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未来の産業、工場野菜

2010-11-29 21:51:39 | その他社会・時事
「未来野菜」産地は工場 エコで手軽、価格も安定(産経新聞)

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 施設内で効率的に野菜を栽培する植物工場が注目を集めている。店内で栽培した野菜を提供する“店産店消”の店も登場。栽培の手軽さから異業種の参入も増えているという。肥料や水などの資源を無駄なく使え、環境に配慮した「未来の産業」として期待が高まっている。(油原聡子)

 ◆店内で栽培、提供

 今春オープンしたイタリア料理店「ラ・ベファーナ汐留店」(東京)。店の中央に小型の植物工場が設置されている。高さ約2・3メートルのケース内には、幅約5・3メートル、奥行き70センチの棚が5段重ねられ、レタスなど4種類の葉物野菜が蛍光灯の光の下、水耕栽培されている。レタスの成長速度は露地栽培の3分の1の約30日。主な作業は週に1回程度、水を替えるだけという手軽さだ。店で使う半分を無農薬で栽培、毎朝約60株を収穫している。1年で2万株収穫可能だという。

 店内で栽培したレタスを使ったサラダを食べた千葉県柏市の男性会社員(31)は「工場で野菜を作るなんて未来のイメージ。柔らかい食感ですね」と満足げだ。マネジャーの大島力也さん(44)は「10月に野菜が高騰したとき、レタスの値段が3倍から4倍に上がったが、店で作っていたから影響は少なかった」と話す。光熱費などはかかるが「通年で見れば畑の無農薬野菜よりやや高いくらいでは」。

 植物工場に詳しい千葉大学の池田英男客員教授(62)=施設園芸学=は「生育環境をすべて制御するのが植物工場。少ない資源で効率よく生産でき、環境への負荷が少ない」と説明する。太陽光を使わずに完全人工制御する「完全人工光型」と、天候によって照明や室温制御も行う「太陽光利用型」があり、人工光の利用は日本が世界的にも進んでいるという。

 土壌を使わない水耕栽培が一般的で基本的には無農薬。葉物が中心で、汚れがほとんどないため捨てる部分も少ない。肥料を効率的に吸収させることが可能で、水も循環利用できる。

 ◆異業種も参入

 課題は採算性だ。施設建設費や運営費などがかかり、露地栽培より割高になることが多い。ただ、年間を通して安定供給できるため、「天候に左右されず、計画的に仕入れが行える」(飲食チェーン担当者)というメリットも。野菜が高騰すると工場野菜の方が安くなることもある。

 農林水産省によると、工場野菜が比較的多いレタスでも市場流通は1%に満たないという。しかし、新規事業や雇用の確保を求め、企業の参入も進んでいる。山梨県の運送会社「山梨通運」は今春から、社員の再雇用対策として、植物工場を始めた。担当者は「マニュアルがあるので失敗はない」と話す。

 矢野経済研究所(東京)によると、植物工場の平成20年度の新規工場建設市場の実績は16億8千万円だが、32年度には129億円の規模に拡大すると予測している。
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この「野菜工場」がどこまで伸びるか現時点では不明だが、かなり期待できることは確かだろう。去年や今年のような異常気象が今後も常態化するようであれば、工場野菜のほうが安い状態が固定化する可能性もある。

この生産方式の利点は記事にもあるとおり安定性だが、一方、デメリットは施設整備費や運転コスト(燃料費など)、輸送費などである。消費地から遠ければ、それだけ輸送費がかさみ、価格に跳ね返る。既存の参入者の多くが企業で、他業種からの参入が多いのも、元々あった遊休施設(空き工場など)を転用したため、初期投資が安くついたからだろう。外食産業などが、自分たちで消費する野菜を安定供給したくて参入するケースも目立っている。これなら「店産店消」とまではいかなくても、店の近くに工場を設けて輸送コストを最小限に抑えられる。

露地物の野菜を生産する農家の多くは高齢化しており、今後、引退が相次いでいく。農地も持たず、父母が農業者でなかった若い人たちが農地も持たずに身ひとつで参入してくるケースも増えるだろう。そのとき、畜産や果樹・花きのような「施設利用型農業」のひとつとして野菜生産を担う新規参入者が出てくることは容易に想像できる。そうした人たちに、施設での野菜生産を選択してもらえるように、今から制度的枠組みを整えておくことが必要だと思う。

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