2017年9月6日(水) 7:00-9:20pm 東京芸術劇場
ヴァインベルク ヴァイオリン協奏曲ト短調 jp 10-10+8-7′
ヴァイオリン、ギドン・クレメル
(encore)
ヴァインベルク 24のプレリュードから 4番21番 4′
Int
ショスタコーヴィッチ 交響曲第4番ハ短調 32-8-32′
ヤツェク・カスプシク 指揮 読売日本交響楽団
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渋くて厳しい演奏、巨大な4番でした。いつぞやのラザレフの言でショスタコーヴィッチの3楽章パターンについての話を思い出すようなカスプシクの見事なバランスで表現された演奏。
非常に厳しい音作りで一切妥協を許さない、読響の音が何やら乾いたような干した藁のように見えてくる。フレージングが曲線ではなくて折れたように進む。ギクシャクとした音構成はたるみ排除の代償だ。そう思うとこれはギクシャクとしたものではなくてカスプシクの作り出しているものであって、作品への真摯な立ち振る舞いそのものに見えてくる。生真面目さ100パーセントといったところか。
最後の究極の音圧、そして15番の先取りエンディング。その爆発音圧の前は奇妙な3拍子が空虚な笑いのように進行している。こういったあたりで魅せるシリアスなカスプシクの表現というのは作曲家が望んでいたことなのかもしれない。全方位の演奏解釈ではないがゆえににじみ出る圧倒的な質感だ。読響の朴訥な演奏は多様性を感じさせてくれるもので、許容、吸収、表現、能力大きいオケですな。
明日をも知れぬ鉄板演奏。硬派な棒。締まった演奏。大規模な製鉄工場の現場でも見ているような質感、大きな演奏でした。カスプシク、お見事。
この作品の謎は続く。不思議な曲だ。
前半のヴァインベルクのコンチェルトは初めて聴いた。若い頃のクレメルはよく聴いていた。いろんな方面に手を出すようになってこちらの関心が追い切れなくてちょっと聴くのをやめてしまったところがある。シベリウスのコンチェルトなんか、最高でしたね。カミソリ演奏。
ということでヴァインベルク、規模の大きな作品。焦点がつかみづらい。鳴りは楽しめた。
アンコール2曲目はショスタコーヴィッチのチェロコンチェルトにしか聴こえなかったけど、そういう作品なんだろうね。
おわり