60~90年代名作漫画(昭和漫画主体・ごくタマに新しい漫画)の紹介と感想。懐古・郷愁。自史。映画・小説・ポピュラー音楽。
Kenの漫画読み日記。
●漫画・・ 「探偵学園Q」
本格推理探偵漫画の名作、「金田一少年の事件簿」の原作・漫画コンビによる、「探偵学園Q」の文庫版第1巻を読みました。「金田一少年の事件簿」では、原作が、天樹征丸氏と金成陽三郎氏の二人の作者名義になっており、作画がさとうふみや氏となっていますが、講談社の週刊少年マガジン誌上で、大人気作品だった「金田一少年の事件簿」終了後、引き続いて(実際は半年間、間をあけて)始められた、新たに設定をがらりと変えた、少年マガジンの本格推理探偵漫画第2弾、「探偵学園Q」の方は、原作が天樹征丸氏のみの名義で、作画は同じく、さとうふみや氏です。「金田一少年の事件簿」では、天才推理探偵少年、金田一一(キンダイチハジメ)君が、一人のその天才的推理力で、警察お手上げの難事件を、ほとんど独力で解決して行くのに対し、「探偵学園Q」の方は、天才的推理力を発揮する、主人公の少年は居るものの、難事件の解決は、グループ解決方式になってます。「探偵学園Q」では、名探偵養成特別クラスの少年たち5人各自が、みんな優れた独自の探偵能力を持っていて、5人それぞれの活躍の後、最後の〆の解決は、主人公の少年キュウが大団円を決める、というかたちですね。だから「金田一少年の事件簿」よりも、「探偵学園Q」の方が、レギュラーの登場人物も多く、またキャラクターもバラエティーに富んでいます。そして、本格推理探偵もの、ということでは「金田一少年の事件簿」の方が、より純粋に謎解きの本格で、一つ一つの事件がお話として完結している。つまり、主人公のヒーロー、金田一一(ハジメ)のシリーズ連作というかたちに、きちんとなっている。一方、「探偵学園Q」には、全話全編に渡って流れる、大きなテーマのように、『冥王星』という、主人公たち『正義』に対する強大な『悪』が横たわっている。しかし、まあ、一編一編のお話は、一つ一つの事件になっており、その一編には難解な謎があり、それを主人公の少年たちが力を合わせて、解決し、一つ一つの事件の結末が、一話終了形式ではあるんですけど。まあ、要するに、もう、ぶっちゃけ言っちゃうと、一話ごとの怪事件、一つ一つの裏側には、強大な『悪』である、『冥王星』が作用しているという、大まかな構図になってる、みたいなんですよね。『冥王星』とは、大きく根深い、暗黒の、犯罪組織みたいなもの、なのかな。まあ、僕もまだ(この時点で)文庫版で一巻しか読んでいないし、連続TVドラマも三回しか見てないもんで、「探偵学園Q」全編掴んで、理解している訳ではないんですね。
原作漫画の本編、「探偵学園Q」は、週刊少年マガジンに2001年から05年まで連載されました。僕は、全然知らなかったのですが、アニメ化もされて、2003年4月から1年間、放送されているんですね。僕は、大人になってからアニメ、見ないもんなあ。子供の頃は熱中して見ていたTVアニメも、何故か、大人になったら苦手になってしまっている。ドラマも一度、2006年7月に、単発のスペシャルドラマで放送されているんですね。これも全く知りませんでした。このスペシャルドラマは、僕が文庫版第1巻で読んだ、「切り裂き島の惨劇」編を基に作った、TVオリジナルのお話だったらしい。文庫版第1巻内では、「切り裂き島の惨劇」編は結末まで載っていないんですけどね。07年8月10日発売の、文庫版第2巻が待たれる!って、講談社コミックスで買えば、すぐに続きが読める訳か。講談社コミックスでは、一応、全22巻で、出ているのかな。07年7月からの連続ドラマ放送を受けて、何でも、マガジンで、一度、連載が終わっていた漫画「探偵学園Q」特別編が、復活したらしいというから、全22巻で完結、とはいえなくなるんだろうな。何しろ僕は、2000年以降の週刊少年マガジンを見たことない、くらいのものなもんで‥(ここ十年で読んだ少年漫画は、『デスノート』と『バキ』くらいなものだものなあ‥)。という訳で、今やってるTVドラマは、第1回放送が07年7月3日で、毎週火曜日夜10時から1時間ワクで、日本テレビ系列で放送されている。出演キャストは、06年7月の単発スペシャルドラマのメンバーと、ほとんど同じ。このスペシャルドラマが、物語のプロローグから第1の事件を扱っているから、単発スペシャル作ったときに、既に連続ドラマにする企画はあったんだろうね。主だったキャストは同じだし。
今放送中の、日テレ、連続ドラマ「探偵学園Q」も、けっこう面白いです。しかし、やはり今のこういうドラマはテンポが速いねえ。無論、1時間ワク内で1事件解決、という連続刑事ドラマと同じ制約の中で、主人公たち物語の中心的キャラが若者たちであり、大都会が舞台のドラマということで、今風に、テンポがかなり速い、スピード感のあるドラマに、なってしまうんだろうなあ。例えば、ワイルドな雰囲気を前面に出した刑事ドラマ、だとかは1時間内1事件解決で、テンポが速くなっている。乾いたコンクリートジャングルの中での非情な殺人事件を扱って、細かに『情』を描けば、とても1時間では、お話が処理できないだろうし。年寄りの視聴者たちは、あのテンポの速さには着いていけないだろうな。と、いう気がする。まあ、だいたい刑事ドラマそのものが、事件が起こり解決までのダイジェストで説明して聞かせている、よーなものだものな。1事件の再現ドラマみたいな。これが連続刑事もので、1時間ワクだと非常に速い。刑事ドラマも、創作されたウソの事件を一つの情報として、記号の集成みたいに、視聴者に流しているという、ことなのかも知れない。視聴者、よく着いて行ってるよなあ。慣れかな。速いスピードにも慣れるだろうしなあ。以前やっていた「はぐれ刑事純情派」とかも、話の枝葉は変えても、同じパターンを毎回流している訳だった。同じ記号で作った簡単な方程式の、うわべの飾りを毎回変えて、何度も何度も流し続けている。TVドラマなんて別に、ほとんどが暇つぶし用の娯楽なんだろうから、まあ、それでいい訳か。謎解きの本格推理ものは、何てったって小説だと思いますが、「金田一少年の事件簿」のような漫画も良いですよね。TVドラマだと受ける一方で、スピードが速く、どんどん話が進んで流れて行くし、考える暇が無いくらいですよね。それに第一、解りやすい。解りやす過ぎて面白くないです。謎解きの楽しみが味わえない。受ける側が楽しむのは、謎解きではなくて、主人公(ヒーロー・ヒロイン)の行動ですね。漫画やTVドラマだと、どうしたって、『キャラ萌え』になるんでしょうね。
「金田一少年の事件簿」という本格推理探偵漫画は、パズラー小説のオーソドックスな王道、ハウダニット・フーダニット等の謎解きの醍醐味を提供し、特に、本格推理の定番、クローズドサークル設定のお話が、非常に多い。これが本格推理大好きなミステリファンに堪えられなく、本来のパズラー小説の読み手をも、満足させる。クローズドサークル設定というのは、嵐で海が大荒れの孤島、吹雪が続く雪山の山荘、橋が壊れ土砂崩れで道が塞がれて隔絶された山間のホテル、などの他と遮断された限られた領域の中で、5、6名から12、3名くらいの人数の人たちが、不特定に一人、また一人、と惨殺されて行く、連続殺人事件の中で、話の進行から、ハウダニット・フーダニット(どうやってやったか?誰がやったか?)等の謎解きを、探偵役の主人公と共に、時には、探偵役の主人公と競いながら、楽しむジャンルのミステリです。「金田一少年の事件簿」は、週刊少年マガジンに、1992年から2000年まで、長期に渡って連載された、少年向け、大人気本格推理探偵漫画です。少年漫画誌で、ジャンルとして、これだけしっかりと大々的(本格的)に、謎解きメインの本格推理をやったのは、初めてなのではないでしょうか?そして少年漫画の連載作品としても、大きな人気を獲得して成功した。「名探偵コナン」も、少年向け、推理探偵もの、なのでしょうが、恥ずかしながら、僕、「コナン」のことは全然知りません。漫画もアニメも見たことない。どうも済みません。ただ「コナン」の週刊少年サンデー連載開始の方が、「金田一少年の事件簿」よりも後ですね。「コナン」は未だに連載が続いているようですが、漫画の連載開始は94年です。ジャンルとしては、漫画の中で、本格推理もの、ってもう、すごい昔からあったんですよね。劇画の黎明期、50年代末の貸本誌『影』なんかには、例えばK・元美津さんとかが、短編で描いていた。K・元美津さんに限らず、当時の貸本漫画家には、謎解きものを描く人はいっぱい居たんだよね。でも、メジャーな少年誌の連載で、本格推理をやってのけて成功したのは、やはり「金田一少年の事件簿」が初めてじゃないかなあ。ハードボイルドものは、貸本消滅後の雑誌漫画でも多かったけどね。ハードボイルド劇画の中に、要素の一つとして、謎解きがあるものはいっぱいあったろうけど。
「金田一少年の事件簿」じゃあなかった。「探偵学園Q」のことを書くのだった。しかし、「金田一少年の事件簿」も単行本を一冊一冊、続けて読んでると、飽きますね。僕は大人になってからは少年漫画誌はほとんど読まないので、「金田一少年の事件簿」を雑誌連載でなく、90年代に少年マガジンの別冊版形式のB5版雑誌で、事件ごとにまとめたものを、一気に、1事件ストーリー全部、読んでいたんですけど、あの時は数ヶ月に一回、まとめたものが出版されて、その都度、読んでいたが、今になって「金田一少年の事件簿」のワイド版や文庫版で読むと、何冊も続けて読むのはしんどい。まあ、今の僕の目の悪さから、疲れやすくて読書の持続がしんどい(歳喰った)、というのも勿論、あるのだが、続けて読むと食傷ぎみになりますね。多分、僕はあの頃、95年から放送された実写ドラマを先に見て、漫画を読み始めたんじゃないかなあ。堂本剛君とともさかりえちゃんのドラマシリーズ。無論、あの頃、熱心に見てた訳じゃないが、たまに見て、けっこう面白くて。いや、やっぱ本家・漫画が先かなあ。まあ、どーでもいい話です。「探偵学園Q」だ。今回のタイトルは「探偵学園Q」の方なのだ。「金田一少年の事件簿」と「探偵学園Q」両方の、原作担当の天樹征丸氏ですけど、「金田一少年」の方では、当初、クレジットが『原案』となっていました。天樹征丸さんは元々、少年マガジンの編集者だったんですね。漫画家・さとうふみや氏担当の編集。後に「金田一」でも『原作』クレジットに変わる。天樹さんは途中で独立したそうなんですね。天樹さんは、編集者時代は、コアなミステリマニアのサラリーマンだったんでしょうね。今や、天樹征丸氏は、漫画原作として、ミステリ以外にも、いろいろなジャンルの作品がたくさんあるし、小説作品そのものも手掛けている。
「探偵学園Q」です。ドラマは、7月24日夜10時が、第4回。イイですね!主人公キュウ君役の美少年、神木隆之介君と、ヒロイン、メグ役の志田未来ちゃん。神木隆之介君は、映画「妖怪大戦争」の時に比べると、随分大きくなりましたねえ。子供の成長は早いなあ。天才子役との評判も良い、志田未来ちゃんの役も、「女王の教室」や、この前の「わたしたちの教科書」の時のように重くないし、ネガティブな面が表面に出る役じゃなくて、都会っ子のポップティーンのキャラで明るく楽しく、時々メイド服なんか着ちゃってて、変装コスプレとか、『萌え~』な感じがイイです。神木隆之介君は、僕、映画「妖怪大戦争」の時、可愛い男の子だなあー、と感心して見てました。ホントに、実に可愛い男の子だと思った。こんなこと書いてると、ショタコン変態のオヤジと思われそうで心配になりますが、僕は特別、美少年趣味ではありません。僕は、少女子役では、志田未来ちゃんよりも、福田麻由子ちゃん派でしたから。福田麻由子ちゃんて、映画でも、いろんな作品に子役で出てますね。福田麻由子ちゃんも大きくなったなあ。成海璃子ちゃんというのは、何だか、もう大人の少女として見てしまうなあ。連続ドラマ「探偵学園Q」、第四回以降も楽しみです。テンポの速いサスペンスタッチの都会派探偵ドラマ。現代版少年探偵団。この、少年少女たちが主人公の探偵ものが、どうして夜10時ワクの放送なんだろう?しかしやはり、漫画が面白い。文庫版第2巻が楽しみです。小型雑誌形式のコンビ二版でも、1冊目が発売になってるみたいですね。