草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

今安倍首相に求められるのは一寸先闇の中で博打をうつ覚悟だ!

2020年04月21日 | 思想家

今起きていることだって、私たちは全体像を鳥瞰できるわけではない。あくまでも一部分の情報に接しているだけであり、目の前の危機である新型コロナウイルスの対策にしても、どれが絶対かは誰にも分からない。あれほどまでに万全と思われた欧米がパンデックの中心地になろうとは、夢想だにしなかったことである▼日本の現状がどうかといえば、死亡者数でいえばかなり善戦している。忍耐強い国民性のゆえに、これまではじっと我慢をしてきたからだ。一部にはピークを過ぎたの見方もあるが、実際どうなっているかは見当が付かない▼福田恆存が「乃木将軍とと旅順攻略戦」で「近頃、小説の形を借りた歴史読物が流行し、それが俗受けしているゐる様だが、それらはすべて今日の目から結果論であるばかりでなく善悪黒白を一方的に断定してゐるものが多い。が、これほど危険な事はない」と書いていた▼現在から過去を論じことは容易いが、現在の「見える目」で裁いてはならないというのだ。司馬遼太郎らが乃木希典を無能呼ばわりすることに、福田は反論したのである。「日本海大海鮮におけるT字戦法も失敗すれば東郷元帥。秋山参謀愚将論であらう。が、当事者はすべて博打をうつてゐたのである。丁と出るか半と出るかは一寸先闇であった」ことを重視するのだ。「見えぬ目」で決断をしなければならないのだから、いつの時代もトップに立つ者は孤独なのである。安倍首相にその覚悟があるかどうかなのである。

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