goo blog サービス終了のお知らせ 

北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

奥山さん語録から

2008-06-16 23:49:37 | Weblog
 一昨日聴いた奥山さんの講演の余韻がまだ残っています。印象的だった言葉の断片を拾っておくことにします。

  

【雲をつかむ】
「田舎の山形へ帰るといつも親からは『お前は何をしているんだ?』と訊かれます。『フェラーリのデザインをやっている』なんて言っても、『ヘラーリってなんだ?』ってな感じ。挙げ句の果ては『お前はいっつも、雲をつかむような仕事ばっかりして…』と言われます。でも雲をつかんで分かりやすく説明するのが仕事なのかも知れないなあ、と思うようになりました」

【スケッチということ】
「最近はデジタルが発達して、イメージでも何でもCADやCGで作れてしまいます。でもやっぱり僕はスケッチが良いと思います。絵というのは、描いている自分でも手がどう動くかが分からないところがあります。手が勝手に動くのをもう一人の自分が違うところで見ているような、そんな感じになるんです。だからある種の偶然が作品を作り出すということがあって、それは自分だけの力じゃないんだな」

【生け簀(いけす)のナマズ】
「僕は生け簀のナマズだなあ、といつも思っています。生け簀に入れられた魚ってだんだん元気がなくなるんだそうです。そんなときはその中にナマズを一匹入れると、魚たちは危機感を感じてしゃきっと元気になるんだそうです。大体僕が行くところなんて全部問題があってうまくいっていないところなんですよ。そこへいってなんとか解決しながらみんなを元気にするところがある。もう苦労の連続ですけどね」

【勉強するって事】
「子供の時に100の勉強をしても社会に出てからは10しか使わないものです。ただ問題なのは、どの10を使うのかはそのときになってみないとわからないということ。そして、実は使わない残りの90が自分の人生に彩りを添えることになる。やっぱり勉強はしておくに越したことはない」

【デザインするということ】
「車も売れない時代になってきました。もう無責任なハードの供給をしていれば良かった時代ではありません。そのハードで楽しめるインフラを提供しなくてはだめ。そしてそれでこんな体験と経験が出来るんだというエクスペリエンスデザインを提案しなくては。体験と経験をデザインして提案するのがこれからデザイナーの仕事なんだ」

【残されたフロンティア】
「今回のテーマの説明に中に『人類にとってのフロンティアはもはや未来だけだ』という言葉がありましたね。まさにそのとおりです。しかしそこに『そして自分自身こそが未来』という言葉も付け加えて欲しい」


【知らない世界を求めること】
「レストランには知らない世界を求めるために行くんです。『何が食べたいですか?』って訊かれてしまうと、自分が今までに経験した料理の中からしかイメージが湧かないんです。だからシェフに任せる。シェフの仕事というのはシェフ自身が作れる料理をアイデンティティの全てを込めてプレゼンすることです」

【リサーチは無意味】
「結局事前調査なんてものは答えを与えてくれることはない。デザインの仕事は目の前のクライアントからいただくんだけれど、結局本当のクライアントとは、製品化したモノを最後に買ってくださる人で、その人に受けなくては仕事をしたことにはならないんです」

【神の祠】
「僕は時計が好きです。車を一台デザインするときに一個時計を買うのです。後から時計のコレクションを眺めているとその車をデザインしていたときのことが思い出されてきます」

「必要だから買うモノは必要が無くなったら捨てられてしまいます。本当に欲しくて買うモノは捨てられることがありません。日本人は何にでも神様がいると考えますが、モノを作ると言うことは神が宿る祠をつくることだという気がします。モノはそれを作った人間より長生きです」

 奥山さんの一言一言には、やってきたことに裏付けされた重みがあるんです。

 この感動を少しでも伝えられると良いのですが。 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする