河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2222- ショスタコーヴィッチ、チェロコン1、ハイモヴィッツ、15番、デスピノーサ、新日フィル、2016.11.18

2016-11-18 23:46:05 | コンサート

2016年11月18日(金) 7:00pm トリフォニー

ロッシーニ ウィリアム・テル 序曲  11′

ショスタコーヴィッチ チェロ協奏曲第1番変ホ長調 6′12+7+4′
 チェロ、マット・ハイモヴィッツ
(encore)
バッハ 無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調BWV1009より  サラバンド  4′

Int

ショスタコーヴィッチ 交響曲第15番イ長調 9′14+4′17′

ガエタノ・デスピノーサ 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


デスピノーサの棒を見るのは2年半ぶり。(2014.5.10以来)
その時は指揮自体が板についてないところが散見されましたけれども、若いですし、吸収力が旺盛なのでしょう、表現は結構な様変わり。
かなり入念にリハーサルを重ねた具合が手に取るようにわかる。また、自身の解釈と表現も相応によくわかるものでした。
異色のプログラムと感じるが、指揮者の思いは時間軸を持たない縦の流れを追っているだけの自分のような粗末な行き当たりバッチリ派にはわからない。作品趣向として大いに興味あるものですし、それだけでOKという感じ。

15番シンフォニーは、埃っぽくない演奏。たたけば出そうですが、まぁ、落ち着きのない演奏にわりと接する機会があって、今日のような演奏というのは貴重ですね。精神の落ち着きと静けさを感じるもので、15番魔だったクルト・ザンデルリンクのスタイルと一脈通じるところがある。同じようなテンペラメントを感じる。

几帳面ではあるが神経質なものではない。作品を整える演奏です。
ザッツの正確さ、ソロインストゥルメントの浮彫感、ブラスアンサンブルを柔らかくすべて伸ばし切るパフォーム。
特にブラスはソロ、アンサンブルハーモニーともに抑え気味で、全体的に静けさがにじみ出てくるような演奏。彼の要求ですね。
全体にオーケストラが良く応えていて、入念リハの成果が出た佳演でした。
フィナーレ大詰め、弦に乗って弱音パーカス饗演となるあたりの位相の変化は自然で、特にお見事な表現でしたね。自由な様式の昇華にふさわしい。
しずかさやとりにしみいるオケの声。

前半プロ。
湯上りヘアで登場のハイモヴィッツ。記憶では大昔に聴いているような気がするたぶん。
様変わりでわからないのかも。

滑らかです。尖がってなくて、絡まるように音がつながっていく。この魅力的な曲の別の一面を見たような演奏でしたね。強弱の移動が自然。
両端楽章は歯車の回転のようで作曲家独特の面白さ、この伴奏の上に乗っかっていく。ホルンとの掛け合いもお見事。
白眉はカデンツァの第3楽章、それとその前の楽章後半。チェロの沈み込んでいく音色の素晴らしさ。木目の美しさと肌ざわり。膨らみと潤沢なウェット音色、満喫。終楽章に向かうところはエキセントリックな作風でエスカレーションも極まる、ここらあたりも満喫。
アンコールのサラバンド、楽器が息でもしているかのように自然で滑らか、最高。タバコは吸ったことがない人間ですが葉巻でもふかしたくなるような美演。


思えば今日はチェロ・デーだった。冒頭のテル序、これはシンフォニーに絡めて置いたのでしょうけれどもそんなことは最初から忘れて、ディープ音色が凄く魅力的なソロから始まる。夜明けのソロ、そしてアンサンブル。チェロ・モード、最高でした。
はじけたような行進曲は正確な演奏でデスピノーサのショスタコーヴィッチが見えたのでした。
そしてチェロコン1、最後に置いたシンフォニーでのソロチェロの作曲家独特の一本節。
一気通貫の見事なプログラム・ビルディングと内容。デスピノーサの棒で、オーケストラに独特の旨味がでた演奏会でした。

新日フィルは新しい音楽監督をむかえて、なにかこう、忘れていたことを思いだしたような気がする。
おわり