安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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函館市、自治体初の原発建設差し止め提訴

2014-04-07 22:21:29 | 原発問題/一般
大間原発の建設凍結のための提訴について(函館市公式サイト)

大間原発の建設中止求め提訴 国など相手に、函館市が自治体初(北海道新聞)

大間原発の建設差し止め議案可決 函館市議会、提訴条件満たす(北海道新聞)

大間原発建設差し止め、函館市きょう提訴 国相手に初(北海道新聞)

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(この記事は、当ブログ管理人が週刊新聞に投稿した原稿をそのまま掲載したものです。)

 4月3日、北海道函館市が国と電源開発を相手取り、大間原発(青森県大間町)の建設差し止めを求めて東京地裁に提訴した。自治体が原告となる初めての原発建設差し止め訴訟として大きな意義を持つ。

 ◎危険だけ押しつけ

 今回の訴訟は、住民の生活と安全を守る基盤としての地方自治体が放射能汚染で崩壊するのを防ぐことを直接の目的としている。原発建設や再稼働を含む運転の是非について発言権を与えられないまま、危険だけを押しつけられる周辺自治体(=立地自治体ではないがその周辺に位置する自治体)としての、国や事業者に対する異議申し立てだ。

 福島原発事故では、立地自治体ではない浪江町、飯舘村、葛尾村、川俣町などで、立地自治体である大熊町、双葉町に匹敵ないし場所によっては上回る高い放射能汚染に見舞われた。これらの町村が強制避難区域となり、自治体機能を維持できなくなった事態を踏まえた提訴だ。

 提訴後、記者会見した工藤壽樹市長は「函館の街を守るため、市民の安全・安心を守るため、大間原発の問題点、その進め方の乱暴さ、私たちの思い、地域の思いを司法の場で主張し理解を得たい」と思いを述べた。

 福島原発事故まで、避難計画を策定しなければならないとされるEPZ(防災対策重点地域)は原発から8~10km圏内に限定されていたが、事故後はUPZ(緊急時防護準備区域)として30km圏内に拡大した。函館市は、最も近い所で大間原発から23kmしか離れておらず、避難計画の策定が必要であるにもかかわらず、原発の建設や運転に関する同意や了解の権限は与えられていない。

 函館市は、過去2年間にわたり、市の意見を聞くよう国や電源開発に申し入れてきたが、まともに相手にされなかった。電源開発が函館市に対して行った建設計画の「説明」は、すでにホームページに掲載済みのわずか2枚の資料を印刷して持ってくるだけという傲慢なもの。立地自治体に対して詳細な説明が行われたのと対照的だった(4/4NHK「クローズアップ北海道」)。

 「まさに建設ありき。何が何でも建設する。安全は二の次。とても不安で容認できない。ハードだけ規制しても万が一の想定外の事故は起こり得る。何の発言権も与えられていないわれわれに避難計画は作れというのはとんでもない話だ」「大間原発で事故が起きれば、観光産業をはじめ、漁業や農業を基幹産業としている道南地域にとっては、地域経済に壊滅的な打撃を与える。函館圏35万人もの大規模な避難は不可能」「市民の離散が生じ、地方自治体としての機能が崩壊する」という市の主張は明快だ。

 ◎保守系も共同

 工藤市長は、これまで約2年間かけて提訴の準備を進める一方、市議会保守系会派も含めた幅広い賛同を得るため、粘り強く議員の説得を行ってきた。3月26日、提訴への同意を求める市提出の議案は函館市議会(定数30)の全会一致で可決された。市長記者会見に同席した松尾正寿市議会議長(自民党)も「市長をバックアップしていきたい」と訴訟を支援する。

 一方、採決で退席して棄権した2人の議員のうち1人は北海道電力労組出身だ。保守系会派も含めて幅広い共同が実現する中で、原発推進御用組合の異常さが際だっている。

 ◎地域変革の一歩

 函館市が「原発政策に関して特定の立場は取らない」と表明しているように、今回の訴訟が脱原発の姿勢を明確にしたものではない。しかし、住民と直接接しながら最も近い立場で住民の命と暮らしを守る基盤としての自治体の役割を果たすため、自治体自らが訴訟に踏み切ったところに大きな意義がある。

 市が募集したカンパはたちまち全国から500万円が集まった。「経済界をあげて市を全面的に支援する」(函館商工会議所の松本栄一会頭)、「大間が運転を始める前になんとしても止めたい。自治体の提訴は大きな一歩」(「大間原発訴訟の会」の竹田とし子代表)と、地元各界も市の提訴を歓迎する。泊をはじめとする各地の反原発運動と結んだ闘いの成果だ。

 住民を切り捨て、グローバル資本に住民を差し出す自治体を住民が主人公の自治体として取り戻し、地域変革を実現する大きな一歩でもある。

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<管理人よりお知らせ>

函館市が、この訴訟に対するカンパを募集しています。詳しくは「大間原発訴訟の寄附金について」(函館市公式サイト)をご覧ください。

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福島原発事故3年~「風化」とどう向き合うか

2014-04-04 22:24:48 | 原発問題/一般
巻頭言~「風化」と向き合う(政経東北3月号)

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 中央との間には温度差があることをあらかじめ理解し、同じ価値観になれるよう努めることが、4年目以降の復興の大きなポイントになる気がする。

 そのためには、中央側に共感を求めるだけでなく、県民が自らの思いや生活実態、経済復興の現状などをしっかり発信していくことも重要だ。例えば、原発再稼働に対する懸念、放射性物質への意識や対策など、県民にとっては当たり前すぎて話題に上らないことでも、外部に向けてあらためて伝える必要があるのかもしれない。

 本誌にできるのは1つ。そうした県民の声をできるだけ取材し、多くの人に伝えることだ。
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「政経東北」誌のこの提言に、当ブログは同意する。東京と福島の間に情報格差があるのは当然のことだ。「電力消費地の東京が理解してくれない」と嘆くばかりでなく、「今、福島はこうなっている」と発信に努めなければならない。「言わなくてもわかってくれるはず」と口をつぐんでいては、結局、何も伝えることはできない。

福島は、良く言えば暖かみのあるゲマインシャフト的共同体、悪く言えば田舎ムラ社会だ。噂はすぐ広まるし、よそ者はすぐにわかる。何をおいても年長者の言うことは絶対だし、いちいち詳細な説明をしなくても「あうんの呼吸」で相手の真意を理解すべきとされ、人々は空気を読みながら生活してきた。

そうした時代を長く続けてきた結果、福島の人々は過去、自分たちのことを共同体の「外」に向かって発信する必要性を感じてこなかった。中央に出て活躍する福島出身者には有能な人も多いが、シャイな県民性のせいか、他の地域の出身者のようにこれ見よがしの「ふるさと自慢」もせず、地味な存在だった。ある意味で平和な時代だったといえるが、3.11以降の福島はそれまでとは違う社会になったという自覚を持つべきだろう。多くの県民は考えたくないかもしれないが、福島県民は、福島に生まれ育ったというだけで、今後、特別な人生を歩まなければならないかもしれないのだ。

誤解のないように付け加えておかなければならないが、福島に生まれ育った人々が「特別な人生を歩む」というのは「差別を受け入れて生きろ」とか「不幸の十字架を背負って生きろ」という意味では決してない。福島の人々が、普通の人々と同じ幸福を追求する権利を、その生まれゆえに初めから捨てなければならないような社会にすることは絶対に避けなければならない。当ブログが主張したいのはそのようなことではなく、事故を起こした原発の地元からでなければ発信できない事実が存在すること、それを発信していくために、福島の人々が特別の責任を負う立場になったということなのだ。

当ブログはまた、200万福島県民の全員が、ひとり残らずこの「特別の責任」を全うせよなどと主張するつもりもない。初めはできる人だけでかまわない。200万県民のうち10人、20人だけでもいい。原発事故によって特別な運命を背負うことになった福島の過去、現在、そして未来について、外に向かって発信する役目を負う人々が必要なのだ。

「政経東北」誌は、その特別な役割を担う決意を、いつものように気負わず淡々と表明している。当ブログもまた、原発事故を挟んで6年間、福島に滞在した経験を基に、その役目を担いたいと思う。福島を離れてはや1年…さすがに、生々しい伝聞に基づく情報は次第に少なくなってきた。しかし、そのような不確実で危うい話や、裏付けの取れない情報をやみくもに掲載することは当ブログは過去も避けてきたつもりだし、今後も情報の確実性や重要性を吟味しながら当ブログへの掲載の可否を判断していくことになる。しかし、情報発信自体は今後も続けるであろう。特別な運命を背負ってしまった福島と、その中でも懸命に生きている人々の努力が報われる社会であるために。

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【緊急警告】南米チリ沿岸で地震、念のため津波に注意してください

2014-04-02 21:24:29 | 気象・地震
2014年4月2日8時46分頃にチリ北部沿岸で発生した地震について(気象庁報道発表)

2014年4月2日8時46分頃にチリ北部沿岸で発生した地震について(第2報)(気象庁報道発表)

南米チリ沿岸で、日本時間で今朝8時46分頃、M8.2(暫定値)の大地震があった。詳細はリンク先の報道資料(PDF)のとおり。

この地震で、日本沿岸にも津波が到達する可能性がある。1960年5月23日のチリ地震に伴う津波では東北沿岸で多数の死者を出している。「地球の裏側だから」と侮らないでほしい。

なお、気象庁は、日本沿岸にも20~100cmの津波が到達するおそれがあるとしている(参考記事)。津波の予想高さが1mに満たない場合は津波注意報レベルだが、1m以上となる場合は津波警報が発表される。いずれの場合も、明日(3日)未明に津波が到達すると見込まれるので、警報や注意報が発表されたら速やかに海岸線から離れ、高台に避難する等の対策を取ってほしい。

それにしても、地震発生時刻が8時「46分」(日本時間)とは驚きだ。何が驚きなのかというと、まぁ以下を見てほしい。

阪神・淡路大震災(1995年)の発生時刻…1995年1月17日午前5時46分
米国・NYでの9.11テロ(2001年)の発生時刻…2001年9月11日午前8時46分(日本時間)
東日本大震災(2011年)の発生時刻…2011年3月11日午後2時46分

そして、今回のチリ地震も午前8時46分(日本時間)…。

これは、何かの呪いとしか思えない。

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センバツ終わる 平安、意外(?)にも初優勝

2014-04-02 20:53:37 | 芸能・スポーツ
<センバツ>龍谷大平安が38回目で初の頂点 京阪対決制す(毎日)

第86回選抜高校野球は、京都・龍谷大平安の初優勝で熱戦に幕を閉じた。リンク先の記事にあるように、京都勢の選抜制覇は実に66年ぶり。龍谷大平安は、かつての平安高校時代以来、38回目の出場でセンバツは初優勝というから意外な気がする(夏は3回全国制覇している)。決勝戦は、履正社(大阪)との対戦となったが、関西勢同士の対戦は35年ぶりとのことで、これも意外な気がする。

今年は記念大会ではなかったが、甲子園球場ができて90周年ということで、開会前から話題を集めた。アベック出場(同一都道府県から複数の学校が出場すること)が東京、栃木、和歌山、京都、鹿児島、沖縄の6都府県と目立った。うち東京、和歌山、鹿児島の1校は21世紀枠で、東京からは、初の都立校として小山台、また鹿児島からは奄美大島の大島が離島からの出場として話題になった。

復活した「古豪」のうち最大の注目を集めたのは、やはり池田(徳島)だった。今大会は、開会式(3月21日)が祝日だったこともあり、当ブログ管理人は久しぶりに開会式のテレビ中継をリアルタイムで見たが、甲子園の高校野球ファンからひときわ大きな歓声を浴びたのが池田だった。高校野球史に残る名将・蔦文也監督に率いられ、ベンチ入りが14人までしか認められていなかった当時の甲子園でもひときわ少ない11人の選手で好成績を残した「さわやかイレブン」「やまびこ打線」の旋風から27年・・・オールドファンには懐かしい「IKEDA」のユニフォームが甲子園に帰ってきたのだ。ひときわ大きな歓声だったのもうなずける。海南(和歌山)も27年ぶりの出場だったが池田の時ほど大きな歓声を受けなかったのは、21世紀枠であったことと、かつての成績が池田ほど華々しくなかったからだろう。

その池田と海南は、2日目の第2試合で対戦した。1回戦で対戦するにはもったいないような屈指の好カードだったが内容もそれにふさわしかった。7回まで1安打に抑えられていた池田が8~9回に集中打で追いつき、逆転サヨナラ勝ちを決めたときには、かつての「やまびこ打線」の片鱗を見るようだった。当ブログ管理人は、27年ぶりに流れる池田高校の校歌を初めは思い出せなかったが、「これぞわれらが学びの舎」あたりで過去の記憶が蘇り、「ひかり ひかり ひかりを呼ばん」以降は完璧に歌えた。池田のアルプススタンドに合わせて校歌を口ずさんでいるうちに背筋がぞくぞくするような快感を覚えた。これこそ高校野球の醍醐味だが、7回当たりから、「よもやあの池田が初戦で姿を消すのか」というムードが甲子園全体を覆い、異様などよめきに包まれているのはテレビ放送を通じてもはっきりとわかった。逆転サヨナラ負けを喫した海南の監督が「池田高校さんというだけで異様なムードで、やりにくかった」と敗戦の弁を述べたが、これは偽らざる本音だろう。伝統校、有名校と対戦するのも大変だと、このときばかりは海南ナインに同情した。

2日目の第3試合、豊川(愛知)×日本文理(新潟)戦は、当ブログ管理人は甲子園のレフトスタンドで生で観戦した(サムネイル写真はそのときの3塁アルプス、豊川応援団を撮影したもの)。9回までリードを許していた豊川が追いつき、試合は延長13回にもつれ込んだ。通常の試合より長く観戦できたのは得をした気分だったが、延長10回表、日本文理に2点を奪われ、そのまま逃げ切られるかに見えた豊川が10回裏に2点を取り、食らいついた粘りは見事だった。結果的には、この延長13回の末に勝ち抜いた粘りが豊川の勢いを生み、初出場ながら4強入りのきっかけになったといえるだろう。

この豊川×日本文理戦は今大会初の延長戦だったが、このほかにも今大会は延長戦が多く、接戦続きの実力伯仲の大会だった。佐野日大(栃木)に至っては、1回戦、2回戦がともに延長戦で、3回戦も1点を争う接戦に「よもや3試合連続の延長戦か」という空気も途中まで漂った。とりわけセンバツ史に残る好ゲームとなったのが、1-1のまま延長15回で決着がつかず、再試合となった3月29日の広島新庄(広島)×桐生第一(群馬)だ。延長15回+再試合9回、計24回をともに1人で投げ抜いた山岡(広島新庄)、山田(桐生第一)の両エースを讃えたい。

大会全般を振り返ると、今大会は、鉄壁の守備を誇るチームとエラーの多いチームの両極端に分かれた印象がある。記録されたものだけで1試合5失策というチームもあった。接戦の多かった大会だけに、最後はこの守備力の差が勝敗を分ける場面が目立った。守備は打撃と違い、短期間で向上させることは難しいが、失策の多かったチームはぜひ守備を鍛え直し、夏で雪辱を果たしてほしい。

過去3回の大会で21世紀枠が続けて割り当てられた東北地方には、今回、21世紀枠は割り当てられなかった。21世紀枠が東京、和歌山、鹿児島に割り当てられたのを見て、久しぶりに西日本勢中心の大会になるのではないかと思ったら、その通りになった。過去3年の甲子園で、近畿勢が優勝はおろか8強に1校も残れない大会があったことを考えると、「かつての雄」だった近畿勢が久しぶりに面目を保ったといえる。東日本勢中心に展開してきたここ数年の大会の趨勢が、今年を境にまたかつてのような西日本勢中心に戻るのか、それとも再び東日本勢が勢いを盛り返すのか。夏に向け、これも楽しみな点だといえる。

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