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【訃報】気象解説者・倉嶋厚さん死去

2017-08-04 23:28:53 | 気象・地震
気象キャスター・エッセイストの倉嶋厚さん死去(読売)

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 気象キャスターの草分けで、エッセイストとしても知られる倉嶋厚(くらしま・あつし)さんが3日、腎盂(じんう)がんのため、埼玉県内の病院で死去した。

 93歳だった。告別式は家族葬で行う。

 長野市生まれ。中央気象台付属気象技術官養成所(現・気象大学校)卒。気象庁に入り、主任予報官や鹿児島地方気象台長などを歴任した。定年退職後の1984年からNHK「ニュースセンター9時」の気象キャスターを務め、天気予報を楽しい語り口で解説してお茶の間の人気者になった。日本の気候風土をテーマにしたエッセーにも定評があった。

 2002年には、うつ病を克服した体験をつづった「やまない雨はない」を出版し、話題を呼んだ。自殺防止のための講演活動にも力を注いだ。
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気象解説者の倉嶋厚さんが死去した。途中、うつ病を発症するなどの苦難に見舞われながらも、93歳の大往生。当ブログ管理人にとっては、気象学への興味を持つきっかけを作ってくれた恩人である。倉嶋さんと出会わなければ、私が気象や地震などに関する解説記事をこうして書くこともなかっただろう。

読売の記事は倉嶋さんの肩書きを気象「キャスター」としているが、最近のチャラチャラした「お天気お兄さん/お姉さん」とは違い、気象「解説者」との呼称がふさわしいと思う。「明日の天気、○○地方は××」と読み上げるだけのものがほとんどだった当時の「天気予報」を、気象に関する情報を総合的に解説する「気象情報」へと脱皮させるきっかけを作った人である。

NHK「ニュースセンター9時」(現在の「ニュースウォッチ9」の前身)での気象解説に加え、1985年4月から1年間にわたって放送されたNHK「金曜お天気博士」での解説は本当に面白く、飽きさせなかった。「1年見たらあなたも予報官になれる」がキャッチフレーズのこの番組の影響で、当ブログ管理人が気象庁の予報官になりたいと思い始めたのはこの頃だった。ちょうど、当時のクラス担任が理科の教師だったので、その夢を伝えたところ「それには気象大学校というところに行かなければならないが、京大理学部と同じくらいの学力が必要だ」と言われて断念した。気象予報士の制度は当時はなく、天気予報業務をするには気象庁に入り、予報官になるしか道がなかった。気象庁以外で天気予報業務を許されていたのは日本気象協会だけで、天気予報業務は完全に「官」の独占という時代だった(当時から「ウェザーニュース」など民間の気象会社はあったが、気象庁が発表した予報をメディアで流すのがこれらの会社の仕事だった)。

代わりに、この担任の教師に勧められて、天気図の作成をほぼ1年間続けた。NHKラジオ第2で放送されている「気象通報」という番組を聴き、その内容を天気図に落としていくというものだった。気象通報は20分番組で、当時は9時10分~30分(気象庁予報部の6時発表分)、16時00分~20分(同、正午発表分)、22時00分~20分(同、18時発表分)の3回放送。この他、当時はラジオたんぱ(現在の「ラジオNIKKEI」)でも1日1回、放送されていた記憶がある。現在と異なりインターネットがなかったため、遠洋漁業に出ている漁船員や登山中の山岳部員など、自分のいる場所の天気を予測する必要のある人たちを中心に、気象通報は重宝されていた。

気象通報の放送で使用されるデータは、気象庁のホームページに掲載されており、過去1週間分に限り見ることができる。私が天気図を作成していた1985年当時は、韓国の都市名は「釜山」(フザン)、済州島(サイシュウトウ)など日本語読みのところも多かった。サハリン・ポロナイスクの当時の呼称は旧日本時代の敷香(シスカ)、現在の「ルドナヤプリスタニ」は当時は「テチューヘ」だった。番組の最後に海上自衛隊による射撃訓練の告知、さらに、3ヶ月に1回程度、気象庁水路部が発表する「黒潮海流予報」が放送されることもあった。こうした気象通報の内容の変遷に関しては、個人の趣味サイトだが、埼玉県熊谷市在住の「クゲール」さんによる3776NETの「天気図&気象通報伝説」に詳しく掲載されている。「測候所の自動観測化で気象通報が危ない!」と題した記事は、わずか1年間とはいえ、天気図作成を実際に行ったことのある私にとっては、非常に説得力のあるものになっている。

私は今も時々気象通報を聴くときがある。一般の人にとっては単調でつまらないデータの羅列かもしれないが、私が今でも気象通報を聴くだけで、おおよその天気図が脳内に浮かび、翌日~翌々日の天気程度なら予測を立てられるのも、この天気図作成の経験があるからだ。

気象通報は、現在は16時00分~20分の1日1回だけの放送になってしまった。インターネットの発達などを理由に2014年度から縮小されたようだが、私は今でもこれに納得していないし、NHK籾井会長時代の最大の改悪だと思っている。遠洋漁業の漁船員、山岳部員といった人たちは、基地局から遠すぎてインターネットの使えない環境に置かれることも珍しくなく、これらの人々にとってラジオで聴ける気象通報は命綱と言っていいからである。

実は、当ブログ管理人は、今、気象予報士の資格の取得を考えている。独立できる資格ではないし、近年は人気も下降気味だが、防災、農業関係などきめ細かな気象情報を必要とする企業・団体は数多いし、近年のゲリラ豪雨の多発などを受けて、人々の気象への関心は高まる一方だ。今の仕事と職場に大きな不満はないものの、将来、何らかの理由で今の職業を続けられなくなった場合に備え、食い扶持は少しでも増やしておくほうがいいと思っている。もし、倉嶋さんに出会っていなかったら、気象予報士に挑戦しようなどとはおそらく考えもしなかっただろう。その意味で、倉嶋さんは私の人生にも多くの影響を与えた人だと思っている。改めて哀悼の意を表したい。

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この間の各地震について

2017-07-15 18:28:35 | 気象・地震
7月前半に、震度5弱以上を記録する地震が3回あった。遅くなってしまったが、簡単な解説のみでもしておきたい。

1.7月1日23時45分頃の胆振地方中東部の地震について(気象庁報道発表

M5.1は、日本周辺では毎月起きている地震で大きな地震とはいえない。震源はやや浅めの27kmで、これが地表の揺れを大きくした。

東日本大震災直前から、北米プレート内部での地震は増加している。この地震も北米プレート内部でのもので、似ている地震を探すとすれば、2012年8月25日の十勝地方南部地震(報道発表)2014年7月8日の石狩地方南部の地震(報道発表)、2015年6月4日の釧路地方中南部の地震(報道発表)、2016年1月14日の浦河沖地震(報道発表)などがある。いずれも、北米プレート内部が震源で、発震機構)地震のメカニズム)が西北西-東南東方向または北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であることだ。いずれの地震も、浦河沖で将来、海溝型巨大地震が発生した際、「今思えば、あの地震も前兆のひとつだった」と振り返られることになる地震だと言ってもいいだろう。

全部で9ページある気象庁の報道発表中、5ページの資料を見ると、この区域でのある程度規模の大きな地震はすべて東日本大震災後に発生している。東日本大震災をきっかけに地震活動が極端に活発化した地域であるといえよう。その意味では将来、この地域で発生が見込まれる海溝型地震の時期に影響を与える可能性がある。

2.7月2日00時58分頃の熊本県阿蘇地方の地震について(気象庁報道発表

「「平成28年(2016年)熊本地震」について(第43報)」という報道発表のタイトルにあるとおり、気象庁はこの地震を熊本地震の余震と見ているが、震源地、発震機構いずれの面からも、その見解でよいと思う。熊本地震は南北方向、今回の地震は北北西-南南東方向と、張力軸の方向はわずかに異なるが、いずれも横ずれ断層型だ。震源深さも11kmと同じできわめて浅く、規模の割に大きな揺れをもたらした。最近活発化しているユーラシアプレート内部の地震だ。

3.7月11日11時56分頃の鹿児島湾の地震について(気象庁報道発表

過去に地震の少なかった地域で起きた珍しいものである。だが、震源深さが10kmで熊本とほぼ同じであること、発震機構も横ずれ断層型であること等、酷似している点が多い。熊本地震の余震とは言い切れないものの、熊本地震に触発されて起きた関連地震のひとつのような気がする。

将来、南海トラフ巨大地震が発生したとき、「今思えば、あの地震も前兆のひとつだった」と振り返られることになる地震だと言えよう。

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今朝の長野県南部の地震について

2017-06-25 21:45:25 | 気象・地震
平成29年6月25日07時02分頃の長野県南部の地震について(気象庁報道発表)

日曜朝、遅い時間まで寝ていようと思っていたのに、早朝、タブレット端末の地震速報で叩き起こされた。震源は長野県南部。最初は驚いたものの、その驚きはすぐに解消した。長年にわたって地震観測・分析を続けてきた当ブログにとって、思い当たることの多い場所だからだ。

まず、震度5強を記録した王滝村という地名に覚えがあった。古い話になるが、1984(昭和59)年9月に起きた長野県西部地震で大きな被害を受け、当時、大々的に報道された場所だ。平成の大合併も行わず、王滝村の地名が今なお残っていることは知っていた。

その長野県西部地震と今回の地震を比較してみて、震源地が非常に近いことに驚いた。気象庁の報道発表の6ページにも記載されているが、位置関係を示すと以下の通り。



さらに、2014年に大噴火を起こした御嶽山からも非常に近いことがわかる。気象庁は火山噴火と地震が「連動」するとの説に対し、公式には否定的な姿勢だが、木村政昭・琉球大名誉教授のようにかねてから地震・噴火連動説を採る学者も存在する。御嶽山噴火と今回の地震が連動しているとの考え方も一定の説得力を持っている。

長野県西部地震から起算して、御嶽山噴火は30年後、今回の地震は33年後であり、これも関連は薄いように思われる。しかし、70億年といわれる地球の「一生」の中で30年はわずかな誤差の範囲内であり、これも関連している可能性を見ておくべきだろう。

気になるのは、今回の地震の規模、震度のいずれも長野県西部地震と比べて小さいことだ。長野県西部地震では、王滝村で震度6(烈震)を記録したのに対し、今回はやはり最大震度を記録した王滝村でも震度5強だ。1984年当時の震度は1~7の7段階制で、王滝村の震度6は上から2番目だった。現在は震度1~7までで一見、当時と変わらないように見えるが、震度5と6に「強」「弱」の区別があるため9段階制で、今回の地震における王滝村の震度5強は上から4番目に過ぎない。

地震の規模で見ても、長野県西部地震がM6.8であるのに対し、今回の地震はM5.6とかなり小さい。マグニチュードが1小さいと地震のエネルギーは約32分の1であり、この意味からも今回の地震は長野県西部地震のレベルにはまったく達していない。

今回の地震が最終的に長野県西部地震並みの活動規模になるかどうかはわからないが、仮にそうなるとすれば、もう1段大きな「本震」がこの後にあるかもしれない。長野県西部地震で被害の大きかった地域を中心に、震源に近い地域では十分な警戒をしてほしい。

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平成29年6月20日23時27分頃の豊後水道の地震について

2017-06-21 23:59:44 | 気象・地震
平成29年6月20日23時27分頃の豊後水道の地震について(気象庁報道発表)

昨夜起きた地震では、久しぶりに携帯アプリの地震速報を聞いた。この地震速報が作動したのは、2月28日の茨城県沖地震以来、3ヶ月半ぶりだ。ようやく熊本地震の余震活動も収まってきたと思っていたところだけ、不意を突かれた。

最大震度は佐伯市で5強とかなり大きかったが、地震の規模自体は大きくなく、M5.0。日本付近では月に1~2度は起きている規模である。震源が陸地に近かったことが大きな揺れにつながった。

プレス発表を見ると、発震機構(地震のメカニズム)は北西-南東方向に張力軸を持つ型(速報)で、張力軸の方向は昨年4月の熊本地震と同じ(熊本地震は横ずれ断層型と発表されている)。震源地も熊本地震とその余震域を北東に延長した先にある。中央構造線からはわずかに南にずれているがきわめて近い(武蔵野学院大の島村英紀特任教授のように、中央構造線の上で起きた地震と明快に言い切っている学者もいる~参考記事)。

気象庁は今回の地震を「熊本地震とは別」としているが、完全に別と言い切るのは危険な気がする。熊本地震の余震活動でないとしても、熊本地震に誘発されて起きた関連地震のひとつに位置づけていいのではないだろうか。

不気味なのは、熊本地震発生以降、中央構造線に沿って震源域が徐々に北東に移動していることだ。今回の震源地が今後、さらに北東に移動すれば、その先には伊方原発がある。国民の意見にまったく聞く耳を持たない安倍政権には、何億回言ってもおそらく無駄だろうが、この状況はかなり危険だと思う。原発を止めさせるために、今すぐ安倍政権を打倒しなければならないと思う。


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昨夜の茨城県北部地震(最大震度6弱)について

2016-12-29 20:38:26 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第80報) -平成28年12月28日21時38分頃の茨城県北部の地震-(気象庁報道発表)

年の瀬の茨城を襲った久しぶりの震度6弱だった。

気象庁報道発表を見よう。震源は茨城県北部、地震規模はM6.3、深さ11km、発震機構(地震のメカニズム)は東北東-西南西方向に張力軸を持つ正断層型(速報)である。福島県沖に津波警報が発表された11月18日の地震(気象庁報道発表はこちら)はM7.4だったので、マグニチュードで約1小さい。つまり、地震のエネルギーは11月のこの地震の32分の1だったことになる。

東日本大震災が起きるまでは、北米プレート内部の地震(三陸沖のプレート境界より西側)はほぼすべて逆断層型だったが、ここ最近は流れが変わり、正断層型の地震が多い。11月の福島県沖地震も張力軸の方向こそ違うものの、やはり正断層型だった。太平洋プレートによって引きずり込まれていた北米プレートが反転する東日本大震災以降の余効変動はまだ続いていると見てよく、この地震を東日本大震災とする気象庁の見解に大きな異論はない。

気になる動きを指摘しておきたい。報道発表のPDFファイル8ページ「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震余震の発生状況」資料を見ると、2011年の東日本大震災直後は宮城、福島県沖を震源とする地震が目立ったが、特に2014年以降、震源が次第に茨城県まで南下すると同時に、内陸に近づいていることである。要するに、東日本大震災直後と比べ、震源域が次第に南西に移動してきている様子がうかがえる。東日本大震災の長期的影響が首都圏に近づいていると見ることもできる。茨城県沖と岩手県沖の「両端」が東日本大震災で揺れ残ったエリアであるということを考慮すると、今後、今回と同程度のやや強めの地震の中心域が福島県南部~茨城県のエリアに移ってくることは十分考えられる。今回の地震が発生したエリアでは、余震に注意することはもちろん、今後数年にわたって、地震活動が活発化する恐れもあり、その面からも注意したいところだ。

最後に、今回の地震では茨城県高萩市で震度6弱、日立市で震度5強を記録した。東海第2原発のある東海村は、日立市の南にある。新聞・テレビなどの報道では、東海村は震度4で、原子力施設に影響はないとのことだった。だが、NHKの映像が映しだしていた日立市の揺れを見ると、とても震度5強の揺れには見えない。瞬間的にはもっと強い揺れがあったように思えた。

福島第1原発のメルトダウンを5年も隠蔽していた原子力ムラの発表など信用できない。念のため、茨城県沿岸部から福島県浜通りにかけての地域で、簡易線量計をお持ちの方は、年内いっぱい、時折、空間線量を測定し、変化を見ておいたほうがいいように思う。ただし、簡易線量計で0.1~0.2μSv程度の数値の変動に一喜一憂してはならない。0.5μSvを超える変化があったときには警戒すべきだ。

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今朝5時59分に発生した福島県沖の地震について

2016-11-22 21:46:06 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第79報)-平成28年11月22日05時59分頃の福島県沖の地震-(気象庁報道発表)

今朝の最大震度5弱の大地震、当ブログ管理人の居住地ではまったく揺れを感じなかったが、スマホ・タブレットの地震速報アプリが鳴りっぱなしとなり、結局、普段より1時間以上も早く起き出すことになってしまった。

・・・が、テレビをつけて愕然とした。福島で最大震度5弱、津波警報発令(最大高さ3mの予報)と聞いて、5年前の3.11が頭をよぎったことは言うまでもない。ちなみに、津波の高さの3mは「大津波警報」と「津波警報」の境目で、これ以上津波の予測が高いと「大津波警報」になるところだった(大津波警報は、過去30年までさかのぼっても、東日本大震災と、1993年の北海道南西沖地震でしか出たことがない)。

実際には、仙台港で観測した1.4mが最大で、予測よりはるかに小さかったのは幸いだったと言えよう。

さて、報道発表を見ると、地震規模はM7.4(速報値の7.3から修正)で、これは阪神淡路大震災(M7.3)や、今年4月16日に発生した熊本地震の本震(M7.3)とほぼ同程度。震源地は福島県沖、震源深さは25㎞(速報値の10kmから修正)。発震機構(地震のメカニズム)は北西-南東方向に張力軸を持つ正断層型(速報)となっている。

注目すべきなのは震源深さと発震機構だ。2011年3月11日の震災は、震源深さが10kmだったが、今回の地震はやや深いところでの発生だ。発震機構も、北米プレートと太平洋プレートの境界より西側(北米プレート内部)の地震であるにもかかわらず、正断層型である点だろう。北米プレート内部で起きる東日本大震災の余震は、従来、逆断層型、震源深さ10kmのものがほとんどだったことを考えると、熊本地震、鳥取地震という2つの大きな地震を経て、東日本大震災の余震も、少しずつ発生の仕方が変わってきている印象を受ける。

とはいえ、気象庁がこの地震を東日本大震災の余震としている点について、当ブログは基本的に異論はない。北西-南東という張力軸の方向も、東日本大震災の圧力軸の方向(西北西-東南東方向)と近く、プレート境界の動きに引きずられた形での地震と考えられるし、今日の地震の9日前、11月13日にニュージーランドで地震が起こっていることも3.11と共通性がある。あのときも、2月下旬にニュージーランド地震が起きた後、ほぼ20日後に東日本大震災が起きている。ニュージーランドと三陸沖は、同じ環太平洋地震帯の上に位置しており、この2つが連動することは別に不思議ではない。と言うより、連動することがむしろ当然と考えておかなければならないのである。

注意しておかなければならないのは、比較的規模の大きい余震である。気象庁は、1週間程度、今回の地震と同程度の余震のおそれがあるとしている。だが、3.11の2日前――2011年3月9日にも、M7.3、つまり今日の地震と同規模の前震が発生している。M7.3といえば、当時としては阪神淡路大震災くらいしか前例がなく、よもや数日後にこれを上回る本震が来るなどと思っていなかった。だが、3月9日のM7.3で地殻のストレスがある程度放出されたはずなのに、その後も余震が収まらず、3.11につながっていった。

地震発生履歴を見ると、今朝のM7.3の後も福島県沖で活発な余震活動が続いており、嫌な感じがする。震源がプレート境界上ではなく、それよりやや西側の北米プレート内である点が3.11と違っており、内陸型地震ではM8を超えるものは想像しにくいが、それでも今年8月には、三陸沖のプレート境界で、M6.0規模の地震も起きている(参考)。プレート境界のずれを今朝の地震が誘発する可能性は否定しきれない。

そういうわけなので、今朝、強い揺れに見舞われた地域では、同程度の余震はもちろん、今後数日内にこれを上回る「本震」が発生する可能性も念頭に、厳重な警戒を続けてほしい。

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10月21日の鳥取県中部の地震について

2016-10-22 17:22:00 | 気象・地震
平成28年10月21日14時07分頃の鳥取県中部の地震について(気象庁報道発表)

鳥取での地震について、コメントしておきたい。

地震の規模はM6.6で、今年4月の熊本地震(M6.4)とほぼ同程度。M7.2の阪神大震災と比べてエネルギーは約32分の1。地震の深さは11kmで、これも熊本地震と同じ。発震機構(地震のメカニズム)は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型(速報)。熊本地震は、南北方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型だった。圧力軸の方向が違うだけで、横ずれ断層型は熊本地震と同じである。ここまで何もかも同じだと、やはり熊本地震によって引き起こされた関連地震なのでは……と思ってしまう。

熊本地震とともに気になるのは、9月12日に韓国・慶州で発生した地震だ。この地震の規模はM5.8、深さは10kmと熊本、鳥取と大変よく似ている。発震機構は正断層型(断層を境に地殻が互いに引っ張り合う張力軸型の地震)であるとされ、熊本、鳥取の圧力軸型(断層を境に地殻が互いに押し合う地震)とは逆のメカニズムが働いている。

ただ、発震機構が逆だからといって、熊本・鳥取と慶州の地震が無関係とも思えない。今回の鳥取地震の圧力軸の方向(西北西-東南東)の延長線上に韓国・慶州が位置しているからだ。その上、熊本、韓国・慶州、鳥取の震源はいずれもユーラシアプレートの上にあり、その縁に近いという共通点もある。近年、ユーラシアプレートが活発化しているのは明らかであり、何となく、この3つの地震をセットで考えなければならないような気がしている。

今回、震度6弱を記録した14時7分の地震の2時間ほど前、12時12分に、「前震」とみられる震度4の揺れを記録している。このとき、私は昼休みに家に帰り、昼食を摂っている最中にテレビで地震速報のテロップを見た。

テロップの直後、震源となった鳥取県中部の過去の地震履歴を見ると、興味深い事実が浮かび上がった。この地域では、2008年11月2日に震度1の微弱な地震を記録して以降、2015年10月15日に、やはり震度1の微弱な地震を記録するまで、約7年間、有感地震さえ1度も起きていなかった。それが、この2015年10月15日の地震以降、わずか1年で50回もの有感地震を記録していたのである。

7年間、1度の有感地震もなかった場所で、わずか1年の間に50回もの有感地震を記録する。明らかな異変であり、これを「前兆」と言わずして一体何と言うのだろうか。

私は、「これは明らかにおかしい。異変が起きているのは確実なので、今後数日のうちに鳥取で大きな地震があるかもしれない」と妻に言い残して午後の仕事に出かけた。しかし、まさかそれがわずか2時間後に現実になるとは思わなかった。

最後に、今回の鳥取の地震で気がかりなことがある。地震の規模(M6.6)の割に最大震度(6弱)が小さすぎること、余震の回数があまりに多すぎることだ。地震のエネルギーはまだ完全に放出されていないと見なければならない。熊本地震と同じように、数日後、「あれが前震だったね」と言われる規模の「本震」が起きる可能性は十分ある。震源に近い地域では念のため厳重に警戒してほしい。

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この間の熊本、函館の地震について

2016-06-18 23:49:55 | 気象・地震
少し時間が経ってしまったが、いかにブログにの記事を書く気が起きないといっても、地震の解説記事まで書かないというわけにも行かない。

「平成28年(2016年)熊本地震」について(第40報)-平成28年6月12日22時08分頃の熊本県熊本地方の地震-(気象庁報道発表)

今回の熊本地震の大きな特徴(従来の地震と違う点)は、断層の動きが複雑なことだ。過去の地震では、例えば本震が「北東-南西方向の圧力軸を持つ逆断層型」だった場合、その後に起こる余震も同じく「北東-南西方向」になる場合が多い。東日本大震災もそうしたケースの地震で、余震の際に断層の動く方向は、ほとんど本震と同じだった。

ところが、今回の熊本地震に限っては、この法則が当てはまらない。最初の大きな地震である4月14日午後9時26分頃の地震(震度7、報道発表)は「南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型」だったし、2回目の震度7を記録した4月16日1時25分頃の地震(報道発表では最大震度6強となっているが、後に7に訂正)では「横ずれ断層型」は同じであるものの、張力軸の方向は北西-南東方向に変わっている。

そして、この日の地震では「東北東-西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型」となっており、軸の方向だけでなく、横ずれ断層型から逆断層型へ地震のメカニズムも変わっている。

このように、熊本地震が過去に例を見ないのは、いろいろな断層が複雑に絡み合い、互いに影響を与えながら連鎖的に地震を起こしているという点である。軸の方向や地震のメカニズムを見る限り、過去の地震のように単なる「余震」と片付けていいのかかなり疑問に思われるケースだ。それぞれの地震を別個のものと捉えた方が理にかなっているような気がする。

これが単なる余震でないとすると、熊本では、今後もさらに中規模程度の地震はたびたび発生する可能性がある。引き続き警戒をしてほしい。

平成28年6月16日14時21分頃の内浦湾の地震について(気象庁報道発表)

当ブログ管理人の携帯電話でも緊急地震速報が鳴り、驚いたが、幸い、函館からはかなり遠いため揺れはなかった。1923年の観測開始以来、この地域での震度6強以上は初めてというから驚く。1923年といえば関東大震災の年。その後慌てて観測体制を全国に広げたのだろう。

震源から見て、北米プレート内部での地震だ。東日本大震災を引き起こした海溝より内側(西側)であり、逆断層型なのは納得できる。今後の推移は予断を許さないが、余震には警戒をしてほしい。

また、北米プレート内部での地震だけに、東日本大震災の余震域に若干の影響があるかもしれない。

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茨城県南部の地震について(&熊本地震についての補足)

2016-05-17 00:24:55 | 気象・地震
平成28年5月16日21時23分頃の茨城県南部の地震について(気象庁報道発表)

茨城県南部で今夜起きた地震では、首都圏で久しぶりの震度5弱を観測した。内陸型地震で目立った余震もないため、解説は手短にとどめる。

地震の規模はM5.5、震源深さは42メートル、発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型。過去に似た地震がないか探してみたところ、2014年9月16日に起きた茨城県南部の地震(報道発表)が、震源、地震の規模(M5.6)、震源深さ(47メートル)、そして発震機構も北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、今回の地震にそっくりである。今回の地震は、14年9月16日の関連地震と位置づけてもよいのではないかと思うくらい似ている。

14年9月の地震でも、その後、目立った余震活動は起きておらず、いたずらに不安を覚えるほどのものではないと思うが、さりとて油断も禁物だ。周辺地域では念のため、軽微な余震に注意してほしい。

さて、当ブログでは熊本地震発生後、「本震」が発生した4月16日の書き込みを最後に沈黙を守ってきた。中央構造線沿いに、いくつもの活断層が連鎖的に地震を引き起こすかつてない事態をどのように評価すべきかわからず、推移をもう少し見極める必要があると考えたからだ。こう言ってはなんだが、当ブログは、緊急地震速報が発表されるような規模の大きな地震の後にアクセス数が急増することが多く、当ブログがどのような見解を示すかはある程度注目されていると思っている。拙速に、適当な見解を発表し、それがひとり歩きするようなことはあってはならず、科学的根拠が乏しくとも、ある程度読者のみなさんが今後の大まかな見通しを立てられる程度の情報を、経験則に基づいて述べられるよう心がけてきたつもりである。

ところが、熊本地震は、そうした経験則が当てはまらない、かなり希有なタイプの地震だった。そのことは、この間、気象庁で記者会見に当たってきた青木元・地震火山部地震津波監視課長の苦渋の表情が物語っている。余震の回数も1000回を軽く超え、新潟県中越地震を上回って過去最高のペースを記録している。しかし、「熊本大地震は「前例」あった “17世紀と酷似する”地震パターンとは」(AERA)との報道にもあるように、歴史をひもとけば類似の事例を見いだすこともできる。日本人はとかく歴史に学ぶことが苦手だが、過去の歴史に学ぶことで、被害を最小限に食い止めることができる。

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九州地震、未曾有の事態に

2016-04-16 10:23:46 | 気象・地震
熊本で始まった九州の地震は、昨夜になって、14日の最初の地震を上回るM7.3の地震を記録した他、大分でも大きな地震を観測した。震源地が東に広がりながら連鎖的に発生していく。今生きている日本人の誰も経験したことのない新しい段階に入った。

14日の地震はM6.5だったから、昨夜の地震が本震で、14日の地震は前震だったことになる。最大震度は14日が7、昨夜の地震が6強だったが、地震はあくまでマグニチュードで判断するものだ。

注目いただきたいのは、強い地震の震源が日本最大の地震帯である中央構造線に沿って起きていることだ。この構造線は九州から四国、紀伊半島を経由して長野付近まで達している。この構造線に近い地域では今後、突然地震活動が活発化するおそれがあり、厳重に警戒してほしい。

中央構造線(Wikipediaより:赤い線の部分)


なお、当ブログ管理人は現在、外にいて携帯電話から書き込みしている。気象庁の報道発表などに関しては、パソコンからネットにアクセスできるようになってから改めて述べたい。

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