河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2725- ベルク、ヴァイオリン協奏曲、エーベルレ、ブルックナー9番、大野和士、都響、2019.9.3

2019-09-03 23:20:41 | コンサート

2019年9月3日(火) 7pm 東京文化会館

ベルク ヴァイオリン協奏曲 10-16
  ヴァイオリン、ヴェロニカ・エーベルレ

(encore)
プロコフィエフ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2楽章  2

Int

ブルックナー 交響曲第9番ニ短調WAB109(ノヴァーク版)  23-11-22


大野和士 指揮 東京都交響楽団


AB9
Ⅰ 3-4-3-7-0-2-2-c2
Ⅱ 4-3-4
Ⅲ 3-4-5-3-5-c2

ニ短調のやにっこさが今日は思いの外、深刻ぶらずに進む。長い経過句がその前の主題のモードで流れてその主題とまとまる気配で、節目のくさびが四角四面にならずに進行。オケが気張り気味というのがやや有るけれども総じて良い風が吹いた。精度はいまひとつ。

9番の初楽章は展開部と再現部が溶解している。展開部の順序は提示部と同じだが第3主題で混乱し溶解、この余波か再現部の第1主題は欠落して進行する。と理解しているのだが、この日の演奏はこういったあたりのメリハリ感、呼吸がピシッとしている。再現部第2主題から大波の後のコーダまできっちりと決まった。大野の見事な棒でした。

スケルツォ楽章は弦群の身体の揺さぶりがもの凄い。出てくる音も見事だ。深彫りされた音響の立体感が快感をもたらす。律動がいい。
トリオも律動的で粒立ちがありウィンズ、ブラス、共によく揃ったもので快活。2回目のスケルツォもハンコの雰囲気は無くて若干速度を上げ、時間の進行とともに演奏に勢いがついてくる。エモーショナルなものの積分。

ブルックナーの9番のスケルツォ配置はベートーヴェンの第9のものと思うし、同じ第九の緩徐楽章をこの9番で踏襲していると思う。AB-ABときて3回目はAのみで、大野が丹念に掘り起こしたこの3回目の長いA。比して最後のコーダはその主題が継続しつつ割とスッと終わる。第九のように明らかに次の楽章があると匂わせながらのエンディングで、漂う空気感は虚無に向かう中空ぶらさがりエンドながら、なにか、心地よさもある、指揮者のこの曲に対する意図を感じないわけにいかない。思いもあろう。



前半のベルク。
配置されたトゥエルヴトーンが冒頭、一つ置きに並んでいるというのは、その時にはわからず一通り出てきて初めてわかるし、いや、その後の並びを聴かないとわからないものだろう。ベルクをそのような聴き方で聴くというのは簡単ではない。それで、その配置の転換点がよくわかるというのは、エーベルレのヴァイオリンでソロに聴耳を立てているとシャープな響きと柔軟な弾きが見事に色分けされていて実にわかりやすい。ロマンティシズムのある種ウェットなものがその音色からのみならず、音階の流れの束からも感じられてくる。わかりやすいというのはこうゆうことだったのかと、納得できる内容のプレイでしたね。
オケ伴は現代物十八番の都響にしては切れ込みがいまいち。
おわり