2019年9月6日(金) 7pm サントリー
サン=サーンス 歌劇《サムソンとデリラ》より「バッカナール」 7
間宮芳生 ヴァイオリン協奏曲第1番(日本フィル・シリーズ第2作) 8-4-10-8
ヴァイオリン、田野倉雅秋
Int
大島ミチル Beyond the point of no return(日本フィル・シリーズ第42作)世界初演 14
ルーセル バレエ音楽《バッカスとアリアーヌ》第1・第2組曲 17-19
山田和樹 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
●
派手に鳴らした巨大フルオケ、ゴージャスサウンドナイト。サンサーンスとルーセルは分厚いバンズ。中に現代もの2品。おなか一杯のフルフルナイト。
いきなりバッカナールが鳴る鳴る。オーケストラサウンドを聴く醍醐味、ここに極まれり。
バッカスとアリアーヌそこここと極限を行き来する絵巻物。分厚いバンズがタップリこってりと味付きで出てくるもんだから、もうこうなったら、食べつくすしかないね。
中に挟んだハンバーグ2種。
まずは間宮の作品。あの時代のいわゆる一つの特性を形作っていると思われるオーケストラのフル活用は伴奏越え。コンチェルトだろうが何だろうか、とにかく使えるものは大いに使え、そんな感じ。
4楽章形式で、前奏曲、行進曲、間奏曲、フィナーレ(prelude-marcia- intermezzo- finaleの表記)。約30分の大物。作曲家の記によると、核はインターメッツォの中の中間部とのこと。この楽章は10分に渡り、一番長いもの。
渋めのトーンとハーモニーのオケ伴に支えられ骨太なヴァイオリンがよく歌う。前奏曲、行進曲はその名の通りの味わい。
間奏曲は作曲家個人のオリジナリティなのかそういった雰囲気大。印象的な歌が途切れながら続く。ひなのうた、ひよわなわらべうた、押しつぶされたように進行。まさしく作品は語る。だから、深みが欲しいといった聴く欲望は場違いなのだ。そしてそれらが最後は解決に向かう。短いカデンツァの後、前奏曲の音型に戻り終わる。オケ伴の分厚いヴァイオリンが印象的。
ご本人登場、90歳。この作品は30歳の時の作品。聴くほうとしても振り返るものが大きかったですね。
次は大島さんの世界初演作。
Beyond the point of no returnこのタイトルを日本語にするとどうなるんでしょうか。戻ることのない点を越えて。ですか。
組み立ては、急緩急コーダ、といったところか、急は独特なリズムで進む。変則が法則な感じ。聴いているうちに違和感は薄れていく。あとの急はさらに独特なリズムとなり、かなりしつこく咆哮を続ける。ちょっとやりすぎな気もする。ご本人のイメージを理解し消化できるようになるにはこちらの時間がかかりそうだ。
大島さん登場。
●
バンズに挟まれた二つの作品は双方、日フィル・シリーズとあり、委嘱作品なのだろう。間宮作品が日フィル・シリーズ2作目、大島作品が日フィル・シリーズ42作目となっている。本当に大きな歴史が脈々と続いてますね。
ありがとうございました。
おわり