安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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【転載記事】韓国の大型客船沈没事故の背景に「命より利益優先の非正規化」

2014-04-24 20:53:54 | 鉄道・公共交通/安全問題
韓国の大型客船「セウォル号」沈没事故からすでに1週間近く経つが、この事故の背景に「船員の大量非正規化」があることがわかってきた。驚くべきことに、船長まで非正規職員(契約社員)だったという。賃金も安い非正規職では、乗客に対する安全上の責任など芽生えようはずもない。

日本では、公共交通でここまでひどい非正規職化は行われていないが、乗務員以外の非正規化(保線職員など)は進行しており、JR北海道の保線の安全崩壊の背景に非正規職化がある。日本でも決して他人事ではない。

以下、「レイバーネット日本」に転載された韓国のニュースサイト「チャムセサン」の記事を引用する。

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原文(チャムセサン)はこちら

不安な大韓民国、生命に直結する業務に大量の「非正規職」

災難救助隊、鉄道保守、操縦士も非正規職...安全脆弱救助を生産

ユン・ジヨン記者 2014.04.23 12:11

セウォル号の沈没と共に、韓国政府の「安全イデオロギー」も一緒に海の下に沈没してしまった。 今回の事件を契機として政府の不十分な災難管理システム、事件隠蔽疑惑、不十分な対処などが俎上に上がり、これまで朴槿恵政権が掲げてきた「安全社会」という旗じるしの虚構の素顔があらわれた。

特にこれまで政府は国民の安全、生命に直結する核心業務を不安定な雇用の形態で拡散してきたため、「安全」への不安感はさらに増幅されている状況だ。 セウォル号の非正規職雇用が安全に弱い構造にしたという事実があらわれ、今後、国民の生命に直結する多くの業務の非正規職雇用への改善の要求も続きそうだ。

不安な大韓民国、生命に直結する核心業務にも大量の「非正規職」

セウォル号沈没惨事の過程で言論を通じ、船長をはじめとする核心乗務員の多くが大挙非正規職として雇用されていたという事実がわかった。 安全および対応管理に脆弱だったセウォル号の非正規職雇用の形態が今回の大惨事を大きくしたという指摘だった。

実際、セウォル号の全乗務員のうち非正規職は15人で、全体の半分以上を占めていた。 非常状況になった時、乗客安全と救助などの責任があるセウォル号の総指揮者格の船長は1年契約職だった。 機関部、甲板部などの核心乗務員人員の70%も非正規職だった。

しかしセウォル号の惨事でわかった安全核心人員の非正規職雇用は氷山の一角でしかない。 飛行機の操縦士や鉄道施設の維持補修、バスの運転手などをはじめ、災難救助隊のような国民の安全や生命に直結する核心業務がすでに非正規職で埋められている状態だからだ。

これまで労働界や市民社会は、安全、生命に直結する核心業務での正規職雇用を要求してきた。 国民の足である船舶や飛行機、バス、鉄道などの交通手段は、大惨事を呼び起こしかねないので、雇用の安定を通じ、安全性や専門性を確保しなければならないためだ。

それでも巨大航空会社の操縦士と乗務員、鉄道維持補修業務、バスの運転手などは多くが不安な非正規職の身分だ。 大韓航空では、すでに11年前の2003年から外国人操縦士を非正規職として採用してきた。 外国人用役業者を通じて人員の供給を受ける方式だった。 その後、外国人操縦士に対する不法派遣の疑惑が起き、雇用労働部から何度か不法派遣と指摘された。

だが大韓航空側はこうした議論にもかかわらず、政府に操縦士と乗務員にも派遣を認めるよう要求した。 会社側は昨年6月、徐昇煥(ソ・ソンファン)国土交通部長官に対し、操縦士と客室乗務員にも派遣を認めるように派遣法改正を建議した。 2012年末基準で大韓航空の全操縦士は2224人、客室乗務員は5708人だ。 操縦士の約15%は非正規職外国人操縦士だ。

安全に脆弱な構造に...操縦士、鉄道保守、災難救助隊も非正規職

鉄道公社も鉄道安全の核心業務の維持、保守業務をすべて外注化した。 これにより鉄道施設の維持補修業務を遂行する労働者は、外注業者の非正規職労働者で満たされた。 線路保守外注業者のコレイルテックに所属する労働者のうち非正規職の割合は96%に達する。 その上、2011年12月、コレイルテックの安全無視で労働者5人が列車にひかれて死亡する事件が発生した。

貸切りバスの労働者の場合、状況はさらに深刻だ。 2010年の運輸労働政策研究所の研究報告書によれば、貸切りバス労働者の90%が 「持込労働者」と呼ばれる特殊雇用労働者として雇用されている。 貸切りバス労働者の平均月給は2007年基準で104万ウォンだ。 労働者たちは月25万ウォンの持込料と会社代行経費40万ウォン、斡旋料、減価償却費、燃料費、道路費などを直接支払わなければならない。

その上、北漢山、雪岳山、智異山などの国立公園の災難救助隊もほとんどが非正規職だ。 政府の雇用率達成のために、国立公園安全管理業務を非正規職雇用に拡大したからだ。 昨年の20の国立公園で勤務している安全管理要員は合計147人だ。 そのうち安全管理班は44人、災難救助隊は103人と集計されている。

昨年の国政監査でセヌリ党の李宗勲(イ・ジョンフン)議員は、安全管理要員のうち運営業務職の7人を除きすべてが非正規職の身分だと指摘した。 災難救助隊の約100人もすべて非正規職で、国立公園内の全安全管理専門担当者の95%が非正規職ということだ。

そればかりか山岳事故が発生して負傷者1人を担架にのせて降りてくる時に必要な人員は最低4人だが、 国立公園別の安全管理専門担当者は3~4人しかいないことが明らかになった。 事故が発生した時に敏捷な対応どころか、救助にも出られない状況だ。

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