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2730- プッチーニ綺想曲、パガニーニVn協4、クリスチャン、シュトラウス、イタリアから、三ツ橋敬子、東京ニューシティ管、2019.9.7

2019-09-07 21:58:14 | コンサート

2019年9月7日(土) 2pm 東京芸術劇場

プッチーニ 交響的綺想曲  13

パガニーニ ヴァイオリン協奏第4番ニ短調  15-5-10
 ヴァイオリン、トーマス・クリスチャン

Int

シュトラウス イタリアからop.16  9-12-12-9


三ツ橋敬子 指揮 東京ニューシティ管弦楽団


お初で聴くオーケストラです。記憶を探り寄せれば聴いているかもしれないが本格的ないわゆるオーケストラルな演目で聴くのは初めての事と思う。それもこれもシュトラウスのこの作品が好みなので取り上げる演奏会があればなるべく出かけて聴くという話しで。
冒頭に置いたプッチーニからわかるようにこの日のプログラミングはきっと指揮者の三ツ橋さんのビルディングだろうし、期待値も高かった。
全くそれに違わぬ素晴らしい内容で心ゆくまで満喫できた。まずは指揮者の意をくみ取り大きく歌う、大胆な歌い口で滑らかに流れる。ブラスセクションの歌と流れには瞠目。三ツ橋さんの振りはこれらのことに加え、歌のエンドフレーズでの丁寧さ、まとめ上げが鮮やか、音楽の呼吸が眼前にフツフツと迫ってくる。柔らかな物腰と大胆な切込みがハイブリッドに同居、この絵巻物ストリーム。
カンパーニャ、ローマ、ソレント、ナポリ、次から次へと噛み応え満点で、ひとつも聴きのがせない。シュトラウスの若い時のこの作品、ナチュラルなハーモニーの表現が、意識された情感をそれほど伴う事が無くストレートに響きの世界を楽しめる。標題は副次的な物聴きだが作曲家にとってはこの後、重要なファクターになってくるのだろうね。彼の若い時代の作品はだいたい好きですね。イタリアから、が出来たのが1886年、ピンとくる、フルトヴェングラーの生まれた年。まあ、自分としてはここまでなら遡れるなあという思いも少しはありますね。脱線。

ソレントの中間あたり、一段と弦がよく歌い始めギッシリと敷き詰められたペイヴメントのようになり光が増す。ブラス、ウィンドにすぐに波及し充実のサウンド。フィナーレのナポリ、前3楽章分の主題が散りばめられて回帰するあたりから演奏はさらに過熱し、歌い上げたエネルギッシュな進行、聴くほうも、もう、ノリノリ。フィニッシュは裏打ちというより、激しい後打ちの8連発、そして前打ち打撃3発、この位相転換が鮮やかに決まる。実にそう快、この作品はこうやって終わるんだよお、全くそんな感じ。アメイジングビューティー絵巻物サウンドでした。

冒頭のプッチーニも三ツ橋さんの十八番でしょうね。このままボエーム全部やってほしいぐらい。あすこを聴くと2時間4幕ドラマ全部浮かんできます。オペラと同じ響きでした。
ボエームは4幕物のソナタの形式だと思っているので、シュトラウスを聴いた後の事だけれども、イタリアから、の雰囲気をイメージしながら、きっとボエームも素晴らしい内容になるに違いないと、想像が膨らむ。


プッチーニとシュトラウスに挟まったパガニーニ。やにっこいニ短調。でも、パガニーニのコンチェルトのオケ伴て、なんだかケツマクってて、やけっぱちみたいな鳴りが魅力的で最後まで聴かせてくれる。ソリストのトーマス・クリスチャンはお初で聴きます。身体が結構重そう、胴回りが三ツ橋さんの3倍ぐらいありそう。腰高の椅子に腰かけながらのプレイ。でもまあ、不自由なところは無くて、パガニーニのスペシャリストなんでしょう。瑞々しい響きと安定した技巧、それに魅力的な歌い口、楽しめました。アルチザン的雰囲気もありますかね。オケ伴は本当に面白い。雄弁ともちと違う。

東京ニューシティ管、オーケストラの演奏て、やっぱり集中力。個々のプレイヤーの気持ちの持っていきかたがいい演奏を生むし、指揮者もこれだけの大人数をまとめ上げるのは大変だと思う。両方揃った佳演でした。

この日の芸劇、ざっと見渡したところ、1階は概ね埋まり、2階は六七分、3階席がややまだら模様、全体としては盛況で沸いてました。
いい演奏会でした。ありがとうございました。
おわり