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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

ヤバいぜっ!日本

2008-06-03 23:06:00 | Weblog
 午前中の飛行機で東京へ帰ってきました。

 札幌は快晴でやっと気温が上がってきたようですが、東京は雨。梅雨入りがだんだん北上してきているようです。そんな雨でした。

 飛行機での移動ということでは、読書タイムなわけで、今日は高城剛著「ヤバいぜっ!デジタル日本~ハイブリッド・スタイルのススメ」(集英社新書)という本を一気読みです。

  

 著者の高城剛さんは、1964年生まれ。職業はDJということになっていますが、映像作家、音楽・ドラマ制作など幅広いメディア活動をされている方です。

 本のタイトルの「ヤバい」というのは"very bad" と "very good" の両方の意味を持つ日本語として選んだもので、日本はこのままではまずいことになるという警鐘と、そうはいってもすごいんだよ、という両方の主張がこの本には込められています。

 まずITの話から始めると、「IT革命なんぞない!」「あるのはコミュニケーション革命やライフスタイル革命なんだ!」と著者は言います。情報がどのように伝わってこようとユーザーにはあまり関係のないけれど、コミュニケーションやライフスタイルの価値観はどんどん変化しています。それなのに日本という国は変化のスピードが遅く、世界はもう遙かに先を進んでいるということ。

 典型的な例としてあげるのが、デジタルコンテンツのコピーワンスのような制度の構築すらいまだにできない日本のおそまつさ。10回までダビングを認めようと言う「ダビング10」もまた延期されてしまいました。

 ipodをヒットさせたアップル社は、コピーなど覚悟したうえでそれを売るというビジネスで音楽を取り巻くライフスタイルを劇的に変えました。

 高城さんは「もうユーザーは音質が高いコンテンツなど求めていない。Youtubeだって、映像がきれいと言うよりはその多様さを楽しんでいる」と言います。「そもそも日本はコピー文化だったはず。コピーしながら全作を上回るアイディアを生み出すのが得意だった日本なのだから、コピーをフリーにして自由なアイディアを生み出す土壌とすべきだ」というのが著者の主張です。

 コピーしてもらえるようなコンテンツをどんどん作った方が結局ビジネスになる。「これからのコンテンツビジネスは、無料でもより多くの人に見てもらい、その見ることの対価を直接支払ってもらうのではなく、違う方法で稼ぐ」というあたらしいビジネスモデルに変わって行くだろうと予言します。うなずけます。

    ※    ※    ※    ※

 「日本は国家としてのブランドも失いつつある」と著者は言います。過去を活かしながらどれだけ過去と決別する変化を受け入れるかが、時代を乗りきる唯一の行動マインドなのです。

 著者はこれからの日本のスタイルを「ハイブリッド」という単語に求めます。たとえばハイブリッド車がそう。ガソリンと電気というそれぞれ確立した動力を組み合わせて新しいコンセプトを打ち出す力が日本にはあるのです。

 まったく関係の無いようなものを結びつけて新しい価値を生み出すという生き方を目指しましょう。著者はそのために必要なスキルは「コンピューターと英語だ」と断言します。その二つのスキルこそが世界に飛び出すための最重要ツールです。

 かつて日本に帰国子女ブームがありましたが、これも単なるブームで終わらせてしまって、彼らの能力や海外で育ったライフスタイルが日本を変えるところまでは行きませんでした。

 小学校の英語教育を論ずるときには必ず「英語よりも正しい日本語を学ばせるのが先だ!」という論調が出ますが、それならその両方のスピードをもっとあげてくれ!と言いたいところです。

 どちらが大事か、どちらが優先かという議論こそまさに典型的な小田原評定と言えるでしょう。そんな議論に決着をつける暇を使って、日本の国としての能力を高めて欲しいものです。

 さて、「生き方もハイブリッドがよろしい」と著者は言います。ひとつのことの専門家という時代は終わって、世の中は二つ以上の専門を持つ生き方が評価される時代になるでしょう。

 日本にも文武両道という言葉があったはず。職業だけにとらわれるような生き方ではなく、自分の心の求めに従ってみると良いのでは。

 なかなか刺激的なインスピレーションを与えてくれる本でした。

 こんな現状認識を知らなきゃちょっと「ヤバい」かもしれませんよ。
コメント
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