恐山あれこれ日記

院代(住職代理)が書いてます。

恐山大卒塔婆開眼供養

2011年07月19日 | インポート

 Photo_2 さる7月3日、恐山山主が発願して建立した、東日本大震災犠牲者を追悼する卒塔婆の開眼式を執り行いました。

 遺族の方のみならず、恐山に参拝される多くの方々に、境内で追悼慰霊のお気持ちをささげていただくことを願い、山門前の参道脇に建てられたものです。

 当日は趣旨に賛同くださった本坊円通寺の檀信徒の皆さんや地域の方々、さらに一般参拝の方々にも参列焼香をいただきました。1

 5月の開山当初、ほとんど不可能だろうと思われた被災地からのお参りが、数は少ないながら連日あり、6月に入るとその数が目に見えて増え、さらに恐山の夏季例大祭(今月20日から24日)が近づくにつれ、団体での参拝もお迎えするようになりました。

 被災地では、行方不明の方々も今なお大勢おられ、寺院の被害もまた甚大で、犠牲者のお弔いや供養もままならない状況だと思います。

 したがって、お気持ちがあったとしても、恐山までのご参拝は、この一、二年、ほとんど無理だろうと、我々は考えていました。

 ところが、少なくない数の被災地からのお参りをいただき、我々もどうそのお気持ちに添うご供養をしていけばよいか、考える毎日です。

 境内で、あるいは法要の受付で、被災された方が「家が流されました」「父が亡くなりました」「職場が使い物になりません」という話を問わず語りになさいます。

 どう応対すればよいか、そのマニュアルは何もありません。それぞれの方にそれぞれの事情がおありでしょうし、お気持ちをそのものとして理解することは我々には決してできません。

 いまはただ、お話してくださることを有り難く思い、そのときの私たちの正直な思いから出る言葉のみを頼りに、お返事していくほかはないと思っています。