モートン・グールドは一般に、編曲や日本風に言うところの軽音楽、などにその器用さを発揮した、ということぐらいしか知られていない。
そんななか、こんなCDが出た。
SACDハイブリッド盤である。
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モートン・グールド作曲
交響曲第3番
デイヴィッド・アラン・ミラー指揮
オルバニー交響楽団
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世界初録音
ALBANY RECORDS
TROY515
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グールドは数多の作曲をしているが、交響曲は4つある。
この第3番、実にすばらしい曲。
滑るような弦、迫力ある打楽器。
薄いブルーが透明に淀んだような。
物理的機械的なサウンドのなかに漂うグールドの音楽観。
派手なパーカッション、イルミネーション。
4楽章40分におよぶ本格的なサウンド交響曲である。
詳細は後日に譲るとして、まずは是非このサウンドを聴いてほしい。
幾何学模様のオーケストラ・サウンドや音楽表現が何とも言えず、ヨーロッパを遠いものにしているが、グールドの音楽歴をトレースすると必然性がある。
彼は自分の身を置いた音楽環境をフルに活用した音楽を構築した。その現場にいなければ作ることができないようなサウンド。魅力的である。
オーケストラの切れ味は一流どころにはかなわないが、線が細いなりにアメリカ音楽への日常的な取り組みを感じさせる。
指揮も劇的なものより響きそのものを意識した譜の読みであるようだ。
SACDであるが、ホール感はあまり感じないものの、音場が安定している。
分解度は格別に高いわけではない。
ヴォリュームを上げて聴くと前面に音が拡がる。
カップリングされているハリスも魅力的。
ロイさんについては、またいつかふれることができると思う。
つづく
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