河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2737- シャブリエ、狂詩曲スペイン、ピアソラ、バンドネオン協奏曲、小松亮太、幻想交響曲、ミシェル・プラッソン、新日フィル、2019.9.27

2019-09-27 23:38:19 | コンサート

2019年9月27日(金) 2pm トリフォニー

シャブリエ 狂詩曲スペイン  6

ピアソラ バンドネオン協奏曲  8-8-7
  バンドネオン、小松亮太

Int

ベルリオーズ 幻想交響曲Op.14  13-6-15-5-10

(encore)
ビゼー カルメン 前奏曲  3


ミシェル・プラッソン 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


1933年生まれというからもうすぐ86を迎えるプラッソンが悠然と登場。風貌はどことなく往年のアルミン・ジョルダンを思わせる。出てくる音も粋なもので同種の趣きを感じさせる。プラッソンは何度か聴いて、自然体で肩の凝らないもの。美音を奏でてくれてそれに寄り添っていけば気持ちよく音楽を満喫できる。

コンマスの豊嶋さんよりも上背があって、大きな指揮ですね。髪も豊富。
最初の曲シャブリエのスペインで一気に空気を変えてしまう。短い作品、リズミックで活力あるし、音の線が目立つ。新日フィルが精力的に明るく鳴る。

次のピアソラの作品、バンドネオンの音をこれまで聞いたことがあるのかどうかも怪しい自分ではある。楽しみでした。
伴奏オケはストラヴィンスキーの協奏的舞曲を思わせるもので、音がサクサクと立って進む感じ。バンドネオンはけっして大きな音ではないと思うが、オーケストラの音と似ている、合っている。明るいオケ伴で鳴ると全体がさらに輝きを増す。特にハープとの絡みは美しい。弦と蛇腹の絡み合い。
聴きものはモデラートの中間楽章、バンドネオンを満喫。人の息づかいを感じさせるもので、なにか風情があって情緒的な色合いの音楽が流れていく。キャパ小さめのホールならさらに耳を撫でてくれていたに違いない。
バンドネオンの重さはどのくらいあるのだろう。終わったところでバランスを崩した小松さん、一気に緊張が取れたのかもしれないが重そうだった。プラッソンが支えていたからこれはこれで大したもの。プラッソンはピアソラだけ椅子に座って指揮、他の2曲は椅子も無くて全くの立ち振りで、体力的にも自信があるのだろう。やっぱりこういう良いコンデションでの音楽を聴きたいですね。小松さんのバンドネオン、自分的には新発見、堪能しました。


プログラム後半は幻想。これがまた圧巻の美演。実際のところ50分に満たない演奏でしたのに、随分と悠久の時を過ごさせてもらった。わけても、第1,2,3楽章のセンスの良さは抜群で、こっちがあえて言うのもおこがましいもの、構わず聴き書く。
出だしはゆっくり目で、もしかしてよくある年と比例してなんとか、みたいなことがよぎったが、結果的にそういったところはなくて、音の流れ以上に線の際立ちを聴かせるもの。注意深く奏でられる線の妖しい動きに聴くほうのテンポ感が惑わされた。それと、色合いのバランスですね。後で思うと、本当にコントラバスあったのかな、と、ふと考えてしまうほど全体の音の強度が均質なもので、文字通り平衡感覚に優れたものだったのではないか。どっしりとというのではなくて中空に全体が浮くように持ち上げられたサウンド妙味。こういったところはもはやマジックとしかいいようがありませんな。明るい線が美しく鳴っている。2楽章のワルツなんて、ワルツだったの?と、フレージングの妙をヒタヒタと聴かせてくれた。どれもこれも美しいものでしたね。もう一度聴くのが一番良いのかもしれない。
中間の第3楽章、野の風景では、オーボエはしもて階段を上りオルガンレベルのしもてサイドで吹く。遠近感が良く出ている。弦の美しさ、鮮やかなウィンズ。ティンパニの控え目な美学。どれもこれも美しい線が際立つ。プラッソンの見事なコントロールとドライヴ。オケの積極的な音楽づくりも瞠目。

次の断頭台はリピート無し。激しさが増しあっという間に終楽章へ。その終楽章はもしかしてどこかカットしたのではないかと思えるぐらいすぐに終わってしまった。なんだかいつまでも鳴っていて欲しかった。これからもまだまだ振れるんだよってプラッソンが言ってるみたいな〆具合でした。
もう、本当に満足でお腹がいっぱいになりました。アンコールやるとは本当にびっくり。やっぱりまだまだ振れそう。
心に残る素晴らしい演奏会でした。ありがとうございました。
おわり