草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

日本保守党は福田恆存の論争の仕方を学ぶべきだ

2024年03月20日 | 思想家
 日本保守党に期待していただけに、あまりにも残念でならない。口汚く罵るのはやめた方がいい。岸田首相に批判的な僕であっても、度が過ぎると眉を顰めたくなるからである。
 保守派の論客であった福田恆存をお手本にすべきだろう。福田は全学連集流派(60年ブンド)の若者たちを罵倒しなかった。彼らの気持ちになって『常識に還れ』と教え諭した。
 そして、短絡的な物の見方ではなく、日本近代史の弱点である「異常事に興奮しやすい、緊張に堪えられぬ個人の弱さ」を問題にした。異常な速さで達成した近代化と、精神が未熟なままの矛盾から「時折、国民を軽挙妄動に走らせる」と分析した。
 また、福田は「民主主義もまた必要悪であることを知らねばならぬし、何事にも必要悪が伴なうものである以上、それを回避するには何が必要かを深刻に考えなければならぬ」(『常識に還れ』)と書いた。政治はきれいごとでは語れないからである。
 福田は偉そうなことを口にしたわけではない。日本人全体の欠点を自覚し、その一人として、若者たちに、冷静になることを呼びかけたのであり、政治の本質であるリアリズムを説いたのだ。「汝の敵を愛せ」とは言わないが、相手の立場を思いやる余裕を持つべきなのである。
 福田が全学連主流派に呼びかけた文章は説得力に満ちていた。これによって正気を取り戻した若者が多かったのである。
「私が最も好意をもつ主流派諸君に忠告する、先生とは手を切りたまへ。ついでに、共産党から貰ったニックネームのトロッキストを自称する衒学趣味から足を洗いたまえ。歴史を手本とする教養主義を棄てたまえ。警官より物を知っており、郷里の百姓に物を教えうるなどという夢から醒めたまえ。あるいは、そんなことは十分心得ていると言うかもしれない。それなら『純粋なる学生の心』に賭けて戦術主義をさっぱり棄てたまえ」
コメント
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