安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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福島県沖でM6.8の余震 福島・宮城で震度5弱

2011-08-19 22:52:32 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第54報)-平成23年8月19日14時36分頃の福島県沖の地震について-(気象庁報道発表)

この揺れが来たとき、私は事務所で仕事中だった。3.11の「あの日」と同じ、金曜日の2時半過ぎ。同じ金曜日で発生時刻もほぼ同じだけに、あの日のことがふと、頭をよぎった。「どうかこれ以上揺れが強くなりませんように」と祈った。

白河市は震度4だった。先日も震度5弱の地震があったが、今日の地震ではすぐ隣の天栄村で震度5弱を記録しており、体感的には今日のほうが揺れたような気がする。津波注意報が一時発表されたが、幸いにして津波と呼ぶレベルの海面変動は観測されなかった。

報道発表資料を見よう。M6.8とは余震としては比較的大きいレベルだが、3.11本震から見ればマグニチュードで約2小さいのでエネルギーは約1000分の1。M7.2の阪神大震災と比べても約15分の1というレベルだ。発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型(速報)。これは7月31日未明に起きたM6.5の余震と全く同じだ。震央もほぼ7月31日と同じである。

不気味なのは、報道発表資料中4ページにある「震度4以上の最大震度別地震回数表」だ。4~6月にかけて順調に減ってきた大規模余震回数が7月からは一転して増え、8月はまだ19日の段階ですでに8回と7月の10回に迫っている。このまま行けば7月を超えそうな気配だ。実際、8月に入ってからは数字以上に大きな余震が増えた感覚がある。

プレート境界型地震はプレート同士がぶつかり合うアスペリティ(固着域)がプレートの沈み込みに耐えられず、はがれて反転したときに起きる。巨大なエネルギーは地震発生でいったん解放されるが、その瞬間から再びプレートはぶつかり、沈み込みが始まるという事実を忘れてはならない。地震活動に休みはないのだ。今この瞬間も次の巨大地震に向けたプレートの沈み込みは続いている。そして、3.11で生じた新たなプレート内部の歪みがその沈み込みに触発されて元に戻ろうとする。次の大きな余震は明日かもしれないし、明後日かもしれないのだ。被災地でもそうでない地域でも緊張感を長期間維持することは困難だが、それでも被害を最小限に食い止めるため怠りなく警戒を続けよう。

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【管理人よりお知らせ】アクセス解析を実施しました

2011-08-19 00:54:26 | 運営方針・お知らせ
原発事故が収束しない非常時ではありますが、gooブログで2週間ほど無料アクセス解析お試しキャンペーンがあったので、これにあわせてアクセス解析を実施しました。その結果を支障のない範囲でお知らせします。

福島原発事故以降、7月中旬まで線量計による放射能測定値を発表していたこともあり、当ブログのアクセスはページビューで400~800、訪問者数でも160~200人程度で推移しています。震災以降、それまでの300ページビュー、100~150人程度から一気に上昇し、その後変わることなく推移しています。震災後は訪問者数でも150人を下回ることはなく、gooブログ中の順位はほとんど毎日、10000位以内に入っている状況です。

8月2日、瞬間的にページビューが1700に急上昇し、翌3日には通常ベースに戻っています。この急上昇の原因ははっきりしませんが、直前に連続して起きた震度5弱クラスの地震や福島・新潟豪雨の解説記事が影響しているのかもしれません。8月12日にもアクセス数の急上昇が起きていますが、この日は御巣鷹事故の日なので、当ブログの見解等を期待してアクセスしてきた人が増えたと考えられます。

震災以前は、大きな地震があった直後にアクセス数が急上昇する傾向が見られましたが、震災以降はそうした上昇傾向は見られません。震災後、アクセス数自体が上昇したまま推移していることから考えると、地震の解説記事を気にしている人たちが恒常的に当ブログを見ているということなのかもしれません。もしそうだとすれば大変ありがたいことだと思っています。より正確な解説に努めていきたいと思っています。

時間ごとのアクセス数を例えば8月10日のデータで見ると、アクセスの多い時間帯は0時、8時、12時、14時、19時で、この時間帯のみ40ページビューを超えています。この結果から、当ブログへのアクセスがどのような形で行われているかが見えてきます。8時に電車で通勤/通学し、12時に昼休みがあり、19時頃に帰宅で電車に乗る人たちがアクセスしているのでしょう。通勤/通学や帰宅の電車の中で、新聞や文庫本代わりに当ブログが読まれている様子が想像できます。0時頃アクセスが増えているのは、ようやく家事や勉強が一段落した人たちがその時間になってPCを立ち上げているのでしょうか。あるいは深夜まで残業した人がやはり電車の中で見ているのかもしれません。

アクセス数が最も多いのはトップページで、トップへのアクセス数は以前とほとんど変わらないように感じます。対照的に、検索エンジンからの来訪者数は増えているように見受けられました。

当ブログにたどり着いた検索キーワードは日替わりですが、解析期間全体を通じて目についたのが「日比谷線 事故 現場」というキーワードです。日比谷線事故は3月の発生で今はシーズンオフですが、日比谷線事故がらみで何か動きがこの間あったのでしょうか。

鉄道絡みでは「車両記号 一覧」というキーワードからの検索が多くありました。当サイトが作成・公表している鉄道車両記号一覧表は、未だ根強い人気があるようです。「買い物難民」「買い物弱者」というキーワードも解析期間全体を通じて多く検索されていました。これには何か理由があるのかと思って調べてみたところ、8月12日、広島県神石高原町に買い物弱者対策として宅配機能も備えたローソンが開店したという出来事があったことが影響したと見られます。このニュースはネットでも朝日産経が報じています。

鉄道関係では「鉄道・運輸機構 付帯決議 自民党」というキーワードが検索されていますが、これは6月の国鉄清算事業団債務処理法の一部改正について調べていた人でしょう。「名松線」「岩泉線」など災害不通となっている路線の検索も目につきます。「小田急線騒音訴訟」など社会的鉄道ネタも検索されています。「鉄道撮影マナー」というキーワードの検索が多いのは気になります。撮影マナーの悪い鉄道ファンに苦しむ人が増えているとしたら看過できません。「新幹線 パンタ 火災」「キハ283系 火災」など、安全問題や鉄道事故絡みの検索もありました。「不採用 不当労働行為」というキーワードから検索がありましたが、これは被解雇者などの関係者か、あるいは労働法を勉強する学生あたりが検索したと思われます。

地震・災害関係では「東海地震」「前兆すべり」「プレスリップ」などの用語検索が目につきました。震災以降、プレート境界型地震への関心が高まっている様子がうかがえます(前兆すべりとプレスリップは同じ意味の用語です)。「大震災 被害を最小限に抑える方法」というキーワード検索も2回ありました。当ブログの記事を、少しでも被害軽減にお役立ていただけるのであれば運営者冥利に尽きます。

「放射能」を含むキーワードがずっと上位に来ていたのが、予想されたとはいえ悲しいです。でもそれがこの国の現実です。放射能の関連用語で「放射能 鉄道撮影」「木下黄太」「放射能防御プロジェクト」「首都圏 汚染」「ホットスポット 三郷市」「御用学者 山下俊一」などのキーワードでたどり着いた人もいました。アクセス解析期間中に木下黄太氏による放射能防御プロジェクトの土壌汚染調査結果が発表されたことが大きく影響しています。鉄道ファンの中にも放射能を気にしながら撮影地を決めている人が多いのでしょう。

これ以外では、なぜか「ラブひな 読み切り」というキーワードから来訪した人もいました。「平野綾」というキーワード検索があったのは、12日に平野綾さんの事務所退社が報道されたことが関係していると考えられます。

アクセスしてきているブラウザ別では、前回のアクセス解析時はIE8が圧倒的でしたが、今回はアクセス解析全期間を通じてgooglebotが過半数を占める圧倒的1位でした。しかし、googlebotは検索ロボットでそもそもブラウザなのかという疑問が残ります。ezweb、Safari、IEと続き、前回多かったdocomoは8位と大きく後退しています。携帯からのアクセス自体はそれほど減っていると思えないので、携帯からスマートフォンへの移行がランキング変動に大きく影響しているように思います。

今回のアクセス解析でも、いろいろ参考になる情報が収集できました。これらの結果を今後のサイト運営に生かしていきたいと思っています。

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芸能人・マスコミが福島市を避け始めた?

2011-08-18 23:37:49 | 原発問題/一般
震災直後から最近まで福島のメディアで流れまくったチャリティーソング「I love you & I need you ふくしま」を歌う箭内道彦さんが、9月にチャリティーイベントを行う。このロックイベント、奥会津から始まり、会津若松~猪苗代~郡山~相馬~いわきと回る。

また、テレビの朝番組「ZIP」に出てくる犬「ZIPPEI」が先日まで福島県内を旅していた。こちらも北塩原村、会津若松市、郡山市、下郷町を回って旅を終えている。

・・・ここまでで、察しの良い方はすでにお気づきかもしれない。箭内道彦さんも「ZIPPEI」も福島市をスルーしている。県庁所在地なのになぜ? と思った方は鋭い。

放射線量が高く、危険な福島市を芸能人やマスコミが避ける動きが顕著になり始めている。空間線量では福島市も郡山市も変わらないが、土壌汚染では福島市のほうが数段危険といえる。

今日から特定避難勧奨地点に指定すべき場所を探すための放射線量測定が福島市渡利地区などで始まった(報道)。渡利地区は県庁所在地のホットスポットで、空間線量で2~3μSv/h程度(飯舘村役場レベル)が出る地点はザラ。側溝や土壌からは今なお数十μSv/hという途方もない値が出る地点もある。おそらく、今月中には県庁所在地初の特定避難勧奨地点指定地域が出るだろう。

福島市は原発からの距離だとほぼ60km地点。渡利地区が指定を受ければ、避難勧告区域が原発から60kmまで広がることになる。我々にとっては周知の事実だが、日本政府のとった「20km圏内は避難、30km圏内は屋内退避」では全くの不十分だったことがわかる。原発事故後、3月の段階で原発から80km圏内に居住する自国民に避難を勧告した米国政府が結果的には正しかったわけだ。

マスコミはもうだいぶ前からこの事実を知っていて、おそらく郡山までが芸能人を芸能活動させられる限界値で、福島市は芸能活動ができない地域との認識なのだろう。だからこそ箭内さんも「ZIPPEI」も福島市をスルーなのだ。

しかし考えてみれば当然だ。浪江町や飯舘村、葛尾村など、計画的避難区域となった危険地域は原発の北西に集中しているが、福島市も原発の北西に位置する。飯舘村から北西に地図をたどると、伊達市があって、その北西が福島市。ここが危険でない方がおかしい。

いずれにしても、汚染の実態を知っているマスコミや芸能関係者が福島市を避け始めているという事実は知っておいていただきたいと思う。私は、政府がここに人を住み続けさせていることが信じられない。

補足しておくと、特定避難勧奨地点指定に向けた調査が始まった渡利地区からは歩いて数分で福島県庁まで行ける。つまりここが危険ということは県庁もかなり危ないということである。それなのに県庁や知事がどうしてこうものんびりしていられるのか不思議だ。

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そしてついに・・・車も壊れた

2011-08-17 22:22:41 | 日記
何でもかんでも壊れる2011年、ついに愛車にもお迎えがきた。

この車は、妻が独身時代の2002年から使ってきたダイハツムーヴで、今年で10年目。この間の走行距離は16万キロを超えている。妻と私がまだ友達関係でしかなかった頃から、飲み会の後、酒臭い息を吐きながら妻が運転するこの車の後部座席に寝転がり、家まで送ってもらっていた懐かしい記憶がよみがえる。

前回の車検の時、「次の車検はないと思ってください」と死亡宣告に近いことを言われ、もうそろそろ買い換え時だと思いつつ、どこにも異常がないので使用し続けてきたが、7月上旬、妻がひとりで所用のため郡山市に出かけた際、オーバーヒートで止まってしまったのだ。

そのときは、震災で応援に来ていた千葉県警のパトカーが車を車端に寄せるのを手伝ってくれたらしく、後続車に大迷惑をかけることもなく何とか修理工場まで持ち込むことができた。

だが、そのことがきっかけで車を買い換えようと決心し、ほぼ1ヶ月間、車種の選定や価格交渉、保険の切り替えやプラン選定などを進めてきた。我が家は福島第一原発からわずか80km。何よりも怖いのは、原発に破局的事態が生じ、交通機関も止まって避難となったときに車が故障で動かないという事態になることだ。こんなことのために死にたくはない。

私たち夫婦に子どもがいれば、大きな車(最低でも普通車)が必要なのかもしれないが、その必要もないので、維持費を考えて今回も軽を買うことにした。納車は早ければ20日である。

これまで10年、お世話になったムーヴは16万キロも走っているし、さすがに下取り査定もなく廃車だろうと思っていたら、なんと販売店から下取り価格2万円を提示された。聞けば、東日本大震災による津波被害で被災3県では大量に車が流された。東北では車は生活必需品なのですぐにでも流された車の代わりが欲しいが、家も仕事もない状態で新車は買えない…という事情から、被災3県を中心に中古車需要が異常な高まりを見せているらしい。16万キロも走った我がムーヴにも、販売店にて整備後、第2の人生が待っているそうだ。

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原発事故で首都移転はあるのか?

2011-08-15 22:17:43 | 原発問題/一般
福島原発事故がいっこうに収束の気配を見せない中で、事故直後の4月頃、まことしやかに囁かれ、その後はいったん下火になった首都移転(政府による東京放棄)の可能性が、8月に入ってからまた囁かれ始めたようだ。私のところにも「そのような動きがあるらしい」という内容のメールがある人から届いた。首都移転先はまたしても関西である(現実問題として、首都圏に代わりうる場所といえば関西しか見あたらないが)。

どうやら、今回の噂はAFP通信社が伝えたテロや大災害想定し、首都機能のバックアップを検討へという記事が発端らしい。AFPといえばフランスを代表する通信社で、米国AP通信、英国ロイター通信と並ぶ「老舗」としてそれなりに信頼されてもいる。しかし、フランス製ガイガーカウンターが2万円台で発売開始という噂が流れながら結局は誤報だったり、まともに動きもしないアレバ社製の汚染水循環装置をバカ高い値段で売りつけてきたりと、こと今回の原発事故に関する限り、フランスには胡散臭い印象しかない。

ただ、AFPはこのニュースを「時事通信が報じたもの」として配信しており、実際、時事通信サイトには「首都機能のバックアップ検討=今秋にも本格議論に着手-国交省」という記事が掲載されている。

当ブログ管理人が公共交通・安全問題ジャーナリストや農業ジャーナリストという肩書きで活動する傍ら、霞ヶ関ウォッチャーとしてこの国の支配中枢を眺めてきた感想でいえば、この首都移転構想は今のところ本気ともそうでないとも判断できない。あくまで可能性のひとつとして検討段階ということしか言えないと思う。

この国での官僚用語の語法のひとつとして「検討する」は「検討だけして実際は何もしない」という意味であることも多い反面、「実現に向けて勉強する」の意味で使われることもあるのが実情だ。官僚が「勉強」するのはやる気があることを意味しており、全くやる気がない(あるいは実現可能性がない)ときに官僚が「勉強する」ことはないのである。

移転先が関西であるかどうかはさておくとしても、東京からの首都移転をこの国の権力中枢がある程度「勉強している」ことは確かだろう。首都機能移転はもう何十年も前から議論があるし、世界に目を転じれば、首都はひとつであっても、重要な社会的機能をいくつかの都市に分散配置している例はいくらでもある。例えば、政治はワシントン、経済・金融はニューヨークを中心にしている米国や、政治は北京、経済は上海を中心にしている中国、政治はキャンベラ、経済はシドニーを中心にしているオーストラリアなどだ。南アフリカ共和国に至っては、首都プレトリアのほか、ケープタウン、ヨハネスブルグも首都機能の一部を担っている。政治も経済も金融も文化もスポーツも、すべてが東京に集中している日本のような例がむしろ少数派とさえ言える。原発事故があってもなくても、社会の中枢としての機能をいくつかに分散しておくことは危機管理のイロハのイに属する基本的事項なのだ。

何事も切迫した危険が現実のものにならなければ決断を先送りしてしまうこの国の権力中枢にとっても、東京から200kmにも満たない福島原発で事故が起き、半年が経過しようとしている現在も事態収拾の見通しすら立たない現状が「切迫した危険」であることは論を待たないだろう。商業メディアの中にも「今年夏までに放射能漏出を止められなければ、中規模の原発事故がもう1回起きたのと同じになる」という趣旨の記事が4月の段階で出ていた記憶があるが、すでに事態はその通りになっている。いわば日本は、中規模の原発事故が3~4ヶ月に1回ずつ起きているのと同じという深刻な状況の中にある。これを深刻な事態だと認識できない人は、よほどの楽観主義者か、よほどの鈍感か、さもなければよほどの○○だろう。

すでに当ブログ既報の通り、埼玉県三郷市でチェルノブイリ原発事故における第2区域(全住民に避難勧告)レベルの深刻な汚染があることも明らかになった。福島原発では、当面、耐震補強工事の竣工によって最も恐れていた4号機倒壊の危険は減少したが、1~3号機については事態は何も好転していないし、好転する見通しもない。下手をすれば来年の今頃になってもまだ汚染水と闘っているか、作業員が確保されなくなり、東電以外の電力社員に「召集令状」を出すかどうかで揉めている、なんて事態さえ起こりかねない。三郷市の高度放射能汚染の実態を明らかにした木下黄太氏は「東京はキエフと同じ」と主張している。チェルノブイリからの距離も放射能汚染の状況もウクライナの首都キエフと同じだという主張だ。私はそれをきわめて冷静かつ正確な現状分析だと捉えている。

このまま東京で皇族やエスタブリッシュメント(支配層の中の重要層)を被曝させ続け、日本中枢が緩やかに壊死していくのを座して見守るのか、さもなければ汚染された首都を捨てて新たな土地で日本再生を目指すのか。まともな神経と頭脳を持った人間なら、その答えはおのずと明らかだろう。

時事通信~AFPの報道が事実なら、国内各地の都市機能とそれを維持するインフラの状況、そして交通機関の状況を最もよく知る国土交通省に検討が委ねられるのは自然の成り行きである。そして、日本の権力中枢が本気で首都の東京からの移転を考えているのだとすれば、国土交通省の検討会が一定の方向性を出した後、この問題の所管が国交省から内閣官房あたりに移されるはずである。なぜなら、首都移転とは日本にとって1000年に1回レベルの歴史的な政治決断であるからだ。たかだか一省庁の判断でそんな大それたことができるわけがなく、それは首相直属の機関である内閣官房のお膳立ての下で行われるはずである。

ついでに述べておくと、時事~AFPの記事は具体的な移転候補先を明らかにしていないが、前述した都市機能とそれを維持するインフラの状況、そして交通機関の状況から見て、やはり関西以外にあり得ないと思う。その場合、首都は京都で経済の中心機能を持つのが大阪という分散型の首都機能移転になるだろう。なにしろ京都は江戸時代まで首都だったし(京都市民には、明治維新の際に遷都の詔勅が出されていないことを根拠に、今でも京都が首都だと主張する人もいる)、京都御所を皇族の居所に定めれば新たに皇居を作る必要もなく、隠密に事を進められる。そしてそれは、水面下で周到に準備が進められた後、ある日突然発表されるだろう。

このように考えてみれば、玄海原発再稼働が「保安院やらせ問題」で失敗し、伊方原発への燃料棒の搬入作業が突然中止させられた理由もおぼろげながら見えてくる。福井県内各原発の再稼働に対する福井県知事の慎重な発言、政権中枢から出てきた「もんじゅ廃炉」発言、そして浜岡原発に対する菅首相の突然の停止要請…首都機能移転と奇妙に符合するこのドミノのような西日本での一連の流れの背後にあるものは何なのだろう。

チェルノブイリ原発事故の後、ソ連政府(モスクワと党中央)は「リクビダートル」(作業員)らに「死の労働」をさせて放射能漏出を何とか食い止め、プリピャチなど原発から至近距離にある地域の住民を避難させたが、その後はほとんど何もせず、事故から5年後の1991年、ソ連を解体させ後始末をウクライナ、ベラルーシ各国政府に押しつけ逃走した。考えたくないが、日本の権力中枢がチェルノブイリの先例に「学ぶ」なら、かつての彼らと同じように、事故の後始末は東日本の各地域自治体に押しつけ、自分たちだけ西日本に逃走して新たな日本再生を目指すのかもしれない。

福島から脱出できないでいる当ブログ管理人の「被害妄想」かもしれないが、福島の子どもたちを避難もさせないで放置しながら、西日本だけを守ろうとするかのような一連の動きの中に、私はそのような不純な動機をどうしても感じてしまうのだ。もし日本の権力中枢が「東日本はどうせ見捨てるのだから、福島の子どもたちなどどうなってもかまわない」と考えているなら、それは間違いなく国家による犯罪と言える。

この関西への首都機能移転を進めたいと考えている勢力にとって、日本における地震活動の中心が今後、西日本に移りそうな気配があることが唯一の頭痛の種だろう。しかし、原発さえ何とかすれば、地震と津波だけならどのようにでもできる。彼らがそう考えているとしても何ら不思議はない。

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日航機事故26年~今までと違う8.12への決意

2011-08-12 21:49:50 | 鉄道・公共交通/安全問題
<御巣鷹灯籠流し>苦しみ悲しみを共有 福島の被災者も参加(毎日新聞)

<日航機事故>26年 朝から遺族の登山続く 群馬県上野村(毎日新聞)

日航123便墜落事故から26年を迎え、今年も遺族による慰霊登山が行われた。高齢化が進み、山に登れる遺族が年々少なくなっていく中で、26年間、8.12連絡会事務局長として遺族をとりまとめ続けてきた三谷島邦子さんの苦労は計り知れないものがあると思う。

その三谷島さん、今年は「被災者と苦しみや悲しみが共有できれば」「自分たちにできることは被災者に寄り添うこと」という思いから東日本大震災の被害者を灯籠流しに招待したそうだ。震災被害者と銘打ってはいるが、参加したのはすべて福島県民であり、実質的には原発事故被害者の招待という側面が強い。三谷島さんの胸の内は定かではないが、御巣鷹事故と原発事故がいずれも独占的巨大企業によって引き起こされた人災であり、国・企業による犯罪であるとの認識があるのかもしれない。もしそうだとすれば、その認識は全く正しいし、いち早く原発事故被害者を招待したフットワークの軽さとともに、その視点、政治的センスの鋭さに対しても私は敬意を表したいと思っている。企業犯罪に被害者がひとり立ち向かうのでは勝てない。類似の企業犯罪に苦しむ多くの人々が手を取り合うことが今は何より大切だ。

東日本大震災・原発事故によって多くの人が苦しんでいる中での慰霊の日ということで、今年の8.12は昨年までとは違う8.12となったが、もうひとつ、今年の8.12を昨年までの8.12とは違うものにしている出来事がある。昨年末の日航職員165名に対する整理解雇である。解雇された職員らは大半が闘う労働組合に所属している人たちであり、「狙い打ち解雇」としての性格を強く持つものだった。被解雇者の中には、青年労働者として御巣鷹事故に強い衝撃を受け、現場から愚直に安全を追求していた人たちが多く含まれている。

東日本大震災と原発事故のあおりで忘れられがちになっているが、「(解雇された165名の)解雇は必要かと問われれば、そうではなかった」と稲盛会長自身が口を滑らせるほど、この解雇ははじめから矛盾に満ちあふれ、破綻している。しかも、日航は今年4~6月期決算で、東日本大震災があったにもかかわらず171億円もの営業黒字を達成している(参考記事:J-CASTニュース)。解雇を行う合理的理由などどこにも見あたらない。日航は直ちに解雇を撤回し、誰よりも安全を追求してきたベテラン乗務員らを職場に戻さなければならない。

御巣鷹事故と福島原発事故は多くの点で驚くほど似ている。(1)政府の保護の下で独占または独占に近い地位を与えられてきた巨大企業による事故であり「人災」の側面が強いこと、(2)凄まじい情報操作や情報隠しが行われたこと(8.12当日における墜落現場隠し、科学的検証を欠いた「圧力隔壁崩壊説」のでっち上げ/放射能汚染隠し、安全デマのでっち上げ)、(3)日航/東電の被害者対応、事故対応が官僚的であり反省が見られないこと、(4)航空機調達や空港建設/原発建設を巡る巨大な利権と腐敗した「ムラ」(航空村/原子力村)の存在、(5)そしてなにより、日航労働者・遺族/原発被曝労働者・避難できないでいる福島の女性・子どもという底辺の人たちが、この最悪の事故の被害を一身に引き受けさせられているという不条理である。

この驚くほど痛ましい2つの事故の相似を見るたびに、日本社会はあのときから全く進歩していないとの思いを強くする。しかし、26年前と違う点もある。ネットの発達、特に情報「発信」手段としてのネット発達により誰もが権力を監視し、嘘を暴くことができるようになった。事故遺族や子供を放射能から守ろうとする母親たちの粘り強い闘いも続いている。そして、当時も今も闘いの中心にいるのが女性であるという点も同じである。

人命よりカネ・利益を優先させる堕落した男性中心の村社会によって、いよいよ日本社会は崩壊の瀬戸際に追い詰められた。今や日本国民の誰もが解体を望み、打倒を誓う利権社会の前に、三谷島さんが呼びかけ、つながった日航機事故遺族と原発事故避難者とのネットワークは強い意志をもって立ちはだかるだろう。もはやこの流れを止めることはできない。

闘いの最前線に登場した女性たちの前で私にできることは限られているのかもしれない。しかし私はそのために少しでも役に立ちたいと思っている。この秋、私は国土交通省・運輸安全委員会に対しては御巣鷹事故の原因の再調査を求める予定である。原発事故に関してはウソとごまかしと利権の巣窟と化した犯罪集団・経産省解体のため具体的な行動を計画している。

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【重要】首都圏150カ所土壌放射能測定結果-三郷市で計画的避難区域レベルの汚染が明らかに

2011-08-08 21:09:03 | 原発問題/一般
本日、ジャーナリスト・木下黄太氏の呼びかけで集まった市民で構成された「放射能防御プロジェクト」による首都圏150箇所の土壌放射能測定結果が記者会見により公表された。

このプロジェクトは、木下氏が6月から自分のブログ・フェースブックで参加者を募集し、それに応じた市民らが首都圏150カ所の土壌を採取、検査機関で放射性物質の濃度を測定してもらうもので、このほど、その結果がまとまり本日の記者会見となった。木下氏は、土壌の測定を依頼した機関が(株)同位体研究所であることを自分のブログで明らかにしている。

※参考URL
放射能防御プロジェクト
首都圏土壌調査結果
首都圏150カ所土壌汚染調査結果マップ
(株)同位体研究所(検査機関)

詳しくは、上のURLをご覧いただきたいと思う(PDF。携帯電話等のため見られない方は木下氏のブログを参照)。

検査結果だが、首都圏でもチェルノブイリ事故の際の「第3区域」(185,000~555,000Bq/m2;希望者に移住の権利が与えられる)に相当する高濃度汚染地域が4カ所出た。住民を避難させないが厳重に健康管理を行うべきとされる「第4区域」(37,000~185,000Bq/m2)相当は29もの場所に及んでいる。

そして、最も衝撃的な検査結果が出たのが埼玉県三郷市だ。ここは、原発事故の直後から既に空間線量がずば抜けて高い「ホットスポット」として知られていたが、今回の検査では、なんと919,100Bq/m2という途方もない数値が出た。これは、チェルノブイリ事故における「第2区域」(住民全員に避難勧告;550,000~1,480,000Bq/m2)に相当する。今回の調査では唯一の第2区分相当地域である。

ところで、文部科学省が7月8日に公表した福島県内放射性物質蓄積状況第3次航空機モニタリングの結果がある。この文科省モニタリング資料のうち、放射能防御プロジェクトによる調査と同じ条件(セシウム134、137の合計累積値)で表示した「別紙2」に三郷市を当てはめると、緑色に塗られている「600,000~1,000,000Bq/m2」地域に該当する。ここに含まれる場所としては、福島県葛尾村、川俣町山木屋地区などがあるが、これらの地域は計画的避難区域に指定され、ほとんどの住民が避難を終えている。

埼玉県三郷市は計画的避難区域レベルの汚染という非常に深刻な結果が出た。私の住んでいる福島県白河地域でさえ、上記の文科省モニタリングでは「100,000~300,000Bq/m2」区域である。三郷市はほぼこの3倍の汚染ということになる。

先日まで日本中を騒がせていたセシウム汚染牛問題が白河市の農家で生産された稲わらから始まったことを考えると、土壌がその3倍汚染されている三郷市の住民は地元産の食物を決して口にすべきではない。全住民を避難させることが困難だとしても、子ども・若い女性は直ちに三郷市から避難すべきだと考える。

私のような福島県民が避難指示を受けていないのに、三郷市民が避難を呼びかけられることに納得のいかない方も大勢いらっしゃることと思う。しかし、三郷市の土壌の放射能汚染が私の住んでいる福島県白河地域の3倍というのは残念ながら事実である。

実際には様々な家庭の事情があり、今すぐ避難などできないという三郷市民が大半だと思う。しかし、準備が整った方から順に避難してもよいと思うし、その準備が整わない方も、今後の健康のために避難を検討すべきだと考える。

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外付けポータブルHDDを買い換え

2011-08-05 23:06:56 | IT・PC・インターネット
本当に今年は呪われている(特に震災後)。4月にはFAXが壊れ、予備として物置の肥やしになっていたFAXが急遽登場したかと思えば、携帯電話もボタンがおかしくなり買い換えとなった。線量計も落として壊してしまったし。

そして、今度は外付けポータブルHDDが故障した。接続しているPCから突然認識されなくなったり、また認識されたりを繰り返すようになったのだ。

何度かフォーマットを繰り返し、エラーチェックや不良クラスタの回復作業をしたが治らず。USBケーブルの問題かもしれないと思い、ケーブルを取り替えてみたがダメ。もはや回復不能の物理的故障と判定するしかなくなった。

結局、膨大なデータを移動させられないままPCの内蔵HDDがクラッシュしてはたまらないので、データ避難場所として購入することにした。某家電量販店で容量あたり単価が1番安いHITACHI TURBO MOBILE(500GB)を選び、6,980円で購入。

技術進歩は恐ろしいもので、ポータブルHDDもついに1万円出せば1TBが手に入るところまで来た。1TBでUSB3.0対応、1万円というものもありつい手を出しそうになるが、自分にそんな容量が必要なのかと考え直す。今回壊れたポータブルHDDにしても、300GBの容量を3分の1程度しか使っていなかった。1TBなんて持て余すに決まっているし、容量を使い果たすより先にご臨終が来ると思う。

本当は320GBでもいいくらいなのだが、売り場に並んでいるものをよく見てみると、500GBより容量が小さいものでも価格は500GBとほとんど変わらないことに気付く。これ以下は容量が大きくても小さくても、製造コストは同じなのかもしれない。それなら同じ値段で最大の容量を手に入れておいた方がいい。

USB3.0は確かに魅力なのだが、現時点でそんな転送速度が必要とも思えなかった。第一PC本体が対応していないし、それは次回の買い換えの際に考慮すればいい。

それにしても今年は本当に身の回りのものがよく壊れる年だ。次に壊れるのは自分自身か?

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昨日の記事についての補足

2011-08-03 23:47:51 | 気象・地震
昨日、東海地方で起きた地震について記事を書き終わった後で重要なことに気付いた。今日は少し補足しておく。

昨日の記事で私は、プレート境界型地震が起きるまでの経過について、次のように書いた。

(1)プレートの継続的な沈み込みに伴って地殻に大きな歪みが生まれ、それが正断層型地震を引き起こす。

(2)プレート境界のアスペリティ(固着域;ぶつかり合う2つのプレートが接触している部分)の歪みが限界に達すると、次第に震源がプレート境界に近づく。

(3)プレート境界で中規模の地震が増え、固着域が剥がれ始める。

基本的にこの認識を変える必要はないと思っているが、例えば東北地方太平洋沖で発生した余震に関する気象庁報道発表資料をご覧いただきたい。この資料の4ページに3.11及びそれ以降に発生したM7.0以上の余震の震央分布が示されている。3.11の宮城県沖のM9.0がダントツに大きく、その次が茨城県沖のM7.7、3.11宮城県沖のM7.5と続く。全般的に、宮城県沖では3.11以降も大きめの余震が多いのに比べ、茨城県沖は3.11の1回のみ、福島県沖に至っては4.11に浜通りの内陸部で余震があったのみで、プレート境界付近ではM7.0以上の余震は1度も起きていない。

これに対し、東日本大震災直前3年間(2008年~2010年)のプレート境界付近での地震発生回数を見てみると、福島県沖では3回、茨城県沖では1回発生しているのに対し、宮城県沖では1回も発生していない。

もう少しわかりやすく説明すると、

1.2008~2010年の3年間におけるプレート境界付近での中規模以上の地震回数は、福島県沖(3回)>茨城県沖(1回)>宮城県沖(発生なし)

2.3.11東日本大震災における地震の規模は、宮城県沖(M9.0)>茨城県沖(M7.7)>福島県沖(発生なし)

3.3.11東日本大震災以降におけるM7.0以上の余震の回数は、宮城県沖(3回)>茨城県沖(1回)>福島県沖(発生なし)

となる。

つまり、3.11以前の3年間にプレート境界での中規模地震の発生回数が多かった地域ほど3.11の地震の規模が小さく、その後の余震も少ない。その逆も同様ということになる。

やはり、プレート境界での本震が発生する前に中規模地震が起きれば、それによってプレート境界における地震のエネルギーが減衰し、それだけ本震の規模が小さくてすむ、という相関関係が、少なくとも今回の震災に関しては完全に見て取れる。

一方、2008~2010年にプレート境界での地震が1度もなかった宮城県沖から3.11が始まったことを考えると、本震が始まる地域で必ずしも直前数年間に前兆があるとは限らない、ということも言えそうだ。

この2つの事実から考えると、東海地震に関しては恐ろしい結論が導き出される。現在まで御前崎沖のプレート境界では地震が全く起きていないからだ。仮にこのまま前兆となるべき中規模地震がないまま、突然東海地震「本震」が起きるとすると、その規模は3.11宮城県沖のM9.0に匹敵するものになるだろう(あるいはこれさえ上回るかもしれない)。

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また静岡で震度5弱 東海地震との関連は?

2011-08-02 23:00:45 | 気象・地震
平成23年8月1日23時58分頃の駿河湾の地震について(気象庁報道発表)

3.11以降、静岡でも頻繁に震度5以上が観測されるようになった。場所が場所だけに、いやでも東海地震との関連が気にかかる。この地域では、2009年8月9日、11日と立て続けに震度6弱を記録して以降、しばらく地震活動は落ち着いていたが、3.11以降再び騒がしくなった。

冒頭でリンクした気象庁報道発表を見よう。地震規模はM6.1で阪神大震災よりほぼ1小さいからエネルギーは阪神の32分の1。震源深さは約20kmで2009年8月11日の地震とほぼ同じだ。

とはいえ、2009年の地震と共通しているのはここまで。発震機構を2009年の地震と比較すると、2009年は8月9日、11日の2回とも北北東-南南西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型だったのに対し、3月15日の地震と今回の地震は2回とも南北方向に圧力軸を持つ逆断層型と、微妙に変化している。この変化が何を意味するのかについては、当ブログも現在のところ確定的な見解を持っていない。

この地震が単なるひとつの活断層のいたずらなのか、それとも来るべき東海地震の予兆のひとつなのか。気象庁は東海地震と「無関係」との立場を取っているが、私は両方の可能性を考慮すべきと考える。活断層に関して言えば、2009年の2回の地震から今年の3月15日、そして今回ともに震源地が「糸魚川-静岡構造線」の静岡側の末端部に位置しているという特徴があり、プレート境界に関して言えば、これら4回の地震はいずれもフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界に近い場所で起きている。つまり、これらの地震は活断層型地震、プレート境界型地震の前兆どちらからもそれなりに説明がつくのである。つまり、この地震が来たるべき東海地震の長期的前兆現象のひとつであるとする考え方も捨てきれないのだ。

当然のことだが、プレートの境界に近い地域では、(1)プレートの継続的な沈み込みに伴って地殻に大きな歪みが生まれ、それが正断層型地震を引き起こすことが多い。そして、(2)プレート境界のアスペリティ(固着域;ぶつかり合う2つのプレートが接触している部分)の歪みが限界に達すると、次第に震源がプレート境界に近づく。やがて(3)プレート境界で中規模の地震が増え、固着域が剥がれ始める。プレート境界型地震はこのような経過をたどって発生していくのだ。

(1)~(2)~(3)に至る過程は長ければ十数年に及ぶこともある。(1)から(2)に移行するのが概ねプレート境界型大地震の10年~数年前、(2)から(3)に移行するのが概ねプレート境界型大地震の数年前となる(ある程度幅があるが、3~5年前からこのような現象が始まると考えられる。現に、福島県沖では2008年7月から2010年6月までの間に中規模のプレート境界型地震が3回発生している)。

これが、長年にわたって日本付近の地震を観察し続けた当ブログの結論である。東海地震にこの推論が当てはめられるなら、現在はまだ(1)の段階であり、まもなく(2)に移行するかどうかというところだろう。もう少し時間的余裕はあると考えられるものの、東海地域では準備を始めておいて損はないと思うし、こうしたプレート境界型地震に至る過程が明らかにできただけでも、当ブログの地震観測は無駄ではなかったと思うのである。

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