河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2728- シューベルト4番、ブルックナー7番、上岡敏之、新日フィル、2019.9.5

2019-09-05 23:29:22 | コンサート

2019年9月5日(木) 7pm-9:10pm サントリー

シューベルト 交響曲第4番ハ短調D417 悲劇的  7-8-4-6

Int

ブルックナー 交響曲第7番ホ長調WAB107 (ハース版) 22-23-10-13


上岡敏之 指揮 新日本フォルハーモニー交響楽団


Ⅰ 3-3-2-6-2-2-2-c2
Ⅱ 4-3-7-2-3-c4
Ⅲ 4-3-3
Ⅳ 2-2-2-2-1-1-2-c1

先般の、同じコンビによるワーグナー、
2697- オール・ワーグナー・プログラム、上岡敏之、新日フィル、2019.5.10 
基本的にあの路線を自らに踏襲したもので、薄膜表面張力に見えて内実は、敷き詰められたペイヴメントのようであり、パースペクティヴが見事に冴えわたる柔軟で美しいブルックナー、佳演でした。

アゴーギク的アクセルブレーキは、もはや、副次的派生的なものであり、主なる関心は響きの世界だと思う。聴こえなければ響きは無いわけだが内なる響きまで追求しようとする演奏スタイル。上岡真骨頂の空間エネルギー則であり、冒頭はまさにその典型的なもの、あすこに彼のしたいことが全て詰っている。
約70分、弛緩することのない見事な演奏。十分な時間である。それはそれとして彼のブル7世界最長演奏と比べてみよう。
今日の新日フィル 68:xx (22:xx-23:xx-10:xx-13:xx)
ヴッパタールSO. 90:33 (28:36-33:27-12-02-16:28)

ヴッパータールのほうは響きの世界をさらに推し進めたものと推測できるが、こればかりは現場で体感しないことには何とも言えない。

上岡が創り出していく音楽というのが自分のイメージの中にあって、目をつむると、左官職人の塗り壁のモーションがいつも湧く。これは見た目の話ではなく作品創造のスタイル・イメージですね。1,4楽章の第2主題の運び、主題から主題への経過句の濃い扱い、アダージョ楽章のコクの深さ。緩徐部分におけるこのようなことばかりではなくて、第1,3主題の律動と、その律動の種類が1と3主題ではかなり異なっている。スケルツォ、トリオの性格分けも、そう。等々、全体俯瞰をすると、それらが全て見事に塗り壁のような見事さになる。
上岡スタイルのブル7解釈だと、終楽章の、展開部のコネリが少なさ、再現部の出現順序が第3,2,1主題の順序になることによる淡白な短さ、3主題の一様な律動による先急ぎ感、などが全て払しょくされてブルックナー的宇宙時間が必要にして十分な配分で満たされる。
結果、ブル7の尻つぼみが無くなり終結に向けて大きく羽ばたくものとなり、滑らかにして壮大、大伽藍世界の建立、お見事なバランスで出来上がった。釘は無い。マーヴェラスにしてビューティフル。感動しました。



前に置かれたシューベルトは、NJPのシューベルト交響曲全曲演奏企画の一旦。
第1楽章はたびたび上岡が魅せるガスを抜くような終止。あれはチェリが1970年代に好んでやっていたスタイルと似ている。柔らかく歌い全く気張らないもの。次々と美しいメロディーフレーズが流れていく。第1,2楽章でほぼ言いたいことを言い尽くしている作品が多いシューベルトとは思うけれども、今日の演奏は負けず劣らず、後半楽章の規模感を認識させるに足るもので、演奏が充実感に満ちていましたね。
プログラム冊子には、シュベ全は上岡と客演指揮者で完成させると書いてあります。一人で全部というのもいいような気もします。
おわり







2727- ロッシーニ、ランスへの旅、藤原歌劇団、園田隆一郎、東フィル、2019.9.5

2019-09-05 22:09:55 | オペラ

2019年9月5日(木) 2pm-5:10pm    オペラパレス、新国立劇場、初台

藤原歌劇団 プレゼンツ
新国立劇場、東京二期会 共催

ロッシーニ 作曲
松本重孝 プロダクション、リヴァイヴァル

ランスへの旅  ドランマ・ジョコーゾ1幕〈字幕付き原語上演〉 109-43

キャスト
コリンナ、砂川涼子(S)
メリベーア侯爵夫人、中島郁子(Ms)
フォルヴィル伯爵夫人、佐藤美枝子(S)
コルテーゼ夫人、山口佳子(S)
騎士ベルフィオーレ、中井亮一(T)
リーベンスコフ伯爵、小堀勇介(T)
シドニー卿、伊藤貴之(Bs)
ドン・プロフォンド、久保田真澄(Bs)
トロンボノク男爵、谷友博(Br)
ドン・アルヴァーロ、須藤慎吾(Br)
ドン・プルデンツィオ、三浦克次(Br)
ドン・ルイジーノ、井出司(T)
デリア、楠野麻衣(S)
マッダレーナ、牧野真由美(Ms)
モデスティーナ、丸尾有香(Ms)
ゼフィリーノ、山内政幸(T)
アントーニオ、岡野 守(Br)
ジェルソミーノ、None(T) *当演出ではカット

合唱 藤原歌劇団合唱部、新国立劇場合唱団、二期会合唱団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
指揮 園田隆一郎


第1場~第7番 109
Int
第8場、第9場  13+30


もう、気絶しそう。何が起きているのか頭の整理がつかない。破天荒な面白さ。最高峰のキャスト、独唱の自己主張、張りのあるアリア、混声6部合唱、14声の大アンサンブル、フィナーレでのお国の歌、全ての声とフルオケの華麗なフィニッシュ。もはや、全員主役。とことんとことん料理しまくり食べまくるロッシーニ。圧巻、美食満腹、歌の嵐。

派手な大人数な歌と動き。それが直列回路で進むので、字幕共々わかりやすい。初めて見るほうは、混乱は混乱だが、続々と手を替え品を替え名人芸が楽しめてこの上ない爆な喜びに浸る。楽しいなあ。

指揮の園田はこれまた大変だろうね。歌い手たち全員のテクスチュアを覚えてるんだろうね。大変だわ。まあ、アンビリーバブル。

目を閉じると浮かんでくる。CDでもDVDでもゆっくりこってりと思い出しつつ聴きこみたいものですね。

いつもは高いなあと文句を言っている千円プログラム冊子。今回ばかりはそんなことは言えない。ストーリーの解説のこと多々あるし、ほかの文も価値あるものだ。園田の一文もあるし、2006年上演時のアルベルト・ゼッダの再掲文もある。かなり読める冊子で理解が深まるし、あの劇のことがありありと浮かんでくる。

ありがとうありがとうの上演でした。
おわり


【ゲネプロレポート】藤原歌劇団公演《ランスへの旅》