドを「山形工房」として立ち上げ中で、これもまた話題になっています。

 新しい発想を提案するのはデザインするという創造性にほかなりません。

 実に刺激的な話が満載でした。
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